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通販通信ECMOニュース・記事コラムPEST分析とは?意味や目的、具体的な手順を解説

2022.12.25 コラム

PEST分析とは?意味や目的、具体的な手順を解説

 PEST分析とは、外部要因の分析に用いられるフレームワークの一種です。PEST分析によって得られたデータは、自社の事業戦略の策定に役立ちます。この記事では、PEST分析の実行を可能とするために必要な知識を提供します。
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PEST分析とはフレームワークの一種

 PEST分析とは、マーケティング活動における外部環境の分析に用いられるフレームワークの一種です。外部環境の分析は、マクロ環境分析(環境を大きな視点から分析する)とミクロ環境分析(環境を小さな視点から分析する)の2つに大別されますが、PEST分析は前者に該当します。

 PEST分析の「PEST」の意味は、以下のとおりです。
P Politics(政治的環境要因)
E Economy(経済的環境要因)
S Society(社会的環境要因)
T Technology(技術的環境要因)
 PEST分析では、外部環境を構成する要素を上記4つ種類に分け、自社に与える影響を把握・予測します。では、「P」「E」「S」「T」それぞれについてより掘り下げて解説します。

▽P(Politics):政治的環境要因

 政治的環境要因とは、政治や法律・税制などの観点から自社に影響を及ぼすものを指します。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
  • 法律や条例の改正
  • 規制緩和
  • 税制の見直し
  • 政策の変化
  • 政権交代
  • 外交関係の動向
  • 裁判における新たな判例
  • 補助金や助成金などの新たな支援制度の設立
 これらは一企業の力が及ぶものではないため、外部環境として捉えます。政治的環境要因がビジネスに影響を及ぼす例としては、ITシステム導入に活用できる新たな補助金によって、ITシステム導入に対する需要が増え、システム開発企業の売上が増加するケースなどが挙げられます。

▽E(Economy):経済的環境要因

 経済的環境要因とは、自社に影響を及ぼす外部環境の変化の中でも、経済に関するものを指します。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
  • 景気の変化
  • 為替の変動
  • 株価の変動
  • 金利の変動
  • 経済成長率
  • 賃金動向
  • 消費動向
  • 物価の変動
  • 原油価格の変動
 これらの要因により、今までと同じビジネスを継続していても、原価や売上などが変動します。例えば、円安によって輸入品の価格が上昇した場合、輸入品を原料・材料として製品の製造を行う企業は、製品価格の見直しや人件費削減などの必要性が迫られてしまいます。

▽S(Society):社会的環境要因

 社会的環境要因とは、社会を構成する人口の動向や価値観の変化など、自社に影響を及ぼす要因の中でも社会に関するものを指します。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
  • 価値観の変化
  • 流行の変化
  • 生活習慣やライフスタイルの変化
  • 新たな宗教の台頭
  • 文化の多様性
  • 教育の見直し
  • 人工動態
  • 少子高齢化などの社会問題
  • 犯罪の増減
 例えば、少子高齢化によって労働人口の確保が難しくなるため、賃金の見直しや福利厚生の充実など、待遇の改善の必要が出てくるといったケースが挙げられます。


▽T(Technology):技術的環境要因

 技術的環境要因とは、新たな技術の普及やインフラの整備など、自社に影響を及ぼす要因の中でも技術に関するものを指します。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
  • AIの進歩
  • IoTの普及
  • インフラの整備
  • 機械学習の進歩
  • 自動運転システムの普及
  • ブロックチェーン
  • メタバースやARの用途の多様化
  • 設計技術の進歩
  • 特許
  • 技術開発投資レベル
 例えば、スマートフォンの台頭を背景に、ガラケーに対する需要は低下しています。その一方で、スマートフォンアプリに対する需要は増加しています。

PEST分析の目的

 PEST分析の目的は、以下のとおりです。
  • マーケティング戦略や施策の方向性の明確化
  • 市場の変化の予測
では、それぞれについて解説します。

▽マーケ戦略や施策の方向性の明確化

 PEST分析を行うことで、マクロ環境の現状分析や今後の変化の予測ができるため、それらをマーケティング戦略や施策の方向性の明確化に活かせます。例えば円安が今後も長期的に続きそうな場合は、輸出ビジネスを展開してみようという試みができますし、コロナ禍によってインドアの趣味に対する需要が増加している場合は、新たなゲームアプリを開発してみようという判断ができるかもしれません。

▽市場の変化の予測

 市場は、社会情勢や経済動向など、一企業の力が及ばないような要因によっても変化します。そのため、PEST分析によって外部環境について知ることで、市場の将来の変化を予測しやすくなります。例えば、新規市場への参入を検討することもできますし、逆に既存の市場からの撤退を決断することもできます。

PEST分析の手順

 PEST分析の手順は、以下のとおりです。
  • 環境要因の分析対象を設定する
  • 対象から情報収集する
  • 情報を「P」「E」「S」「T」に分類する
  • 分類した情報をさらに「事実」と「解釈」に分類する
  • 事実を「機会」と「脅威」に分類する
  • 機会と脅威を「短期」と「長期」に分類する
  • 分析結果を事業戦略に反映させる
 では、それぞれについて解説します。

1.環境要因の分析対象を設定する

 まずは、環境要因の分析対象を正しく設定しましょう。なぜなら、環境要因の分析対象が誤っていると、そこで得られた情報は自社の事業戦略の策定にまったく役立たないものになってしまうためです。例えばカレー屋を営んでいるとして、教育制度の動向について情報収集したとしても何の意味もないでしょう。したがって、まずはどのような環境要因について分析すると自社の事業戦略の策定に役立つのか検討しましょう。

2.対象から情報収集する

 分析対象が決まったら、そこから情報収集をします。ただし、現在の世の中から得られる情報量は処理しきれないほど膨大であり、またネットやSNSなどには信ぴょう性の低い情報も混在しています。したがって情報収集をする際は、公的機関や上場企業が発信している情報など、信ぴょう性の高い情報に的を絞りましょう。

3.情報を「P」「E」「S」「T」に分類

 情報の収集ができたら、それらを「P」「E」「S」「T」に分類します。情報によってはどの種類に該当すべきか曖昧なものもあるかもしれませんが、情報を分類すること自体は目的ではなく、あくまで事業戦略策定のための手段に過ぎません。そのため、そこにこだわって時間や手間をかけ過ぎないようようにしましょう。

4.分類情報を「事実」「解釈」に分類

 情報の分類ができたら、それらを事実と解釈に分類します。事実と解釈それぞれの定義は、以下のとおりです。

・事実:データや実際に起きていることなど、誰が見ても明確なもの
・解釈:データを見たことによる感想など、個々人の主観が介在するもの

 例えば、少子高齢化が起きていることは事実です。それに対して、少子高齢化によって玩具の売上が減少するだろういう予測は解釈に該当します。

 そして、PEST分析で重視するのは事実の方です。なぜなら、事実について分析して事業戦略に取り入れた方が、想定どおりの成果が得られやすいためです。そのため、分類した情報の中でも何が事実に該当するのか明確にしましょう。

5.事実を「機会」と「脅威」に分類

 得た情報の中方事実を抽出したら、これらを機会と脅威に分類します。機会と脅威の定義は、以下のとおりです。
機会 自社にとって有利に働く要因
脅威 自社にとって不利に働く要因
 ただし、同じ事実であっても機会となるか脅威となるかは、企業によって異なります。例えば円安という事実は、製品の材料・原料の輸入を行っている企業にとっては脅威でしょうし、反対に輸出ビジネスを営む企業にとっては機会となります。そのため、機会と脅威の分類には、ある程度の主観が求められます。また、さまざまな要因によって機会が脅威に、脅威が機会に変わる可能性があるため、分類は多角的な視点から行いましょう。

6.機会と脅威を「短期」「長期」に分類

 事実を機会と脅威に分類ができたら、今度はこれらを短期(近いうちに起こること)と長期(将来的に起こること)に分類します。なぜこのようなことを行うのかというと、チームメンバー間で時間軸の認識にズレがある場合、事業戦略策定に向けた議論が成り立たないためです。例えば「売上10%増加」という目標を立てた場合、それを1年後に達成したいのか5年後に達成したいのかで、当然適切な戦略は変わってくるでしょう。したがって、機会と脅威をそれぞれさらに短期・長期に分類する必要があります。

7.分析結果を事業戦略に反映させる

 最後に、分析結果を事業戦略に落とし込みます。この段階では、脅威の明確化によるリスクの回避、機械の明確化による事業の成長を目指します。前段階では、機会と脅威を短期・長期に分類しましたが、特に短期かつ緊急性が高いものは優先して事業戦略に盛り込みましょう。

まとめ:PEST分析に挑戦してみよう

 PEST分析を行うことで、外部環境の状況や変化による自社への影響を考慮したうえで事業戦略を立てられるようになります。現在のコロナ禍のように、今後も外部環境が急激に変化する可能性があるため、外部環境にも目を向けておくと柔軟な対応ができるようになるでしょう。
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