中国のアリババグループ・ホールディングがこのほど発表した2023年第3四半期(22年10月~12月)決算は、売上高が前年同期比2%増の2477億5600万元(約4兆9551億円)、純利益(非GAAPベース)は同12%増の499億3200万元(約9986億円)となった。
コマース事業の売上高は約3兆3997億円
需要の低迷に加え、コロナ禍の対策変更によりサプライチェーンと物流に混乱が生じたにもかかわらず、堅調な業績を達成。業務効率改善とコスト最適化を継続することで力強い利益成長を実現した。
コマース事業の売上高は1699億8600万元(約3兆3997億円)。タオバオとTmallのオンライン流通総額(GMV)は前年同期比で1桁台半ばの減少に留まった。主にアパレル・アクセサリー製品の需要低迷によるが、ヘルスケア製品、ペットケア製品、生鮮品の成長と電化製品の減少幅縮小で部分的に相殺された。
タオター(淘特、旧・タオバオ特価版)とタオツァイツァイ(Taocaicai) は、新規ユーザー獲得のための投資を最適化し、全体の経営効率向上で、引き続き赤字幅を縮小している。
タオバオとタオターの直接販売製品GMVは前年同期比35%以上増加した。タオツァイツァイは引き続き購入頻度の高い食料品と生鮮食品におけるアリババの市場獲得を促進。グループの直接販売とその他の売上は前年同期比10%増の744億2100万元(約1兆4884億円)で、主にフーマー(盒馬鮮生)とアリヘルス(阿里健康)の売上増加による。
グローバルコマース事業の売上高は大幅増に
グローバルコマース事業の売上高は前年同期比18%増の194億6500万元(約3893億円)。Lazada、AliExpress、Trendyol、Darazなどのプラットフォームを含む小売事業の総注文数は同3%増で、Trendyolの注文数増加は目覚ましく、主にローカルサービス事業の急成長とEC事業の力強い成長によるものだ。
Lazadaの東南アジアでの注文数の成長は回復し、前年同期比で微増。Lazadaはより多くの高付加価値サービスを提供することによる収益性向上と経営効率向上を継続しており、受注単位の損失は前年同期比で改善されている。
ローカルサービス事業の売上高は前年同期比6%増の131億6400万元(約2633億円)、総注文数は横ばいだった。デリバリー事業では、ウーラマ(餓了麼) の1受注あたりの収益性が引き続きプラスを維持。平均注文額が前年同期を上回り、注文ごとの配送コストが前年同期を下回ったことによる。
ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)の売上高は、前年同期比27%増の165億5300万元(約3310億円)。主に21年末から実施したサービス拡充で顧客体験が向上し、消費者向け宅配サービスの売上が増加したことと、国際物流のフルフィルメント・ソリューションサービスの売上が増加したことによる。売上高の72%は外部顧客からのものだった。
ツァイニャオはエンドツーエンドのロジスティクス機能を強化することで、スマート物流ハブ、長距離輸送網、仕分けセンター、ラストマイルネットワークを含む国際物流ネットワークを拡大し続けている。新しい国際仕分けセンターを5か所開設し、海外は合計で15か所になった。
国内でも引き続き、中国コマース事業の顧客のために宅配サービスの拡大を続けている。天猫W11の期間中、直接またはツァイニャオ・ステーションを介した配送を含めると、1日の宅配数は最大で1800万件以上となった。
パブリッククラウドが堅調に成長
クラウド事業の売上高は、前年同期比3%増の201億7900万元(約4036億円)。主にパブリッククラウドの堅調な売上高成長に牽引されたもので、ハイブリッドクラウドの売上高減少により部分的に相殺された。IT業界以外の顧客からの売上高は同9%増で、アリババクラウドの総売上の53%を占めている。非IT業界からの売上高増加は、主に金融サービス、教育、自動車業界の牽引によるものだ。
アリババクラウドは世界各地における拠点を強化し続けている。22年中にサウジアラビア、ドイツ、タイ、韓国、日本に新しいデータセンターを開設し、現在世界中の28か国・地域と86アベイラビリティゾーンでサービスを提供している。
デジタルメディアとエンターテインメント事業の売上高は75億8600万元(約1517億円)。ヨウクの1日平均有料会員数は前年同期比2%増で、背景にあるのは、主に良質なコンテンツと88VIP会員による継続的な貢献。コンテンツや制作能力への規律ある投資を通じて経営効率改善を継続しており、7四半期連続、前年同期比の赤字幅を縮小している。
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