(株)セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長が4日の朝礼で行った2018年の年頭挨拶で、ITとリアル店舗を一体化したオムニチャネルサービスの創出に注力する方針を示した。
新アプリの創出、デジタル戦略の新組織設立へ
井阪氏は現在を「あらゆる産業分野で製品やサービスが一新されようとしている、100年に一度といわれる一大変革期」とし、18年はグループとして、「ITとリアル店舗を一体化したサービスの創出」、「リアル店舗の接客、売り場、商品などの基本的なコンテンツのブラッシュアップ」に注力するとコメントした。
「ITとリアル店舗を一体化したサービスの創出」の施策としては、今春に新たなアプリの提供を開始するほか、デジタル戦略の新組織を立ち上げや、昨年にアスクルとの連携で実現した生鮮食品の宅配サービス「IYフレッシュ」など、グループ外の起業との積極的な連携を挙げた。
◇セブン&アイ・ホールディングス 井阪隆一社長 年頭挨拶全文
明けましておめでとうございます。
いま、急速に進化を遂げているITを活用することで、あらゆる産業分野で製品やサービスが一新されようとしており、100年に一度といわれる一大変革期を迎えています。この大きな変化の中で、私たちセブン&アイグループは今年、二つの点に力を注いでいきます。
第一に、先進的なITとリアル店舗を一体化したサービスの創出です。現在、私たちグループは1日に 2200 万人のお客様をお迎えしています。IT を活用することで、そのお客様一人ひとりの情報を活かして、よりいっそうニーズに合致した商品開発やCRM戦略を推進することで、お客様との絆をより強化することが可能です。そのため今春には、その第一弾として新たなアプリの提供をスタートします。また、より迅速にITとリアルの一体化を進めるためにデジタル戦略の新組織を立ち上げるとともに、グループ外の優れた企業とも積極的に連携していきます。昨年にはセブン‐イレブンの新たな宅配サービスやIYフレッシュなど、外部企業と連携した新たなビジネスもスタートしています。
第二に、リアル店舗の接客、売場、商品といった基本的なコンテンツにさらに磨きをかけていきます。接客サービスの向上では、人材教育や社員全員で目標を共有した店舗運営など、日常的な取り組みが不可欠です。セブン‐イレブンでは、加盟店従業員の皆さんにご参加いただくレジ接客研修、さらに外国人従業員の皆さんを対象にした研修をスタートして、店舗の接客サービス向上を支援しています。また、グループでは売場作業の省力化等を通じて、接客に専念できる売場環境づくりを積極的に支援しています。
売場づくりでは、お客様に魅力を感じていただけるワクワク感のある売場づくりが不可欠です。そのポイントとなるのが、中食ニーズの拡大など食のニーズの変化に対応した売場づくりです。昨年、リニューアルオープンしたヨークベニマル横塚店では食品販売と外食機能を融合した新たな食品売場を実現しています。また、イトーヨーカドーの食品フロアやセブン‐イレブンでも、抜本的な売場レイアウトの革新に取り組み、実施店舗では客数増の成果を上げています。
商品については、グループ店舗でしか買えない魅力のある商品が不可欠です。品質にこだわりプライベートブランドのあり方を一新した「セブンプレミアム」は、スタートから 10 年を経過して、いまや 3500 アイテムに上っています。私たちは、商品一つ一つの品質はもとより、パッケージや表示方式にいたるまで細心の注意を払い、よりいっそうお客様の信頼に応える商品開発を進める必要があります。
接客、売場、商品は、私たちがお客様に提供する価値の基盤となるものです。販売チャネルが多様化する中で、これらに磨きをかけることでお客様を惹きつけることが不可欠です。社員の皆さんは、それぞれについて具体的な目標を明確にしてPDCAを回し、研鑽を続けてください。
100年に一度という変化に対応を図らなければ生き残ることはできません。対応を成しえた会社は、大きな成長のチャンスを手に入れることができます。今年もグループ全員が一体となって果敢に挑戦を続け、成長の道を切り拓いていきましょう。
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