楽天グループ(株)が14日発表した2022年12月期決算は、売上収益が前期比14.6%増の1兆9278億円、営業損失が3638億9200万円、当期損失が3728億8400万円となった。
三木谷氏「日本では連結売上高はずば抜けて一番」
同社の三木谷浩史社長は「創業以来、連結売上高は伸びていて、26期連続の増収となった。日本では、連結売上高はずば抜けて一番。世界的に見ても米国と中国を除けば、実質的な売上規模は1位ではないかと思っている」との見解を示した。
また、楽天エコシステムのメンバーシップバリューについて、前期比28.6%増の約8兆3000億円とはじき出し、「この価値が時価総額に近づいていくように努力したい」と話した。
インターネットサービスの売上収益は前期比8.7%増に
2022年の主な指標を見ると、国内EC流通総額は前期比12.3%増の5兆6000億円。楽天カードはショッピング取扱高が同25.8%増の18兆2000億円、発行枚数が同11.9%増(累計2808万枚)。楽天トラベルの国内宿泊流通総額も、コロナ前の2019年比で12.9%増に盛り返した。
三木谷氏は「全体の流通総額は国内勢では1位。Amazonさんは公表していないが我々の方がいい感じだと推測している」と話した。その理由について三木谷氏は、送料無料ラインの統一、サービスの向上などを挙げ、「さまざまな努力が実ってきている」とした。
セグメント別で見ると、インターネットサービスは売上収益が同8.7%増の1兆858億7200万円、セグメント利益が同24.3%減の782億300万円を計上。
ファッション事業の流通総額が1兆円突破
国内ECについては、ロイヤルカスタマーの醸成や新規顧客獲得に向けた販促活動、クロスユースの促進、楽天エコシステムのオープン化戦略などに注力した。
『楽天市場』『楽天西友ネットスーパー』では、巣ごもり消費に伴うオンラインショッピング需要拡大で増加した顧客の定着が進んだ。
『楽天トラベル』は、政府による支援策や、国内旅行の需要回復に合わせた販促によって、取扱高が大幅に拡大した。
また、好調な事業の1つとして「ファッション事業」を挙げ、ファッション事業は流通総額が前年同期比10%増の1兆52億円となり、初めて1兆円を突破した。ファッションが好調な理由として、新型コロナウイルスの影響が弱まったことにより外出機会が増え、コートやオーバーを含めた高額商品の販売が拡大したことなどを挙げた。
楽天広報によると、「Fashion Week TOKYO」で冠スポンサーになったことで、人気店舗の出店が増えたことも追い風になったとした。
成長投資ビジネスでは、楽天広告事業が好調で、22年の広告売上は同15.9%増の1830億円となった。
このほか、米国のオンライン・キャッシュバック・サービス『Rakuten Rewards』なども売上収益を拡大させた。
『楽天カード』発行枚数が2800万枚を突破
フィンテックは、売上収益が同7.2%増の6633億9300万円、セグメント利益が同10.8%増の987億400万円となった。
2022年12月時点で、『楽天カード』の累計発行枚数は2800万枚を突破。昨年3月にまん延防止等重点措置が解除され、オフライン消費が回復したことに加え、巣ごもり需要で定着したオンライン消費も好調を維持し、ショッピング取扱高が伸長した。
銀行サービスは、昨年9月に預金口座数が1,300万口座を突破。証券サービスは、国内株式取扱高が過去最高を更新した。
モバイル事業は、通信料収入の増加などにより、売上収益が同62.0%増の3686億6900万円に拡大。自社基地局設置の先行投資が継続中のため、セグメント損失は4928億3000万円を計上した。
三木谷氏は、Q1・2で大きく収益を改善し、Q3・4ではパートナー回線エリアから楽天回線エリアへの切り替えが進むことによる費用削減効果から、さらに大幅に収益が改善すると見込んだ。
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