2023.01.20 コラム
【解説】GA4(Google Analytics 4)とは?今と何が違うのか?
2020年10月にリリースされたGoogleアナリティクスの最新バージョン「Google Analytics 4 プロパティ(GA4)」。
本記事では導入を検討してはいるが、現行のGoogle アナリティクスとは何が違うのか、どういったことが出来るのか、設定方法など、Web担当者が気になる内容を、専門家の監修のもと詳しく解説していきます。
GA4(Google Analytics 4)とは
GA4とは、現行のアナリティクスに代わる次世代のGoogleアナリティクスです。現行のアナリティクスは「ユニバーサルアナリティクス(UA)」と呼ばれ、GA4が2020年10月にリリースされるまでデフォルトのプロパティとなっていました。
現在、新しいプロパティを作成する際にはGA4が設定されるようになっていますが、2023年7月以降、UAのプロパティは使用できなくなります。そのため、まだUAを使用している場合にはGA4への移行が必須です。移行が必須な理由については、次で詳しく解説します。
また、GA4では、さまざまな機能がアップデートされているため、現行のUAとの違いについても見ていきましょう。なおGA4の詳細はこちらの公式ページからご確認ください。
Google公式HP:https://support.google.com/analytics/answer/11583528?hl=ja
GA4への移行は必須!UAと並行して運用できる
GA4の概要について触れましたが、以下の理由からGA4への移行は必須となります。
- UAは2023年7月廃止予定
- GA4を実装してもUAは同時に使える
- GA4にデータは引き継がれない
現行のサポートが終了するのはまだ先のことなので、いつ導入すべきか迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。現行のUAが廃止される2023年7月までに移行すれば問題ないのですが、できれば早めに移行してしまいましょう。
なぜなら、UAとGA4はデータの計測や分析方法が異なるため、前年のデータと比較する際に誤差が生じる可能性があるためです。そのため、しばらくはGA4とUAの両方を運用し、どの程度の数値差が生じているのかを確認しておく方が良いでしょう。
また、新しいプロパティの仕様や操作に慣れておくためにも、なるべく早くGA4を導入することをおすすめします。以下よりGA4へ移行が必須である理由について、詳しく解説します。
UAは2023年7月1日で廃止
現行のUAは2023年7月1日で廃止予定のため、GA4への移行が必須です。廃止されてしまうとUAのレポートやAPIを介したデータにアクセスできなくなります。
また、2023年7月1日以降にUAで処理されたデータにアクセスできるのは6ヶ月間のみです。そのため、なるべく早く移行し、GA4のデータも取得しておくようにしましょう。
なお、使用を開始したタイミングによっては既にGA4がデフォルトになっているため、移行の必要がない可能性もあります。今回の移行が必要になるのは、2020年10月14日までにプロパティを作成した場合が多いです。
詳しくは、現在使用しているプロパティが新旧どちらのものかを確認してください。
GA4とUAは並行して使える
GA4へ移行すると、UAが使用できなくなるのではと懸念している方も多いのではないでしょうか。実は、GA4とUAはアナリティクス管理画面上で簡単に切り替えることで、互いに干渉することなく並行して使用できます。
GA4とUAは仕様が異なるため、どれだけ知識の豊富なマーケターであっても、使いこなすまでには一定の時間と学習が必要です。いきなり不慣れなGA4に移行してしまうと、使いこなせないままデータ比較を行わなくてはならず、焦りが生じる可能性もあります。
その点、GA4を早く導入しておけばUAで分析を行いつつ、GA4の操作にも慣れることが可能です。そのため、UAと並行して使用しつつ、徐々にGA4の操作に慣れる必要があるでしょう。
GA4へのデータ移行は不可!導入は早いほうが良い
前述の通りGA4とUAではデータの計測や分析方法が異なり、UAのデータはGA4に移行できません。
そのためGA4を早めに導入し、データを蓄積しておくに越したことはないです。まだUAが使用できるからといって導入を先延ばしにしていると、いざGA4に切り替わった時にデータが何もなく分析を行えないといった事態になりかねません。
とくに、Webサイト運用でUAを使用している場合、マーケティングの観点から前年とのデータ比較を行う場合も多いでしょう。そういった場合に、UAのデータにアクセスできなくなってしまうと、適切なデータ比較が行えません。
そのためできるだけ早くGA4に移行し、より多くのデータを蓄積しておく必要があることを念頭に置いておきましょう。
GA4とユニバーサルアナリティクスの違い
また、それぞれの項目について以下より詳しく解説します。GA4とUAの大きな違いは以下の表の通りです。
GA4 | UA | |
---|---|---|
データ収集方法 | ユーザーベース | セッションベース |
複数デバイスを使用するユーザーの計測方法 | ユーザーごと | セッションごと |
データ計測方法 | すべてイベント単位 | ヒットで受け取ったデータを セッションベースに変換 |
ユーザー行動計測の設定 | 自動設定もあり | 手動設定のみ |
それぞれの項目について以下より詳しく解説します。
データ収集がユーザーベースに
GA4とUAの大きな違いは、データ収集がユーザーベースになったことです
UAの計測対象はセッションベースで、セッション中心の分析がメインでした。そのため、UAはセッションの最適化を重視するツールだといえます。
これまでは「セッションのCVRを上げる」という考え方が主流でしたが、エンゲージメントという概念ができたことで「セッションのエ ンゲージメント率を上げて、最終的にユーザーのCVRを上げる」という考え方に変わっていくでしょう。
たとえば、UAでは標準レポートとして「ランディングページ」「新規顧客とリピーター」「リピートの回数や間隔」などがありますが、これらはセッションベースの項目です。
一方、GA4では上記の項目は標準レポートから削除され、代わりに「ユーザー獲得」「維持率」などユーザーベースの項目が加わっています。このことから、GA4では計測対象がセッションからユーザー中心の分析になることが分かります。
GA4で採用されているユーザーベースの特徴は、どのようなユーザーにWebサイトを訪問してほしいかという視点から分析を行うことです。つまり、自社により合うユーザーを見つけるためのツールになったといえます。
自社に合うユーザーに訪問してもらうことで、コンバージョンの改善も期待できるでしょう。
このように、GA4とUAではデータの収集方法が異なるため、別の分析ツールになることを念頭に置いておいてください。
複数デバイスを使用するユーザーの計測が可能に
UAではセッションごとにユーザーを計測していますが、この方式ではPCやスマホ、タブレットなど複数デバイスを使用するユーザーを別々のユーザーとしてカウントしてしまうという現象が生じます。
一方、GA4では複数デバイスを使用するユーザーの計測が可能になりました。たとえばネットショッピングをする際など、移動中にスマホで商品を探し、実際に購入するのは帰宅後に自宅のPCからといった行動も分析できます。
このように、同一ユーザーが複数デバイスで訪問した際に、1ユーザーとして認識されるようになったのです。そのため、複数デバイスで閲覧される可能性があるWebサイトに関しては、積極的にGA4を利用していきましょう。
データ計測方法がイベント単位に
GA4ではデータの計測方法がセッションからイベント単位になりました。
詳しくは以下の表でご確認ください。
GA4 | UA | |
---|---|---|
PV | イベントとして計測 | PVとして計測 |
Eコマース | Eコマースとして計測 | |
コンバージョン | 目標として計測 | |
カスタムディメンション | イベントorユーザープロパティとして計測 | カスタムディメンションとして計測 |
イベント | イベントとして計測 |
UAではセッションベースに基づいて計測を行っていましたが、GA4では全てイベント単位に置き換わっています。たとえば、UAではそれぞれセッションとして計測されていたPV、Eコマースのデータは、GA4では全てイベントとして計測されます。
ただしイベントとして計測されたからといって、PVのデータが取得できなくなるわけでなく、イベントにラベルが設定されているため判別することも可能です。このように、UAとGA4はデータの計測が異なるため根本的に全く別の計測ツールであると考える必要があるでしょう。
ユーザー行動の計測が簡単に
UAではユーザー行動を分析するには、手動でタグを設置する必要がありました。そのため、経験豊富なマーケターなら問題ないですが、ITリテラシーが低い人や使いはじめの人にとっては、やや難しい設定方法となっていました。
一方、GA4ではボタン一つで簡単に計測できるなど、設定が簡素化されています。たとえば「ファイルのダウンロード」や「サイト内検索」などの項目は標準で設置されており、各項目についてボタンの切り替えだけで計測が可能です。
設定方法が簡単になったことで、ユーザー行動の計測がより効率よく行えるようになるでしょう。
その他にも変わったこと
その他にも、GA4では主に以下の点が変更になりました。
・「直帰率」「離脱率」「PV数」「ページ/セッション」の廃止
GA4では「直帰率」が廃止され、代わりに「エンゲージメント」という項目が追加されました。エンゲージメントとは、ユーザーが一定時間以上のセッションやイベントを行った際に計測される項目です。
また「直帰率」と同様に「離脱率」「PV数」「ページ/セッション」も廃止されます。そのためGA4で「離脱率」を確認したい場合は離脱数から計算して出す必要があります。
・レポート構成が大幅に変わった GAではレポートの他にデータ探索が追加されるなど、UAと比較するとレポート構成が大幅に変わっています。レポートはUAで利用されているレポート同様にあらかじめ設定された項目が表示されます。
一方、データ探索はセグメントを利用したり、指標を選択したりしながらデータ分析を行う際に有効です。
・UAでは有料だったBigQueryとの連携が無料に UAでは有料だったBigQueryとの連携が、GA4では無料で行えるようになりました。BigQueryとは、Googleが提供するビッグデータ関連機能です。
BigQueryと連携することで、GA4上だけでは取得できなかったユーザーのインサイトなどの把握が可能になります。
まとめ
今回はGA4について以下のポイントで説明しました。
▼GA4とは? 現行のUAに代わる次世代のGoogleアナリティクスです。
GA4では、UAと比較するとさまざまな機能がアップデートされています。
▼GA4への移行が必須な理由
- UAは2023年7月廃止予定
- GA4を実装してもUAは同時に使える
- GA4にデータは引き継がれない
▼GA4とUAとの違い
- データ収集がユーザーベースに
- 複数デバイスを使用するユーザーの計測が可能に
- データ計測方法がイベント単位に
- ユーザー行動の計測が簡単に
- 「直帰率」「離脱率」「PV数」「ページ/セッション」の廃止
- レポート構成が大幅に変わった
- UAでは有料だったBigQueryとの連携が無料に
今回ご紹介したように、2023年7月以降、UAのプロパティは使用できなくなります。
そのため、UAプロパティを使用している場合、GA4への移行は必須です。2023年7月の廃止予定ギリギリまで先延ばしにするよりも、GA4へのデータ蓄積など早めに移行するに越したことはありません。
GA4の設定方法についても詳しくご紹介したので、この機会にGA4への移行を進めましょう。
監修者:De-STANDARD株式会社 代表取締役CEO 吉田雄亮
滋賀県大津市出身。ファッション雑誌の広告営業主任を経て、Web制作会社で制作ディレクター・営業部長を経験。東証一部上場の大手デジタルマーケティング会社では、アカウントエグゼクティブ課長として、主に健康食品メーカーなどのWebプロモーション・制作・運用・システム案件に携わる。EC業界に特化すべく、売れるネット広告社に入社。コンサルティング部責任者・取締役COOとして、未整備な部分の多いベンチャー組織の体制整備や、並びにクライアントへの提供価値最大化を目指した仕組み作りなど多岐に渡る領域のマネジメントに従事。ECのスペシャリストから通販のジェネラリストを目指すべく、ジェイフロンティアに入社。商品開発やチャネルの開拓など、通販事業主側の戦略を加味した上流の企画立案からクライアントを支援。EC・通販・デジタルの支援実績や組織マネジメントのスキルをもって、De-STANDARD株式会社を設立し、同社代表取締役CEOを務める。
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。
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