越境ECプラットフォーム「eBay」の日本法人であるイーベイ・ジャパン(株)が13日発表した2019年第2四半期(4−6月、以下2Q)の越境ECトレンドによると、「おもちゃ」ジャンルが前年同期比で36%とダントツに成長していることがわかった。各トレーディングカードの日本語版や、日本国内のテーマパーク内限定で販売されているグッズがブレイクしているという。
イーベイ・ジャパンは同日、セラー(出店者)向けイベント「2019年秋期セラー・アップデートセミナー」を都内で開催。途中、記者向けのメディアラウンドテーブルも催し「ビックリマンシールといったものが非常に人気」などと、越境EC市場の特徴などについて明かした。
セラー・アップデートセミナーには、米国のeBay本社から、各カテゴリマネージャーが駆けつけた
2Qは日本語版トレカが売れ筋1位、人気の理由は日本語が”オシャレ”!?
同社が発表した2Qの売れ筋ランキングでは、世界中で人気の高いトレーディングカートゲーム「マジック・ザ・ギャザリング(以下、MTG)」の日本語版カードが堂々の1位だった。そのほか、「遊戯王」「ポケモンカード」といったトレカも人気が高いといい、eBayの中でもトレカ全体的に人気が高まっているようだ。MTGについては、今年5月に最新シリーズの発売があったことから大きなブレイクにつながったようだ。
トレカの日本語版が人気な理由について、eBay inc.のホビー・スポーツジャンルの担当者であるハロルドリー氏(ソフトグッズ サイト マーチャンダイジングリード)は「海外では日本語の文字列を、”オシャレ”や”デザイン性が高い”と感じる人が多い。日本の人が、英語の文字列をスタイリッシュに感じることも少なくないと思うが、それに近い感覚だと思う。こうした傾向から、日本語版のトレカの人気も高まっているのではないか」と分析する。
eBay inc.のハロルド・リー氏
実際に、Tシャツなどといったファッションジャンルでも「漢字など日本語が大きくプリントされた商品の人気は高い」(eBay inc.ヘッドオブファッションのニコール・コロンボ氏)のだそうだ。
2Qは日本国内のテーマパーク限定で販売されているグッズの人気も高かった。今年3月に開園した埼玉・飯能の「ムーミンバレーパーク」の限定商品であるマグカップも売れ筋ランキング上位に食い込んだ。リー氏によると「日本でのみ販売された限定品や、流通範囲が限定的な日本の商品は非常に人気が高い」のだそうだ。ファッションジャンルにおいても「例えば、世界中で有名なブランドと日本のメーカーなどがコラボした商品も非常によく売れる」(コロンボ氏)という。
eBay inc.ファッションジャンル担当のニコール・コロンボ氏
80年代に流行したおもちゃが売れる!「eBayでは”古いものが新しくなる”」
2Qのカテゴリー別の成長率では、1位が「おもちゃ」(前年同期比36%増)、2位が「ゲーム」(同24%増)、3位「宝石・装飾・時計」(同15%増)だった。「ポップカルチャーの台頭により、特に米国のミレニアル世代から日本のマンガは圧倒的な支持を得ており、非常に人気が高い。キャラグッズはもちろん。レトロなフィギュアやソフビ人形といった”コレクタブル・アイテム”は取引が増加している」(eBay inc.シニアカテゴリーマネージャーのタイラー・ラーキンス氏)と解説する。
eBay inc.のタイラー・ラーキンス氏
ラーキンス氏はメディアラウンドテーブルにおいて”コレクタブル・アイテム”での変り種の売れ筋についても言及した。「以前のセミナーで『キンケシ(=80年代に日本で流行したキン肉マン消しゴムのこと)』などもよく売れるとお話ししたが、近いところで行くと『ビックリマンチョコ』のシールも人気が高い」ことを明かした。「ポップカルチャーに惹かれる人は多く、世界中が昔に日本で大流行したおもちゃを欲しがっている。eBayでは”古いものが新しくなる”ということがよく起こる。日本の人にとって、昔遊んだおもちゃなどは処分するしかないと感じているかもしれない。ただ、そのおもちゃを喉から手が出るほど欲しがっている人が世界中にいる。ぜひ、eBayにチャレンジしてほしい」と参入を呼びかけた。
「ゲーム」の需要も高まっているという。メディアラウンドテーブルの席上では報道陣から「ゲームは物理メディアからダウンロードコンテンツへ市場のニーズは移行が進んでいるのでは?」という質問も出た。前出のラーキンス氏によると「もちろん、ダウンロード版への移行というのは確かにある。一方で、米国ではファミコンのゲームが人気を博している。数十年前のソフトではデジタル移植されていないものありよく売れる。私自身もそうだが、”コレクター”と呼ばれる層は物理メディアを手に入れたいという思いが強い」と答えた。
日本の中古品は高評価!「ブランドものバッグの高額取引多い」
2Qのカテゴリー別取引ランキングも明らかにされた。トップ10は次の通り
- レディースバッグ、ハンドバッグ
- カメラのレンズ・フィルター
- 時計・アクセサリー
- アニメ、キャラクターグッズ
- 写真
- ギター・ベース
- アジアンアンティーク品
- アクセサリー
- 釣り具
- フィギュア
ヘッドオブファッションのコロンボ氏によると「ルイ・ヴィトン、シャネル、エルメスの中古品が売れ筋。日本から出品される中古品は”状態が良い”と評価が高く、高値で取引される」と言う。
今後は最新映画の関連グッズが狙い目!中古車もニーズ高く
セラー・アップデートセミナーでは今後のトレンド予測などについても触れた。おもちゃジャンルについては「上半期の特徴的なエピソードとしては、マーベルの映画が公開となった後に、ワンシーンで登場するソニーのウォークマンがeBay内でヒットすると言う現象があった。年末にかけて、『スターウォーズ』や『アナと雪の女王2』、『ジョーカー』といった注目映画が公開される。コラボグッズや日本限定グッズなどの需要が高まるだろう」との見通しを語った・
カージャンルも売れ筋の一つだ。eBay inc.シニアカテゴリーマネージャーのシェイラ・パック氏(自動車パーツ担当)によると「バイク用アパレルが成長株」だと言う。メディアラウンドテーブルでは車両自体のニーズについても語った。「米国では”車は修理して長く使う”と言う文化が根強い。そのため中古車の需要もそれなりにあり、日本車も人気で日本のセラーは信頼度が高い。中古車の出品を増やしていきたい」と呼びかけた。また、米国ではオフロード系の車種の人気が高いのだそうだ。
eBay inc.のシェイラ・パック氏
ラーキンス氏「1枚のいい商品写真は言葉を超越する」
メディアラウンドテーブルでは写真系SNSによる販促の有効性についても語られた。ラーキンス氏は「ピンタレストやユーチューブもよく利用されるが、米国でも日本と同様にインスタグラムを使って情報を追っている。コレクターの私も、よくインスタで探し物をしたりする。言語の壁を感じて越境ECに尻込みをしてしまう事業者も少なくないと思うが、言葉を超越した良質なコミュニケーションを実現できるのが1枚のいい写真」とした。ちなみにハッシュタグには「manga」「anime」「made in japan」といったワードを使うといいかもしれないともコメントしていた。
ラーキンス氏は「日本で流通する商品はいいものばかり。ただ海外市場に流れる数がまだまだ少ない。ぜひ、eBayで越境ECに飛び込んでもらいたい」と呼びかけた。
(古川寛之)
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