飲食店に予約・顧客管理システムの開発・提供を行う(株)TableCheckが16日公開した『グルメサイトに関する意識調査』によると、グルメサイト離れが進行する一方で、Googleが一気に存在感を高めている現実がみえてきた。背景にはビジネスモデルの限界がありそうだ。
予約は「グルメサイト」「電話予約」が根強い傾向に
同様の調査は3回目。今回は6月27日~30日に、全国20~60代の男女1100人のユーザーと、全国20~50代の飲食店勤務の男女550人に聞いた。
《ユーザー篇》 グルメサイトの信頼度は、「あまり・まったく信頼していない」が30.4%で、2年前比で約1.2倍。検索のツール(複数回答)は、「Google」(86.1%)の利用が初めて「グルメサイト」(61.3%)を上回った。コロナ禍で機能を充実させたことで、ユーザーが一気にシフトした。グルメサイトの利用頻度は「減った」(26.5%)が「増えた」(11.0%)を上回った。「信頼できる情報ではない」(21.2%)、「好みの店が見つからない」(28.8%)が、変わらず理由の2トップ。
飲食店を検索する際、全年代でグルメサイトの利用率は高いが、「Google」は20代、30代、50代でグルメサイトを上回った。一方、予約ツールとしての利用率は、「Google」「SNS」ともに極めて低い利用率にとどまっており、普及はまだ途上段階にあると言える。
予約は依然として「グルメサイト」「電話予約」が根強く、GoogleやInstagramは飲食店側の導入設定が進んでいないなどに課題がある。新たに設けた質問として、「自分好みのお店を発見できるツール」を聞いたところ、ここでもGoogleがグルメサイトを上回っていた。
飲食店側はグルメサイトの評価を「信頼していない」が30%に
《飲食店編》 6月、焼肉チェーン店が食べログの評点を不当に下げられたため、売上が減少したとして、損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁が食べログを運営するカカクコム側に独裁禁止法違反を認めて敗訴とした――。この判決の妥当性を聞いたところ、58.0%が「妥当」。「妥当ではない」と、食べログ側を支持した回答は5%にとどまった。
グルメサイトの飲食店評価に対して30.5%が「信用していない」。不満が膨らんでいる現状を表していると考えられる。ユーザー、飲食店双方でグルメサイト離れが進行している状況下、GoogleやSNSなど無料の集客ツールが充実し、その動きをさらに加速させている。
背景には、食べログをはじめほとんどのグルメサイトの主な収益源が、飲食店からの契約料や送客手数料で構成されているにもかかわらず、飲食店の不満や要望に応えられておらず、広告メディアとしてのビジネスモデルの限界がきていると考えられる。
利用状況は依然として食べログ、ホットペッパー、ぐるなびの3大グルメサイトが強いが、利用していない層も約6割存在する。理由は「月額の掲載料が高い」(39.0%)、「送客手数料が高い」(18.2%)が上位で、2年前の1.5倍に。2番目に多かったのが「ユーザー評価などの掲載情報が信用できない」(24.6%)と、媒体の信用度を疑問視する回答が挙がっていた。
SNSは口コミが拡散されやすく、自店舗と相性の良いユーザーに出合いやすいため、期待値も高い。グルメサイト以外の予約受付ツールでは、「公式ウェブサイト」「Instagram」が、2年前と比較して2倍以上の伸び。活用の積極度を聞いた質問で、グルメサイトを凌ぐ勢いを見せたのが「Instagram」で、飲食店マーケティングとの相性の良さから注力する店が増えている。さらに、集客効果を感じているツールとしても「Instagram」の評価は高い。
グルメサイトに対する自由意見は9割が否定的な意見に
一方、Googleの活用が進んでいないこともみえてきた。積極的に活用しているツールとしてGoogleと回答したのは6.1%、効果を感じているツールとしては8.4%で、Google利用が急速に広まっていたユーザーとは対照的な結果となった。ユーザー側での利用が進んでいるにもかかわらず、飲食店側での活用が進んでいないという乖離が生まれている状況だ。
グルメサイトに対する自由意見では、9割が否定的な意見だった。特に、掲載情報や口コミに対する批判や評価制度への不満。ほかには料金が高いといったコストに対する不満も多かった。肯定的な意見では、「集客に役立っている」「参考にしている」などだった
TableCheckは、グルメサイト時代の終焉と次の新たな時代のプレイヤーがより鮮明にみえてくる結果となったと分析。1996年にぐるなびが飲食店検索サービスを開始してから約四半世紀続いた「グルメサイト時代」は、終わりを迎えつつある。よりパーソナライズされた情報を簡単に当たり前に得られるようになったいま、高い契約料順に表示される飲食店検索サービスからは、ユーザーも飲食店も離れてしまうのは当然の流れといえるとしている。
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