2023.12.14 コラム
【2024年問題とは】物流業界・荷主企業が取り組むべき課題を解説
2024年問題とは、2024年4月1日からトラック運転手などの自動車運転業者に時間外労働時間の上限規制が設けられることで発生する問題の総称です。本記事では、2024年問題の概要から2024年問題が与える影響、今後取り組むべき課題について解説していきます。2024年問題について詳しく知りたい方や2024年問題解決への糸口を掴みたい方は、ぜひ参考にしてください。
2024年問題とは
2024年問題とは、働き方改革関連法によって、2024年4月1日からトラック運転手などの自動車運転業者に時間外労働時間の上限規制が適用されることで発生する問題の総称です。具体的に、2024年4月以降自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されます。これによって、トラックドライバーの収入低下や物流業界における人手不足など様々な問題が発生すると予想されています。働き方改革関連法が制定された背景
働き方改革関連法は、正式名称を「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」と呼び、社会で働く人がそれぞれの事情に応じて多様な働き方を実現できるようにと2018年6月に改正法が成立しました。働き方改革関連法により、長時間労働に対する規制や雇用形態による不公正さを無くすための措置、柔軟で多様な働き方を実現していくための具体的な施策が打ち出されています。時間外労働の上限規制は、2019年4月から順次一般企業などでは施行されています。しかし、トラックやタクシー、バスといった自動車運転業務に関しては、業務内容の特性上、長時間労働になりやすく、施行には時間がかかると判断されたため、施行時期が2024年4月まで猶予されていました。2024年4月からの具体的な変更点
2024年4月からは、以下の点が変更になります。月の残業時間の上限が原則45時間以内
働き方改革関連法が施行されるまで(自動車運転業の場合2024年3月まで)、月間の残業時間の上限は設けられていませんでした。しかし、2024年4月以降は原則として月の残業時間は45時間以内と定められています。ただし、特例として臨時的に月80時間までの残業が認められています。また、残業時間が月に45時間を超える月は年間6回以内に収めなければいけません。破った場合は、罰則として6カ月以下の懲役または、30万円以下の罰金が企業の労働時間管理者に対して科せられます。年間の残業時間の上限が原則360時間以内
月の残業時間同様、働き方改革関連法が施行されるまで(自動車運転業の場合2024年3月まで)、年間の残業時間の上限は設けられていませんでした。しかし、2024年4月以降は、原則として年間の残業時間が360時間以内に規制されます。ただし、特例として臨時的に年間の残業時間が960時間に認められるケースもあります。年間残業時間を破った際の罰則も月間残業時間の罰則同様に6カ月以下の懲役または、30万円以下の罰金が企業の労働時間管理者に対して科せられます。2024年問題が与える物流業界への変化
2024年問題が物流業界へ与える変化は以下の通りです。1.トラックドライバーの年収低下
2.物流企業の売上低下
3.ドライバーの人手不足以下、順番に解説していきます。
1.トラックドライバーの年収低下
トラックドライバーの中には、時間外労働をしている人が多くいます。そのため、時間外労働によって、毎月一定の収入を確保している人が多いのが現状です。しかし、2024年4月から時間外労働への規制が入るとこれまでの時間外労働の収入が減り、ドライバーの収入の低下が予想されます。これによって、トラックドライバーの生活に影響を及ぼす可能性があります。2.物流企業の売上低下
運送業界のビジネスモデルは、労働時間を増やせば増やすほど売上が伸びる典型的な労働集約型のビジネスモデルです。そのため、時間外労働への規制が入ると従業員の労働時間が減り、企業全体の売上低下に繋がってしまいます。売上の低下によって、当然企業の利益も低下してしまいます。従業員の残業時間が減るため、残業代として支払う金額は減りますが、オフィスの家賃やトラックのメンテナンス費用などの固定費はこれまでと変わらずであるため、全体的にみると物流企業にとってはマイナスであると言えます。3.ドライバーの人手不足
厚生労働省の発表によると、令和4年6月時点での貨物自動車運転者の求人倍率は2.01でした。現時点においても不足しているドライバーですが、2024年4月以降はドライバーの給与減少によって、ドライバーからの転職者が増加し、ますますドライバーの人手不足が加速する可能性があります。2024年問題が荷主企業へ与える影響
2024年問題は、物流企業だけでなく、荷主企業へも大きな影響を与えると予想されます。本項目では、2024年問題が荷主企業へ与える影響について解説します。1.荷主企業が支払う運賃の増加
2024年4月以降、自動車運転業者の時間外労働の規制によって売上の低下を見込んだ物流企業が運賃を値上げさせる可能性があります。これにより、荷主企業が支払う運賃が増加し、荷主企業への負担が増加すると予想されています。2.運送業者から配送を断られる可能性
これまで、運送業者と荷主企業の力関係は、荷主企業の方が強い立場にありました。そのため、「この金額で配送してくれないなら他の物流会社に頼みます。物流業者は他にもたくさんあるので。」と物流業者に対して強く出る荷主企業も少なくありませんでした。ところが、2024年問題によって配送業者が減り、運送業者と荷主企業の力関係が逆転する可能性があります。その結果、運賃の値上げに応じない荷主企業や運送に時間・手間がかかる荷物を取り扱っている荷主企業は、運送業者から配送を断られる可能性がります。3.製品が作れなくなる可能性がある
荷主企業の中には、部品や原材料を仕入れてそれを自社で加工して最終的な製品を製造している企業も多いです。しかし、2024年問題によって、製品を作成するための部品や原料の配送が困難になり、製品が作れなくなる可能性があります。4.輸送距離に制限が設けられる
時間外労働への規制によって、2024年4月以降、長距離輸送ができなくなる可能性があります。この影響から、これまで配送できていた商品が配送できなくなる可能性があります。2024年問題で物流業界が取り組むべき課題
2024年問題の解決に向けて物流業界が取り組むべき課題は以下の通りです。1.人材確保
2.デジタルツールの導入などによる業務の効率化順番に解説していきます。
1.人材確保
取り組むべき課題の1点目は、トラックドライバーなどの人材の確保です。2024年4月から時間外労働への上限規制の設定により、従業員一人当たりの売上が減少すると予測されています。そのため、会社の売上を保つためには、これまで以上に人材確保に力を入れ、トラックドライバーなど運転手を増やす必要がります。しかし、2023年現在においても自動車運転業の有効求人倍率は高い数字を記録しています。そのため、職場の労働環境や労働時間を見直し、従業員の多様な働き方を尊重する環境を整えてあげることが、人材確保のためには必要です。また、女性や高齢者などこれまでよりも幅広い人材を受け入れられる会社の環境づくりも人材確保に向けて有効的です。2.DXツール導入などで業務効率化
取り組むべき課題の2点目は、デジタルツールの導入などによる業務の効率化です。例えば、荷物の積み込み予約システムの導入によって、他のトラックと積み込み時間が重なるのを防止し、待ち時間の削減に繋がります。また、AIシステムを使用して異業種の荷主業者のマッチングにより、最適な配送方法を提案するシステムも導入が開始されています。このように、デジタルツールの導入によって無駄を省き、生産性を高める必要があります。2024年問題で荷主企業が取り組むべき課題
2024年問題解決に向けて取り組むべき課題があるのは、物流業者だけではありません。荷主企業も2024年問題解決に向けて動く必要があります。具体的に、荷主業者は以下の課題に向き合う必要があります。1.運送業者との適切な交渉
2.消費者にまとめ買いを促す順番に解説していきます。
1.運送業者との適切な交渉
2024年4月以降、荷主企業は運送業者から運賃の交渉を持ち掛けられる機会が増えると予想されます。そのため、荷主企業は、運送業者と運賃について適切な交渉を強いられます。こちらの要望を前面に出した交渉だと2024年4月以降は配送を断られる可能性があるため、注意しましょう。2.消費者にまとめ買いを促す
配送回数の削減は、運送業者の負担軽減に効果的です。そのため、荷主企業からも消費者に対してまとめ買いを促しましょう。まとめ
本記事では、2024年問題について解説しました。2024年問題は、物流業界だけでなく、荷主企業や一般消費者にも大きな影響を与えると予想されます。そのため、それぞれの立場で課題解決に向けて動いていきましょう。物販系のビジネスにおいて配送を依頼する物流会社をどこにするかは非常に重要です。※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。
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