通販通信(ECMO)主催のセミナー「ChatGPTを活用したECの売上UP&コスト削減法を大公開!」が6月28日に開催され、ChatGPT活用によるECの売上拡大やコスト削減のためのポイント、活用のコツ、事例などが報告された。参加者から大好評だった同セミナーの各講演のポイントを、ダイジェスト版としてまとめた。
※同セミナーでは実際に講師がChatGPTを利用して実演しながら解説をしています。
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【アーカイブ配信:7月25日】「ChatGPTを活用したECの売上UP&コスト削減法を大公開!」
「ChatGPTを活用したECの売上UP&コスト削減法を大公開」
(株)WUUZY 代表取締役 竹中星矢 氏
竹中氏「ChatGPTは特化性能を持ったAIの1つにすぎない」
ChatGPTをはじめとするジェネレーティヴAIによって、何ができるのかについてお話しします。ディープラーニング(AI)を大きく分けると2種類あり、識別に優れたAI(識別系AI)と生成に優れたAI(生成系AI)です。
2022年後半くらいに画像を作れるAIが登場し、現在に至るまで様々な特化性能を持った生成系AIが台頭してきました。例えば、ChatGPTは何でもできると思っている方もいるかもしれませんが、そうではなく、特化性能を持った生成系AIの1つにすぎません。
生成系AIをジェネレーティヴAIと言い、特化性能AIを持つものがたくさん登場しています。画像生成に優れたAI、文章生成に優れたAI、音楽生成に優れたAIなどです。
では、EC事業者様にとって、どんなシーンにジェネレーティヴAIを活用できるのかについてお話しします。
企画・運用プロセスのそれぞれでChatGPTが活用可能
EC事業のライフスパンを前半と後半に分けると、前半に企画プロセスがあり、後半にEC運用プロセスがあります。
生成系AIの使い方として、企画プロセスでは「市場調査・情報収集」「競合分析」「相談」があります。運用プロセスでは、まず「商品説明文作成」が可能です。ChatGPTにほかのサービスを組み合わせれば、「バナー作成」もある程度可能と思われます。「メルマガ作成」や「FAQ、プライバシーポリシー作成」を作ることもできます。SEOを強化するための人手が不足しているケースでは、「メディア・記事作成」も可能です。
生成系AIの代表的なサービスに、文章生成やコミュニケーションをベースとした相談ができる「ChatGPT」、音楽が簡単に作れる「Mubert」、実写やイラストなど様々な画像が作れる「Mid Journey」があります。
メルマガ作成ではChatGPTがオススメ
EC事業者様にとっては、様々なシーンでこれらのサービスを活用することが可能かもしれません。では、ChatGPTとどう向き合うべきでしょうか。果たしてChatGPTを使えるようになると、売上は伸びるのでしょうか。
ChatGPTなどのサービスを使いこなせると、運用フェーズで行う取り組みにかかる人件費などの「コスト構造の最適化」を図れるかもしれません。
マーケティング戦略もメルマガ作成もメディア記事作成も、戦略の良し悪しによって差がつくことから、例えばメルマガならば簡単に作れるため、活用した方がよいでしょう。しかし、どんな件名のメルマガを何時ごろに送るか、開封率何%を目指すか、どのくらいの頻度で送るか、といったことは商材によってまったく違ってきます。
すべて戦略の良し悪しで決まってしまうので、運用フェーズのコストを最適化したい、コスト構造を最適化したいという点では使えるのですが、売上アップにつながるかと言うと別の話となります。
「運用の難しさ」を低下させるのがChatGPT
過去10~15年の間に、EC業界ではとても良いツールが登場し、それによってゼロイチの開発や立ち上げが非常に簡単になりました。楽天やアマゾンを含め、ECサイトのゼロイチに対するハードルは低下傾向にあります。
一方、出来上がったECサイトで売上を伸ばすためのマーケティングの難しさは、その間、低下していません。その難しさについて、EC事業者様の多くが陥る点を3つに分解してみました。
1つ目に「制作の難しさ」があります。多くの場合、制作会社が作ると思うのですが、これは幸いなことに低下傾向にあります。2つ目は「運用の難しさ」。店長業務やメルマガ送信などの難しさを低下させるのが、ChatGPTの活用です。3つ目は「マーケティングの難しさ」。新規顧客をどう獲得するか、リピート率をどう向上させるかなどです。
この「マーケティングの難しさ」「運用の難しさ」「制作の難しさ」は親子関係にあります。「マーケティングの難しさ」を解消できれば、何をどうすればよいのかがわかってきますので、「運用の難しさ」を効率化できます。「運用の難しさ」をすべてイメージできれば、どんな機能やUIが必要なのかがわかるため、「制作の難しさ」に迫ることが可能となります。
ChatGPTやツールを活用することは重要ですが、使い手として、何のために使うのか、戦略はどうなっているのかを含めて考えてほしいと思います。
▽アーカイブ配信
【7月25日】「ChatGPTを活用したECの売上UP&コスト削減法を大公開!」
「通販システムベンダーから見たChatGPTの使いこなしPOINT教えます」
(株)東通メディア 広報室/新規開発 執行役員 山下薫男 氏 山下氏「ChatGPTの出力精度はプロンプト次第」
ChatGPTの出力の精度は、プロンプト次第です。どういった指示を出すか、どの方向に持って行くのかが非常に重要となります。
基礎化粧品と洗顔料のクロスセル企画で試してみました。ダメな例として、「基礎化粧品Aの購入顧客に対して洗顔料Bをクロスセルするための施策を出して」と入れると、当たり前の事や知っている事がずらりと出てきてしまいます。
そこで、深津式プロンプトのようにロールプレイ型の命令文を工夫してスタートし、そこから何度か具体的なデータを与えながら対話を繰り返していきます。一般的に最初のプロンプトに関する重要性はよく話題にあがるので皆様も認識があると思いますが、実はこの“具体的なデータを与えながら対話を繰り返すこと”がポイントです。
ChatGPTを含む生成系AIで使うデータには、学習データ、対話で入力するデータ、ChatGPTが検索するデータの3種類がありますが、対話データだけがユーザーでコントロールできるものになるので自ずとここがポイントになります。対話で与えるデータは、クロスセルを制作会社や代理店に依頼する時に渡すデータなどのように、適切な情報を入力することが重要です。
そうすることで例えば、「Aの1回目お届け時から3回目お届け時直前までの顧客に対してBの販売促進を行うための提案です」、媒体は「ダイレクトメール、メールマガジン」、訴求点は「1:美白効果を高める。2:朝の忙しい時間でも手軽に使える。3:マイルドな洗浄力で肌をやさしく洗う。4:保湿成分が肌の潤いを守る。5:Aとの併用でシミ対策が効果的」と出てきます。実施タイミングについては「1回目のお届け時:Bの存在と訴求点を簡単に紹介するチラシを同梱する。2回目お届け時:ダイレクトメールを実施。訴求点1と3を中心にアピールする。3回目のお届け前:メールマガジンを実施。訴求点2と4を中心にアピールする」と出力されます。
マーケッターが時間をかけて考える仮説をChatGPTがすぐに回答
「1回目からBの存在をアピールし、2回目のダイレクトメール、3回目のメールマガジンで訴求点を変えつつアピールすることで、顧客の関心を引き続けることができます。また、ダイレクトメールはA4サイズよりも小さなサイズで送付することで、配信コストの削減と開封率の向上につながる可能性があります」など、マーケッターが時間をかけて考える仮説をChatGPTがすぐに答えてくれます。
大事なのは、対話の中で求められた補足データを迅速に投げかけていくこと。ChatGPTをECビジネスで使いこなすためにはプロンプトが重要です。プロンプトに集計したデータをしっかり組み込んでいかないと、いつまでもぼんやりした回答しか出てきません。
また、AIのアシストによって思考スピードが上がっても、AIに与えるデータを準備するのに時間がかかっていては効果が半減します。対話でサクサクと素早くデータを用意するためには、自社で保有しているデータを集めて統合し、これをシステムとして実装して、すぐに取り出せるようにすることが大切です。各社が競ってChatGPTを使った新しいサービスを開発されていますが、自社データを統合しておくことでそれらのサービスの実力を十全に発揮出来るようになる可能性があります。
「ChatGPTで作る売れるメルマガの作成術」
(株)ファブリカコミュニケーションズ アクションリンクチーム部長 中村隆嗣 氏
メルマガの文章作成にかかる時間をChatGPTで削減
EC事業者様はメルマガ文章の作成に時間をかけていますが、これをChatGPTの活用によって削減できます。
ChatGPTに「メルマガの原稿を書けますか?」と入れて、テーマや目的、紹介したい商品、数量、価格などを入力します。そうすると、文章がどんどん人間では書けないスピードで出てきます。
ただし、文章が長かったり、ブログのような文章になっていたりするため、例えば「あなたはECサイト『Tシャツ屋さん』の店長です」といった役割を与えて、「商品タイトルもしくはキャッチコピーに続いてURLを記載しページへの誘導を最大化する」「1文を短くして読みやすい文章にする」などと入れると、メルマガらしい短めの文章が出てきます。
追加の指示でメルマガをブラッシュアップ
さらに、文体が固かった場合は、「フレンドリーにしてほしい」と入れると、修正した文章が出てきます。絵文字も入れるようにして、さらにメルマガらしくなっていきます。
人間がメルマガの文章を作ると、最低でも1本に30分くらいかかりますが、その場ですぐに作ることが可能です。ゼロから作るよりも、効率的に作成できます。
ポイントは、具体的に指示を出すことと、指示の出し方にあります。売れるメルマガを作るためには、指示の出し方にコツが求められますが、それは、ChatGPTに役割を与える、具体的な要望を伝える、売れるメルマガの特徴を伝える、出てきた案に対して自己チェックと修正を依頼する――などです。
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【7月25日】「ChatGPTを活用したECの売上UP&コスト削減法を大公開!」
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