アスクル(株)が15日発表した2023年5月期第1四半期(22年5月21日~8月20日)連結決算は、売上高が前年同期比7.5%増の1100億8700万円、営業利益が同9.6%減の29億5600万円、純利益は同12.1%減の18億9100万円となった。
「LOHACO」は25年5月期から収益事業に
売上高は過去最高を更新し、成長スピードが加速している。主力分野のBtoB事業は大幅な増収、BtoC事業の「LOHACO」も2桁成長となった。通期の黒字化を目標とし、25年5月期からの収益事業をめざす。利益面では、重要施策の「ASKUL東京DC」の物流設備や新アスクルWEBサイトの構築など、成長につながるコスト投下で減益となったが、計画線上とした。
eコマース事業の売上高は前年同期比7.5%増の1076億9000万円、売上総利益は同6.8%増の265億3500万円。ASKUL東京DCの地代家賃、新アスクルWEBサイト構築の設備投資に関連した一過性のコスト発生で、売上高販管費比率が同0.3ポイント増加し、販売費と一般管理費が235億2700万円となり、営業利益は同9.1%減30億800万円となった。
コロナ禍関連商材を取り揃えて大幅な増収
BtoB事業は売上高が前年同期比7.2%増の894億3200万円。記録的猛暑や制限のない夏休みなどの状況を踏まえ、ボトル飲料や観光・飲食業店向けの生活用品商材、抗原検査キットなどのコロナ禍関連商材などの商品を取り揃えたことで、大幅な増収となった。
戦略的に強化しているMRO商材も、コロナ禍関連商材を中心に売上高が伸長。7月の新アスクルWEBサイト構築に関連する一部機能(中堅大企業向けのWEBサイトであるソロエルアリーナサイトのオープン化)の先行リリースにより、ソロエルアリーナ利用のユーザーがサーチエンジンでの検索結果からソロエルアリーナサイトへ直接遷移することが可能となった結果、買い物の利便性が向上し、サーチエンジン経由での売上高が増加した。
新アスクルWEBサイトの構築に関しては、一方でオープン化の遅れもあり、全体スケジュールが延伸。ソロエルアリーナサイトとの統合後に予定していた機能進化も延びている。現行サイトの機能進化を優先し、統合は先送りする案を検討している。
また、ネット広告のさらなる強化による顧客基盤の拡大、戦略的に強化する医療・介護業種と製造業を中心とする専門商材の品揃えが相乗効果となり、売上高の成長に貢献した。
BtoC事業は売上高が9%増の182億5700万円
BtoC事業は、売上高が前年同期比9.1%増の182億5700万円。「LOHACO」の売上高は、前年同期比10.6%増となる139億5800万円となった。「LOHACO」は今期での黒字化をめざす。Zホールディングスグループとの大型販促の連携強化の奏功が挙げられ、販売価格の改定、広告・データビジネスに係る手数料収入の増加により、売上総利益率も改善した。
通期黒字化を見据えて追加施策も計画。配送費に関しては「LOHACO」の一箱あたりの売上単価が前年同期比1.7%減となったことから、UI/UX改善に加え、置き配比率の向上、配送バーなどの改定に取り組む。同じく変動費比率にかかわる庫内費について、特定日の物流波動平準化に向け、「おトク指定便」による出荷ピークの分散を図る。
ロジスティクス事業は、売上高が前年同期比2.2%増の21億3300万円、営業損失が7300万円(前年同期は5900万円の営業損失)となった。ASKULLOGIST(株)の同社グループ外の物流業務受託の売上高が順調に推移したものの、一時的に生産性が低下したことにより、増収減益となった。
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