(株)電通デジタルが5日発表した『企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)調査(2022年度)』によると、着手企業は84%に上昇。推進する上での障壁も減少傾向で、「定着・一般化」の様相も。「全社変革期」という新たな局面を迎えつつあるともいえそうだ。
成果が出ている企業は21年から5.5pt増の75.4%
同様の調査は6回目。今回は22年12月12日~21日に、従業員数500人以上の国内企業所属者3000人(委託先の日経BPコンサルティングの提携モニター)から聴取した。
それによると、「DXの取り組み状況」は、着手している企業が84%(21年調査では81%、20年は74%、19年は70%)となった。「DXを推進する上での障壁」に関しては、「投資コスト」が23.2%(19年比8.9pt減)、「デジタルやテクノロジーに関するスキルや人材」が22.7%(同7.8pt減)、「企業文化」が16.7%(同3.2pt減)などとなっていた。
成果が出ている企業は75.4%で、21年から5.5pt増加。成果創出領域は、「業務プロセス/業務システムの改善」(67.4%・20年比7.0pt増)といった従来からの改善領域が最多だった。
戦略の策定や部門間連携などが成果を出すポイントか
また、「部門間連携の強化」(60.7%・同6.7pt増)、「デジタル戦略に即した組織開発・再編成」(60.1%・同5.4pt増)、「イノベーション文化の醸成や推進」(57.2%・同5.3pt増)、「デジタルスキルを向上させるための人材開発・教育・採用」(59.1%・同4.5pt増)など、組織/企業文化/人材といった基盤領域の伸びが高かった。
成果が出ている企業と、出ていない企業での比較では、「データ活用推進のための戦略の策定」が94.3%:21.5%、「部門間連携の強化」が93.6%:21,5%、「イノベーション文化の醸成や推進」が93.6%:18.7%、「製品サービスや業務に対するテクノロジーの活用(IoT、AIなど)」が93.0%:24.3%などとなっていた。
成果創出には「部分最適ではなく、全社変革に取り組む必要性」
同じく「ミッション・パーパス」の実践度合いでは、「ミッションやパーパスが戦略や思想にとどまらず、アクションプランにまで落とし込んでいる」が79.0%:14.4%、「 ミッションやパーパスを踏まえ、人材などのリソース要件定義がされている」が79.6%:15.4%、同じく新規プロダクト・サービスの開発・改善が行われている」が79.6%:17.3%などとなっていた。
17年から継続してきたDX調査の結果に加えて、今年はDXの成果が出ている企業へ具体的な取り組みについてインタビューを実施した。その結果、成果創出のためには「部分最適ではなく、全社変革に取り組む必要性」があることが改めて浮き彫りとなった。インタビューなどによる8つのKSF(Key Success Factor:重要成功要因)は――。
「社内体制」では、ミッションやパーパスなどの経営ビジョンに基づき社員が行動、組織・人事の変革が行われDX専門組織を起点に社内の部門間連携が円滑/「指標」はDXによるビジネスインパクトは中長期視点で管理、顧客と従業員の満足度は同等に重要視、社会課題解決は自社の重要課題と位置付け事業として取り組む。
「アセット」の面では、顧客資産を重要視し、顧客体験価値を高め続ける取り組みを実施、データの利活用サイクルが確立され、データ活用人材の育成強化に積極的/「カルチャー」は社内・社外問わず人材交流や協働、共創が活発。
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