2023.01.26 コラム
【目的別】マーケティングで重要な18のフレームワーク解説!ガイドブック付き
マーケティングにおいて、分析・戦略立案・課題解決などをする際に用いられる思考の枠組みとも呼ばれる「フレームワーク」は数多く存在し、フレームワークを上手く活用することで、効率的かつ効果的な施策を立てることができます。
しかし、フレームワークの種類がありすぎることで、どれをいつどの場面で使えばいいか迷ってしまうマーケターの方は多いと思います。そこで本記事では代表的な18のフレームワークを、専門家の監修のもと目的別に分かりやすく詳しく解説していきます。
マーケティングフレームワークとは?
マーケティングにおけるフレームワークとは、課題を摘出、分析し、解決に導くための思考や情報整理のための枠組みを指します。
フレームワークは状況の分析や施策の立案、課題を解決する際にスムーズかつ効果的に検討を行えるよう手助けをしてくれます。一方で、フレームワークはあくまでも思考の枠組みです。
目的別!マーケティングで使える代表的な18のフレームワーク
消費者の購買行動を分析するフレームワーク
- AIDMA
- AISAS
- マーケティングファネル
- フライホイール
- 消費者の意思決定の旅
市場を分析するフレームワーク
- PEST分析
- 5F分析
- 3C分析
- SWOT分析
- クロスSWOT分析
戦略を立てるフレームワーク
- STP分析
- 4P分析
- 4C分析
顧客を知るフレームワーク
- RFM分析
- コホート分析
課題解決のフレームワーク
- MECE
- ロジックツリー
- なぜなぜ分析
消費者の購買行動を分析するフレームワーク
AIDMA
AIDMA(アイドマ)は、消費者が購買行動を起こすまでの過程を体系化したフレームワークです。1920年代にアメリカの著作家、サミュエル・ローランド・ホール氏によって提唱された概念です。
具体的には、Attention(認知する)、Interest(興味を抱く)、Desire(欲しいと思う)、Memory(記憶する)、Action(行動する)の5段階で表しており、各フェーズの頭文字をとってAIDMAと称されています。
AIDMAを活用して消費者が購買行動に至るまでの過程を分けて考えることで、それぞれのフェーズに最適な施策の立案が可能です。
また、施策を体系的に分析することで、自社のウィークポイントを見つけるきっかけにもなります。実際に活用する際は、自社の商品やサービスを広めていくためにどのタイミングで消費者に認知され、記憶してもらうのかなど、フェーズごとに具体的な施策を立案していくと有効でしょう。
AISAS
AISAS(アイサス)は、消費者が購買行動を起こした後に共有するまでの過程までを体系化したフレームワークです。電通が提唱したモデルで、インターネットの普及による顧客の購買行動の変化に合わせて、AIDMAをアップデートしたようなフレームワークです。
具体的には、Attention(認知する)、Interest(興味を抱く)、Search(検索する)、Actionn(行動する)、Share(共有する)の5段階で表しており、各フェーズの頭文字をとってAISASと称されています。
AIDMAと似ているようですが、AISASでは消費者が自ら検索、共有する点で異なります。
ネットの普及によって商品やサービスのレビューを重視する消費者が増えているなか、企業にとってもWebマーケティングにおいて購買後の行動を分析することは重要です。そのため、AISASはWebマーケティングにおける施策を検討する際に有効なフレームワークといえるでしょう。
マーケティングファネル
マーケティングファネルとは、購買行動を起こすまでに消費者の総数が変化していく過程を図式化したものです。
商品やサービスを認知した消費者の中でも、実際に興味を抱いたり欲しいと思ったりするのは一部です。
そのためフェーズが購買に近づくにつれて消費者数も減少していくことからファネル(漏斗)と称されています。
マーケティングファネルはターゲットがどのフェーズにいるのかを仮定し、それぞれのフェーズに合った施策を講じる際に活用できます。
注意ずべきは消費者の購入動機や価値観が多様化しているなか、定義したファネルを必ずしも一つづつ下っていくわけではないという点です。一気に認知から購買に移行することもあれば、興味関心と比較を何度も往復する可能性もあります。
そのため、全体感の把握や次のフェーズに移るための動機づけや、タッチポイントを考える際の情報整理に活用すると良いでしょう。
フライホイール
マーケティングにおけるフライホイールとは、Amazonの創設者であるジェフ・ベゾスが「Amazonフライホイール効果」と呼ばれるビジネスモデルを考え出したことから始まり、その後アメリカのマーケティング会社Hubspot社が提唱したもので消費者の行動と企業のアプローチを、消費者を中心としたフライホイール(はずみ車)の形で表現したフレームワークです。
前述のファネルの考え方では、消費者の購買行動の過程は認知〜購買まで上から下へ一方通行の流れになっていました。
この考え方でいくと、下層にいる人は上層にいる人や新しくファネルに入ってくる人に影響を及ぼすことができないことになります。
しかし実際の市場では、商品やサービスを購買した消費者が満足した口コミをすれば、これからファネルに入る人に直接的な影響を与えられます。
そこでフライホイールの考え方が出てきます。
フライホイールでは消費者の満足度がエネルギーとなり、円滑に回すためにはマーケティング、セールス、カスタマーサービスの3部門のスムーズな連携が求められます。
3要素の連携がうまく整うことで、フライホイールが円滑に回り出して、ビジネスが成長していく仕組みです。
また、HubSpotのフレームワークAttract(惹きつける)、Engage(信頼関係を築く)、Delight(満足させる)、に当てはめるだけでなく、Amazonの例のように、事業成長の好循環を生み出すための仕組みを整理するのにも有効です。
消費者の意思決定の旅
消費者の意思決定の旅(Consumer Decision Journey)は、アメリカのコンサルティング会社マッキンゼーが提唱したフレームワークです。
マーケティングファネルの場合、漏斗型の形状のため下層にいくにつれて消費者の総数も減少する一方向のモデルです。一方、消費者の意思決定の旅の場合は必ず消費者の総数が減少するとは限らないとして、ループやショートカットも含まれたモデルになっています。また、顧客起点という部分もマーケティングファネルと違う部分です。
このモデルにはブランドイメージの向上や愛着など消費者との関係性の構築を含んでいます。
そのため、これまで以上に消費者の満足度を高めることが重要であり、商品やサービスを購入した後の施策も検討する必要があることを反映したモデルになっています。
市場を分析するフレームワーク
PEST分析
PEST分析とは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの外的環境から、業界を分析するフレームワークです。
新商品やサービスの立ち上げ時に、市場環境と自社の強みを整理したり、自分たちの商品やサービスの顧客数の増減を考える際に、外部要因などももれなく考える際に有効です。
マーケティング戦略を検討する前にあらかじめPESTを分析しておくことで、外部要因の影響を受けやすいかどうかや、それに伴う予想外のトラブルやリスクを回避することが可能になります。
たとえば、業界に対して政治が厳しい整備を行う際には市場に逆風が吹くため、新たな商品やサービスを開発することは避けた方がいいでしょう。
一方、業界に対して補助金給付のような制度を発案することがあれば市場は回復することが見込まれます。
このように、外的環境は企業の一存でなんとかできるものではありません。
そのため、戦略を練るうえでPEST分析を行うことは、予想外のリスクを回避するためにも有効だといえるでしょう。
5F分析
5F分析とは、自社の事業にとって脅威となるもの、対抗するものなど、外的環境のうち自社の事業拡大を妨げる要因となるものに焦点を合わせたフレームワークです。
5つの脅威(フォース)は競合他社、代替品、新規参入、売り手、買い手を指し、それぞれの脅威に対して分析を行い、自社の売上向上や新規参入の見込みの分析をしていきます。
自社の事業に影響を及ぼしかねない脅威をあらかじめ明確にしておくことで、有効な戦略を検討できます。また、分析する際にはできる限り多くのデータを集めて、客観的な視点から行うようにしましょう。
仮に5Fで市場環境を整理してみた結果、自社の商品サービスの参入の障壁が低く、顧客から選ばれる理由を作りシェアを取れないと判断した場合は撤退するという選択肢もあるということを意識しておいてください。
3C分析
3C分析とは、Customer(消費者)、Competitor(競合他社)、Company(自社)の3視点から事業における自社の戦略を検討する際に活用できるフレームワークです。
また客観的な視点から分析を行うことも重要で、自社の強みや弱み、消費者のニーズを捉えていくようにしましょう。
SWOT分析・クロスSWOT分析
SWOT分析とは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4視点から業界分析を行い、自社の強みと弱みを明確にしビジネスにおけるチャンスとリスクを考えていくフレームワークです。
SWOT分析ではマトリクス表を用いて、上記4つの視点のうち縦軸に内部環境と外部環境、横軸にプラス要因とマイナス要因を配置していきます。ここで自社がコントロールできるものを内部環境、コントロールできないものを外部環境といいます。
自社の強みと弱みや競合他社など脅威に対する課題を抽出し、可視化していくことで幅広い視点から障壁となる課題点を改善に導いていくことができます。ただしSWOT分析の4つの視点をただ埋めるだけでは課題点の改善にはつながりません。
分析をすることで満足するのではなく、分析結果をもとにした施策を立案することに重きを置きましょう。
また、SWOT分析で利用した4つの視点のそれぞれを掛け合わせることで、各領域における戦略や課題点を明確にするフレームワークのクロスSWOT分析というものもあります。
クロスSWOT分析の具体的な項目は以下の通りです。
- ①強み×機会:強みを成長の機会となるチャンスに生かすための施策。
- ②強み×脅威:強みを活かして脅威を回避するための施策。
- ③弱み×機会:弱みの改善をしつつ成長の機会を掴めるようにする施策。
- ④弱み×脅威:脅威による影響を最小限に抑える施策。
これらの視点で整理することで、各領域における課題解決と戦略の方向性を明確にしていきましょう。
戦略を立てるフレームワーク
STP分析
STP分析とは、Segmentation(市場の分類)、Targeting(市場の選定)、Positioning(市場での立ち位置の決定)の3つの視点からマーケティング戦略を検討するためのフレームワークです。
STP分析を活用することによって既存事業の改善や新規市場の開拓時などに役立ちます。また、競合他社との比較によって自社の商品やサービスにおける強み、弱みが明確となり、他社との差別化を図る際にも有効です。
また、売ろうとしている商品・サービスが十分な市場規模を持っており、事業成長にインパクトを与えるかを知ることも大事になります。市場を絞りすぎて、全ての市場を取りきっても事業が成功しないのであれば、絞り過ぎの可能性や、そもそも市場がない可能性もあります。攻めるべき市場の見極めと、十分な市場があるかの見極めをすることも大事になります
4P分析
4P分析とは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通経路)、Promotion(販促方法)の4つの視点から、商品やサービスを販売する際のマーケティング戦略を検討するためのフレームワークです。
マーケティングを構成する基本的な要素ともいわれる上記4つの視点を軸に検討を進めることで、新商品や新サービスの発案と、何を、いくらで、どこで、どのようにして広めていくのかについてマーケティング戦略を検討する際に役立ちます。マーケティングではプロモーションのみが語られることが多いですが、他の3つの視点も含め網羅的に見渡す視点を持つことが重要となります。
また、4Pは企業側からの視点であるため、戦略を立案する際には、次に紹介する顧客側の視点4Cと組み合わせて考慮することも重要になってきます。
4C分析
4C分析とは、Customer Value(顧客にとっての価値)、Cost(顧客が費やすコスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)の4つの視点からマーケティング分析を行うフレームワークです。前述の4P分析と同様に、新商品や新サービスの発案やマーケティング戦略の検討に役立ちますが、4P分析と異なるのは、顧客からの視点で分析を進める点です。
顧客側の視点に立つことで、どのように成約まで進めていくかを検討するのに有効になります。一方で、企業側からの視点である4P分析を考慮することも重要です。
そのため、4C分析を活用する際は4P分析と組み合わせて、顧客側からの視点と企業側からの視点の双方から多角的な戦略を検討していきましょう。
顧客行動を分析する顧客を知るフレームワーク
RFM分析
RFM分析とは、Recency(直近の購入日)、Frequency(来店の頻度)、Monetary(購入の合計金額)の3つの視点から顧客行動の分析を行うフレームワークです。
RFM分析を活用することによって顧客層をセグメントし、顧客層ごとにコミュニケーションを変えるなどのマーケティング戦略に反映することによって戦略のPDCAサイクルを効率よく回すことに役立ちます。
さらに、顧客の優先順位が明確になるため、成約が見込めない顧客層へのリソースを削減し、その分のリソースを成約が見込める顧客層へ投入することも可能です。
一方で、RFM分析を行う対象の商品やサービスについては、購入される頻度が多く、繰り返し購入できる金額のものに対して有効です。そのため、比較的高額な車や土地、不動産などにおける分析には適していません。
コホート分析
コホート分析とは、古代ローマの兵隊の単位コホートで表されるように、顧客の属性や性別、年齢などで分類分けをし、それぞれの動向や定着度の推移を分析するためのフレームワークです。
コホート分析が活用されるようになった背景には、Webサービスの普及があります。Webサービスを成功させるためには、アクセス数やコンバージョン数など、継続して計測していくべき数値が多数存在し、それらの数値にコホート分析が活用されています。
そのため、Webサイトやアプリの定着度向上のためや、サブスクリプションサービスにおける解約率を把握するのに有効です。また、再利用されるきっかけや、どこで離脱されるかなど、顧客の行動分析からニーズを把握することができ、顧客満足度の向上にもつながります。
課題解決のフレームワーク
MECE
MECEとはMutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略語で、「モレやダブりなく」という意味を指し、ロジカルシンキングの基本的なフレームワークです。
MECEは課題解決を論理的に行うために必要な手法として、マーケティングの分野においても活用されています。
前述したフレームワークはすべてMECEに基づいて体系化されたものだともいえます。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、課題を大きな項目から小さな項目へとツリー状に分解し、解決策を論理的に探るためのフレームワークです。
ロジックツリーを活用するメリットとして、課題の全体像を把握し共有できる点があります。全体像を共有することで、社内での認識のズレを防ぐことにも役立ちます。
また、課題を細分化し、深堀りすることで原因を効率よく特定することが可能です。
課題を分析し、原因が判明したところで、行動に落とし込まなければ意味がありません。そのため、あくまでも課題発見とそのインパクトを可視化するための手段手段としての認識をもち、具体的な行動に落とし込めるようになるまで分解して考えていきましょう。
なぜなぜ分析
なぜなぜ分析とはその名の通り、何度もなぜ?と課題を掘り下げることで根本的な原因を探ろうとするフレームワークです。海外でも「Five Whys」として知られています。
このなぜなぜ分析はトヨタ自動車で生み出されたフレームワークのため、別名をトヨタ式ともいいます。トヨタ式では、なぜ?を5回繰り返すことによって、根本的な原因にたどり着くことができるといわれています。
また、何度も繰り返しなぜ?を続けていくことによって、場当たり的な解決方法ではなく、本質的な問題にぶつかり、具体的な解決策が見つかります。そのため、同じような問題が繰り返すなどの再発の防止にも役立ちます。
あくまでも課題に対する根本的な原因を探ることが目的だと念頭に置いておいてください。
下記の資料では、各フレームワークについてより詳しく解説しています。マーケティング担当者の方や、フレームワークについてより知りたい方はぜひご覧ください。
まとめ
今回は、マーケティングに重要な18のフレームワークについて解説してきました。
ポイントは以下の通りです。
▼消費者の購買行動を分析するフレームワーク
- AIDMA
- AISAS
- マーケティングファネル
- フライホイール
▼市場を分析するフレームワーク
- PEST分析
- 5F分析
- 3C分析
- SWOT分析
- クロスSWOT分析
▼戦略を立てるフレームワーク
- STP分析
- 4P分析
- 4C分析
▼顧客を知るフレームワーク
- REM分析
- コホート分析
▼課題解決のフレームワーク
- MECE
- ロジックツリー
- なぜなぜ分析
マーケティングにおけるフレームワークとは、課題を摘出、分析し、解決に導くための思考の枠組みで、状況の分析や施策の立案、課題を解決する際にスムーズかつ効果的に検討を行えるよう手助けをしてくれます。
一方で、フレームワークはあくまでも課題解決のための手段の一つであることを念頭に置いて、活用を検討することも重要です。
この機会に、今回ご紹介した18のフレームワークから自社の課題に対して最適なものを選び、活用してみてはいかがでしょうか。
監修者プロフィール:達川幸弘
BtoC向け大規模ECサイトを運営するベンチャーでマザーズ上場を経験。マーケティング部のリーダーとして、オウンドメディアの立ち上げを行い1年半で毎月数百万PV、毎月2000万円の売上を生み出すメディアに成長させる。その後、自社コスメの販売を行う企業のマーケティング責任者に就任しブランドマネジメントやO2Oの施策を実施。その後同社のCMOに就任。また、BtoBのSaaSベンチャーでマーケティング責任者・コンサルティングファームでの外資系企業のコンテンツ制作のアドバイザーを行うなど、BtoC・BtoC・オンライン・オフラインの幅広い現場の知見を持つ。
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