はじめまして。EC通販特化型CRMプラットフォーム「アクションリンク」を提供する株式会社ファブリカコミュニケーションズの中村隆嗣です。この連載では「CRMツール選定で気をつけるべき10の鉄則」についてお伝えしていきます!「アクションリンク」の開発者である私が過去に関わった多数のEC事業コンサルティングで、実際に見てきたよくある失敗パターン/成功パターンをもとに、CRMツールの導入と活用で失敗しないために必ず確認しておくべきポイントを初心者にも分かりやすくお伝えできればと思います。
EC通販事業でのCRMツール導入・運用で絶対に失敗しないために、事前に確認しておくべき10の鉄則を「自社の状況」「CRMツール」「ビジネスモデル」など様々な視点に分けて解説していきます。
連載第1回目となる今回は「CRMツール導入の目的」についてお話します。
CRMツール導入後の残念あるある5つ
CRMツールは一度導入したら長い間使い続けるものなので、気軽に導入してだめだったら乗り換えるということが難しい性質があります。そのため自社の状況や目指す方向、自社のビジネスモデルにあったシステムを正しく選ぶことが非常に重要です。
私は過去に年商数億円〜数千億円の規模まで、様々な規模のEC事業者、通販事業者の事業コンサルティングに関わって来ました。顧客のLTV向上やリピート率改善、ロイヤルティ向上に取り組む「CRM領域」で問題を抱えている企業は非常に多く、CRMツールを導入しているもののうまく活用して成果を出せていないという企業をたくさん見てきました。
具体的には、高機能なツールを導入して高額な利用料を支払いし続けているにもかかわらず出来ている施策といえば…
- ①メルマガ一斉配信だけ
- ②初期実装したステップメールがそのままPDCAも回されず実装されている
- ③細かい分析はできているものの数字を眺めるだけで全く施策に落とし込めていない
- ④CRMの担当者が退職してしまい手間のかかるルーチン業務のみ新人担当者が引き継いで訳も分からぬまま対応している
といった残念な状態になってしまうのはあるあるです。反対に価格だけで簡易的なツールを選んでしまい大した施策や分析もできずPDCAも回せていない、といったケースもあります。同様の問題に心当たりのある企業様も多いのではないでしょうか?
CRMツール導入の目的設定でよくある失敗
これからCRMツールを導入される方は、ツール導入の目的は明確になっているでしょうか?
もしくは既にツール導入済みの方はその目的が関係者に周知されていますでしょうか。
目的が明確になっていない状態でのシステム導入や運用はツール導入失敗の原因となります。
よくある失敗① 分析が目的になってしまって施策が伴っていない
顧客の分析はLTVを増やすための手段でしかありません。またいくら細かく分析してもそこから顧客に対するアクションに落とし込めなければ成果にはつながりません。
顧客に対する仮説がないと、そこから実行したい施策イメージも浮かばないので、その状態でシステムを導入してもうまくいきません。少なくとも「自社の顧客はこんな状態なのではないか」「こんな問題があってそれに対しこんな施策が有効ではないか」「それにはこんな分析が必要になる」といった仮説がある程度イメージできている必要があります。
よくある失敗② システム導入が目的になってしまっている
IT業界では定期的にバズワードが出てきます。目的を明確にせずに「流行りだから」「他社も導入しているから」「上から言われたから」といった安易な理由で、システム導入自体が目的になってしまい失敗するケースも多く見られます。特に他社の導入事例はイメージ先行であまり具体的な内容が出ていなかったり、自社に応用できないケースもあるので、自社にどんな問題があってそれをどう解決したいのかという目的を大事にしてください。
また、システム導入の過程で本来の目的が達成できないことが明らかになり、とにかくシステムの稼働だけが目的になってしまう失敗ケースもあるため、事前の目的設定とそれを実現するための仕様の確認、要件定義には十分な注意が必要です。
よくある失敗③ 誤った目的が設定されている
そもそも最初に実現しようとしている目的の設定に根拠がなく、自社の課題にフィットしていないというケースも見受けられます。
データに基づかない思い込みによって目的を設定してしまうと誤った目的実現のためにツールを導入することになってしまい、結果として導入後にツールを活用し成果につなげることは難しくなってしまうでしょう。
ツール導入前にはあらためて、自社の真の課題は何なのか、その優先度の認識は正しいのか、その課題を解決するためにふさわしいツールなのか、いくらの投資でどの程度の成果を見込んでいるのか、どのような指標をもとに評価するのかなど大事なポイントをしっかりと考えておく必要があります。
よくある失敗④ ツール導入時の担当者が不在でそもそもの導入目的が不明になっている
意外と多いのがこの理由です。担当者が業務のみ引き継いだものの、そもそものツール活用の目的などが曖昧なまま使っているケースです。日々の業務の忙しさに追われてしまうとあらためて考える機会もないまま無駄な業務を行うことにもつながってしまいますので、定期的に振り返って考え直す機会を設ける必要があります。
使っていない機能が多い場合や、本来いらない機能がついている、成果につながらない取り組みになっているなど、状況によっては他のツールへの乗り換えも考えた方がよいでしょう。
「先人の失敗を繰り返さない」ことが大事!
CRMツールの導入後にうまくいかず、苦労されている方は非常に多く存在します。
かつては私もまさに同じ状況で苦労したこともありました。
過去に先人が失敗してしまった例と同じ失敗を繰り返さないように、CRMの取り組みを成功させることであなたの取り扱っている素晴らしいブランドやサービス、商品を世の中に広げていけるように、ぜひご参考にしていただければと思います。
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■プロフィール
中村 隆嗣
株式会社ファブリカコミュニケーションズ
2003年に北国からの贈り物へ入社。
自社サイトの立ち上げから参画し月商3億円を超える成長まで導く。
マーケティング戦略責任者として各モールにおいて数々の賞を受賞。
その後年商2500億規模の大手製薬会社や外資系アパレルブランドなど、メーカー直販ECの事業コンサルティングを手がける。
コンサルティング先で多く見られたCRMの課題を解決すべく、2018年アクションリンクを立ち上げ、2023年ファブリカコミュニケーションズにジョイン。現在に至る。
EC特化型CRMプラットフォーム「アクションリンク」
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