(公社)日本通信販売協会(JADMA)が29日発表した「2022年度通販広告実態調査報告書」によると、ウェブや新聞・雑誌、チラシ、SNS、テレビなどの通販広告を調査した結果、「不適正な比較広告」「負担の総額が分かりにくい広告」「社会的影響力のある名称を使用した広告」などが多数見つかった。
▽関連記事
健食留意事項改正の背景とポイントとは?消費者庁・田中室長に聞く(前)
栄養機能食品の広告でイメージ調査を基に「№1」表示
調査は2月13日~26日の2週間、中部6県を対象に実施。合計893件の広告を収集し、その中から185件を選定して評価した。
調査結果を類型別に見ると、1点目として「不適正な比較広告」がある。「ランキング№1」「日本一」といった表示の根拠となる調査内容が恣意的であるにもかかわらず、公平な調査と見せかける手法が確認された。
同種の商品を宣伝するサイトのイメージ調査にすぎないが、購入者を対象とした満足度調査であるかのように表示するケースや、調査結果を不正確に引用するケースも見られた。
事例として、栄養機能食品のウェブ広告を紹介。広告は「女性が選ぶ美味しくて簡単に続けられると思う美容ゼリー№1」とアピールしているが、比較の根拠がサイトのイメージ調査であるという注釈が分かりにくく表示されていた。
投資セミナーの動画・ウェブ広告では、「生徒数・講義数 日本一」「ギネス記録を獲得」と表示していた。しかし、ギネス記録は「グリーティングカードで作った最大文章」であり、生徒数や講義数とは無関係である旨の注釈を分かりにくく表示していた。
ダイエット食品の「全額返金保証」…対象は安価な初回購入価格のみ
2点目は「負担の総額が分かりにくい広告」。「お試し購入」「初回500円だけ」と目立つように表示しているものの、実際には定期購入契約だったという手法が散見された。さらに、「全額返金保証」と強調しながら、返金の範囲が限定されているケースも確認された。
事例を見ると、医薬品のウェブ広告で「お試しで買うには…でも今なら…1680円」と表示しながら、「おトクな定期コース」と分かりにくく表示することで単品購入契約のような印象を与えていた。
ダイエット食品のウェブ広告では「全額返金保証」とうたっていたものの、返金対象が安価な初回の購入価格のみであることなどを分かりにくく表示していた。
「内閣府認証〇〇(団体名)」の化粧品も
3点目として「社会的影響力のある名称を使用した広告」がある。「行政機関認証」「○○ニュースのトップでも掲載」など、公的機関や大手メディアの名称を用いる手法だ。商品・サービスの優良性を訴求しているが、実際には社会的な影響力を持つ団体などと無関係なケースがあった。
報告書は、公的機関やメディアの名称を用いると、消費者は広告内容が事実であるとの印象を強め、商品選択に影響を与えると指摘。このため、事実に基づいて記載することや、性能・効能効果を過度に強調しないようにする必要があるとしている。
事例を見ると、化粧品のウェブ広告で「内閣府認証〇〇(団体名)」などと記載し、商品の効能効果について消費者に誤認を与えるような表示を行っていた。
また、脱毛施術のアフィリエイト広告で「〇〇(ニュースメディア名)のトップでも掲載」「きのう有名情報番組で〇〇(商品名)が紹介された」とうたっていたが、そうした事実は確認できなかったという。
JADMAでは、不適正な表示を行っていた通販会社へ改善要望を通知するとともに、関係各所との情報共有により、通販広告の健全化を進めるとしている。
■「2022年度通販広告実態調査報告書」
https://www.jadma.or.jp/pdf/2023/jadma_koukoku2022.pdf
▽関連記事
健食留意事項改正の背景とポイントとは?消費者庁・田中室長に聞く(前)
消費者委の「SNSに関する建議」で消費者庁、水面下に潜む本丸まで調査へ
▽関連資料
EC表示規制「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」解説資料
この続きは、通販通信ECMO会員の方のみお読みいただけます。(登録無料)
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。