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通販通信ECMOニュース・記事ECモール30年前のヘッドライトも売れる!円安で追い風のeBayが2022年を総括

2022.12.21 ECモール

30年前のヘッドライトも売れる!円安で追い風のeBayが2022年を総括

 2022年はEC・通販業界にとっても激動の一年だった。新型コロナウイルスの影響は長引き、ウクライナでは戦争が勃発した。諸々の影響はグローバルの物流に影響を与えた他、日本国内でもあらゆる物価の上昇が引き起こされた。そんな中、越境ECはどうだったのか。国際プラットフォーム「eBay」運営の日本法人イーベイ・ジャパン(株)の岡田雅之社長に、今年の欧米を中心とする越境ECの現状を総括してもらった。



円安と戦争の影響色濃い一年に

 ––2022年の越境EC市場についてどう捉えているか。

 岡田:振り返ってみるとやはり、ウクライナでの戦争と深刻な円安で大きく潮目が変わった。これは想定していなかったことで衝撃的だった。特に戦争の影響は大きく、ロジスティクスがここまで影響を受けるのかと動揺を禁じ得なかった。航空貨物が一部地域の上空を通過できないという影響は大きかった。ただDHLやFedExといったクーリエ(国際宅配便)ブランドが迂回路を取って送達を可能にするなど柔軟性をもって対応してくれたのは頼もしかった。eBayセラー(出店者、出品者のこと)側も大半がクーリエシフトが完了しているためeBayとしてロジスティクスの破綻は避けられたと感じている。ちなみにクーリエ利用だと例えば日本国内から米国のニューヨーク宛てだと約26時間で送達する。もちろんバイヤーの居住地域にはよるが国内取引に近しいスピードまで発展している。

 ––世界の消費動向に対する所感は。

 岡田:アメリカについては影響は軽微だったが、多くの国で消費者心理が冷え込んだ一年だったと言える。ウクライナでの戦争が勃発した直後はEU圏の消費心理が冷え込んだのが明らかだった。海外ではコロナ禍による巣ごもり需要はすでに落ち着き、加えてインフレが始まった影響も相まって消費の冷え込みが加速したと思う。

円安で世界中のバイヤーが日本に熱視線

 ––日本はどうか。

 岡田:一方で日本はと言うと、円安が直撃したことによって世界中からの需要が伸びるかたちとなった。4月以降は円安を追い風にして、越境ECという市場でトップを走ったという印象だ。国内で考えると円安はネガティブな要素だが、海外バイヤー(購入者)からすると日本の商品を安価に手に入れるチャンス。eBayセラーなど越境取引を手掛ける国内の販売事業者は円安のメリットを大きく受けたと言える。我々としてはありがたいことに今年はマスメディアからの取材依頼が多かった。「円安で越境ECにチャンス」といった切り口などで10回以上テレビ取材もあり、毎月のように越境ECに関するコンテンツで露出ができた。それだけに注目度が高まっていると感じている。

換金性高い高額品の取引加速

 ––円安下でeBayの日本セラーの売れ筋動向はどうだったか。

 岡田:やはり換金性の高い高額品の動きが加速した。例えば、時計・ジュエリー・ハンドバックといった物だ。海外バイヤーの投機的な目的に対し、日本セラーの出品商品は円安というメリットに加えて「日本は偽物の心配がない」というイメージがあるためかなり売れた。加えてeBayが独自に提供している真贋保証サービスもありバイヤーはより安心をして取引ができていると思う。我々としても専門店などのセラーと組んで売るための後押しをした。これが当たった。

––近年はトレーディングカードの動きなど話題になることが多かったが、今年はどうだったか。

 岡田:今年の前半はトレカ類の取引は定着傾向で落ち着きを見せ始めていた。ただ、後半からは各トレカ銘柄で新作カードが投下されたことなどもあり再燃している。そのほかの売れ筋動向もある。以前も話題にしたがコロナ禍によってセラーのクーリエシフトが進んだ。そのため大きいものや重いものも売りやすくなったセラーが増えている。その影響もありオートパーツ(車パーツ)の人気がさらに高まった。こちらも今年後半から動きが加速している印象だ。インフレによって国際レベルのサプライチェーンが破綻している。その影響もあってか、車については修理の部分への注目が集まっているように思う。その中で、マニアックなカーパーツの動きが多い。例えば80〜90年代のスポーツカーの部品などの需要が高まっている。30年前の車の中古ヘッドライトなども売れているのは私も驚きだった。

測定器からソーラーパネルまで売れる

 ––そのほかユニークな商品の動きなどはどうか。

 岡田:サプライチェーンの破綻について触れたが、その影響でインダストリーの現場用品などの需要がeBayで起きている。何かというと例えば「測定器」といったような工場で使うような物が動くのだ。平時の調達先の動きが鈍くなっても、今の例で言えば現場は測定器が壊れたら今すぐ必要だ。そういう際の調達場としてもどうやらeBayが使われているようなのだ。そのほか最近寒い季節に突入してきてからは、ドイツのバイヤーがソーラーパネルやバッテリーというものを買っている傾向もあったりする。世の中で何かが起きている時、それに呼応した需要という物が顕著に商品の動きに顕れていると言えるのではないか。そうした意味ではeBayという売り場は不況知らずだ。円安の話で言えば、円安は海外バイヤーからすると安く手に入れるチャンスであり、セラーからすると海外から買ってもらう絶好のチャンスだ。eBayは天候や世界情勢などあらゆることにインサイトを見出してビジネスチャンスを掴める場と言えると改めて感じている。

動画による安心感に商機

 ––eBay内の売り方トレンドなどはどうだったか。

 岡田:我々の広告商品が拡充されたこともあり、広告展開によって奏功するセラーは増えてきた。そのほかeBayのマーケティングツールが発展していることもあり、クーポン戦略などをうまく工夫して成功させるセラーも増えたように思う。そのほか、動画の重要性が増している。出品商品の見せ方として動画での訴求は強力にバイヤーに効いていることがわかってきた。セラーの皆さんには、ぜひ動画コンテンツを作って欲しいと呼びかけている。もちろん商品ごとの紹介動画などを用意できればベストだが、セラー自体を紹介するものや実際の梱包の場面などちょっとしたコンテンツでもいい。やはり動画として見えるものがあると言う点にバイヤーは安心感を持つようだ。商品ごとはもちろん、ストアフロントにも動画を入れられるようになっている。ぜひまずは1本、凝ったものでなくていいのでなにか動画を用意して欲しいと呼びかけている。

eBayアプリからの出品も可能に

 ––プラットフォームとしての、eBayの今年の取り組みはどうだったか。

 岡田:eBay全体で「技術をもってeBayを再定義する」という動きがある。海外では先行で開放してきた機能を日本でも提供できるようになってきている。一例を挙げると、eBayアプリを通じて国内CtoCフリマアプリのように簡単に出品できるようになる。出品補助として画像認識の機能も備えており、例えばポケモンカードなどは画像認識で商品情報を呼び出してくれたりする。アプリ出品はもう間も無く提供できる予定だ。

 ––セラー数の推移はどうだったか。

 岡田:おかげさまで絶好調で、セラー数ベースでは20%増の着地となりそうだ。2年未満の新規セラーによる流通額を切り出してみると昨対比で約40%の伸びだ。個人法人問わず、円安によって外貨獲得ひいては越境ECに対する興味を持つ方が明らかに多くなった。手段としてeBayに目を向ける人も増えた。我々としては新規セラーが増えていることもあり、セラー向けのエデュケーションコンテンツの充実も強化しているところだ。大きな動きとしては日本セラー向けに12月22日から「eBay Academy for Japan」の提供を開始した。これは米国や英国ではすでに提供されているセラーサポートの取り組みの日本版だ。ウェビナーやオンラインワークショップ、ラジオのような音声によるお役立ちコンテンツを用意している。いつでも都合の良い時に視聴できるeラーニングも準備中の段階だ。

 ––2023年の展望は。

 岡田:eBayとっての追い風は続くと思っており、ある意味で楽観視はしている。eBay全体の中で日本セラーの存在感は年々高まっている。3年で1.8倍成長、4年でみると2倍強の伸びだ。本社がより日本に投資してくれるという流れだ。2023年もこの流れを維持したいと思う。

 –最後に越境EC参入を検討する読者にメッセージを。

 岡田:円安はいつまでも続くわけではないと思う。ただ、今この瞬間は間違いなく大きなビジネスチャンスがある。また、こうした状況の勝ちパターンを把握するのもまたとない機会と言える。越境ECにとりかかるには確実にいいタイミング。ぜひ1品から世界を相手に商品が売れるeBayにチャレンジして欲しい。先ほども話したように、eBayは30年前の車のヘッドライトも売れると言う世界観の売り場だ。家のタンスや倉庫に眠っているものにもビジネスチャンスが見出せるのがeBay。個人法人問わずぜひ一歩踏み出してもらいたい。

 –ありがとうございました。

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