液状・低粘度の瞬間接着剤で発熱

PIO-NET（全国消費生活情報ネットワークシステム）には、2019年度～23年度の5年間に、瞬間接着剤の発熱により、やけどなどを負ったと考えられる情報が7件寄せられた。昨年11月には、つけ爪用接着剤が手や指に垂れ、やけどで1カ月以上の通院が必要と診断された事例も報告された。

このため、同センターでは、インターネット通販や実店舗で販売されているモノ用瞬間接着剤（6製品）とつけ爪用接着剤（6製品）を対象に、商品テストを実施した。

ティッシュペーパーや衣類に付着させた場合の温度の変化を調べたところ、モノ用・つけ爪用のどちらも、液状で粘度が低い製品の場合、すぐに染み込んで発熱する傾向が認められた。十数秒で170℃近くまで温度が上昇した組み合わせもあった。一方、粘度が高く素材に染み込みにくい製品では、発熱を確認できなかった。

また、100℃以上の発熱が確認された製品を用いて、シャーレに付着させた接着剤をティッシュペーパーで拭き取った場合の温度の変化を調べた。その結果、拭き取った接着剤は約20秒で100℃近くまで温度が上昇。ティッシュペーパーはシャーレに接着されて、容易にはがすことができなかった。

業界へ成分名・発熱の注意喚起表示を要望

瞬間接着剤にはシアノアクリレート系の物質が使用されることが一般的で、空気中や接着面の水分と反応して重合し、硬化する際に反応熱が生じる。ティッシュペーパーや布に染み込んで表面積が拡大すると、大きな反応熱が発生することがあるという。

同センターは関係業界に対し、瞬間接着剤を誤って付着させた場合の対処方法を一般消費者へ周知することや、シアノアクリレート系の物質を含む製品では成分名・発熱に関する取り扱い上の注意を表示するよう要望した。