EC会社に各種ツールを提供している周辺会社と、それらのツールを導入する事業者との対談を紹介する当企画。日頃ECサイトを運営していくなかでの課題や、ツールの導入によりどう改善されていったのかなどをひもとく。運営を開始したばかりのECサイトからベテランサイトまで、あらゆる会社に話を聞きながら、サイト運営を成功に導いて行くための手がかりを見つける。
「第一回は、ネットショップ構築・運営ASP「MakeShop」を提供するGMOメイクショップ株式会社の向畑憲良社長と、2010年4月よりMakeShopを導入したサントリーサービス株式会社の宮下茂営業部次長に話を聞いた。」
■小売業からECに参入
向畑:まずサントリーサービス株式会社の事業構成と、ECサイトの位置づけを教えていただけますか? 宮下:私たちサントリーサービスは、サントリーグループのなかでも小売りの酒販免許を持っている特色ある会社です。ECサイトと同じ名称の「カーヴ・ド・ヴァン」というワインショップを東京と大阪に構え、1975年から営業を続けています。「カーヴ・ド・ヴァン」のECサイトは2010年から始めました。それ以前から、サントリー事業部が主体となって主力商品「山崎」「響」などを販売するECサイトを運営していますが、サントリーサービスとしてECに参入するのは初めてです。紙カタログの通販は、15-6年前から「カーヴ・ド・ヴァン」の来店客を対象に展開しています。 向畑:なぜ、ECサイトを開設しようと思ったのですか?宮下:前述したサントリー事業部が主体となっているECサイトでは、どうしてもワインのラインナップが限られてしまうからです。1,000種類以上のワインを取り扱っている私たちがオンラインでも専門店を立ち上げれば、より多くのワインをお客様に届けられるのではと考えました。 向畑:2010年にMakeShopを導入し、ECサイトに参入されたましたが、現状の売上や会員規模はいかがでしょうか? 宮下:正直に申し上げると、まだ順風満帆とは言えません。1,000種類ほどのワインを掲載してきましたが、「出しただけ」では売れないものですね…。これまでの反省をふまえ、心機一転サイトをリニューアルしたところです。 向畑:どのあたりを「反省点」と捉えていますか? 宮下:閲覧率(2ページ以上見た割合で算出)の悪さです。これを改善するために、「買っていただきたいお客様を想定して、どういう購買ルートをたどるかを考えながらページを作る」という観点に立って見直しをはかりました。リニューアルによる効果は出ており、ページの閲覧率が向上し、購買にいたるケースも増えています。まだ改善点はいろいろとありますがひとまず初期のリニューアルは完成したかなと思っています。 ■徹底した品質管理で差別化を図る
向畑:ワインは、EC市場のなかで人気の分野です。大勢のライバルに勝っていくための、御社の戦略を教えていただけますか? 宮下:おっしゃる通りで、ワインはとても競争が激しい商材です。「カーヴ・ド・ヴァン」が扱っている商品は全体的に値段が高めで、平均すると商品単価は5,000円になります。ですので、同じ商品が他社サイトで安く売っている、というのはよくあることです。私たちはワインを販売するにあたり、一番重要なのは、価格の安さよりも「品質」だと考えています。徹底した品質・温度管理があってはじめて、おいしいワインをお客様の元に届けられるからです。たとえ1本1,000円台のワインだったとしても、15℃に設定した専用セラーで管理をし出荷しています。こうしたこだわりや、ワインの専門家が対応しているという安心感が私たちの売りなので、ここを強く打ち出していきたいです。
■動きが早い市場なので、何でもチャレンジしてみるのがいい
向畑:これまで宮下さんは実店舗での販売を中心にやられてきたと思うのですが、ECに参入してみて、“ECならではのエピソード”は何かありますか? 宮下:そうですね…たくさんあります(笑)特に画面制作は、はまっていくとボタンの位置や文字のフォントなど、どんどん細かいところまで突き詰めていってしまうので、どこまで時間をかけたらいいのかが分からないという悩みがあります。気がつくと1ページの構成に何時間もかけていたり…これまでオフラインでやってきたことを、いきなりオンラインでも同じように表現できるかというとそれは難しく、その点はプロ(GMOメイクショップ)の力を借りながら効率よく進めていければと思っています。 向畑:そう言っていただけるとありがたいです。今後MakeShopに期待することはありますか? 宮下:色々な機能がありすぎて、いまいち理解しきれていないので、もっと誰でも分かりやすいように、管理画面上で表現していただけると嬉しいです。たとえばこの先、もっと早くこの機能を使っていれば売上が伸びたのかもしれないと思うことがあるかもしれません。ワインのECサイトにはこのツールがオススメですよなど、個別にアドバイスいただけるとすごくいいですね。 向畑:ご指摘のとおりで機能は毎月10件のリリースをどんどん行っていますが、すべてのショップさんに伝わりきれていないのかなと思っています。そこは私たちの課題として改善できるよう努力します。 宮下:あとは、まず売上を伸ばすためには何からやらなくてはいけないのか?が一番知りたいところです。向畑:ECサイトは際限なく改善できるので、どこから手をつけたらいいのかは悩むところですよね。そこで、「売れる」ための情報として、売上上位ショップ様のデータを分析した結果に基づいた「繁盛設定」というノウハウコーナーを管理画面内に設けたり、運営セミナーにて推奨機能のお話を積極的に行うなどの対策を現在進めています。私たちとしてもショップさんの力になれるよう、その辺りのアドバイスも出来る限りしていきたいと思っています。最後に、今後の目標と、ご自身の苦労を踏まえて、これからECサイトを始められる方にアドバイスを頂けますか? 宮下:そんな生意気なことを言える立場ではないですが…(笑)それではひとつだけ。ECは非常に動きが早い市場なので、興味があることや、改善につながりそうだと思ったことは、何でもやってみた方がいいと思います。私たちも外部の方から「毎日メルマガを打った方がいいですよ」と助言をいただき、はじめは毎日なんて無理だと決めつけていましたが、努力をし、今では週に3本は打てるようになりました。メルマガは配信したらしただけ反応があるので、チャレンジしてみる大切さを感じているところです。目標は2015年までに、ECサイトの売上高を1億円にまで持って行くことです。 向畑:ありがとうございます。これからも目標達成に向け一緒にがんばっていきましょう。 宮下:よろしくお願いします。
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会社名:サントリーサービス株式会社 ECサイト名:カーヴ・ド・ヴァン URL:http://cave-online.suntory-service.co.jp/ 開設時期:2010年4月 売上高:19億6,700万円(全社売上 2011年度実績) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
EC会社の、ツール導入事例集(2)GMOメイクショップ株式会社×株式会社北国からの贈り物 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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