Instagram(以下、インスタ)のショッピング機能「Shop Now」が6月から日本国内でも導入開始となった。一部ではすでに成果も出始めているようで(株)スマービーが運営するママ向けECモール「smarby」は「Shop Now」導入により、導入前と比べてインスタグラム経由の流入が2倍になったという。一方で、審査に時間がかかるなど課題もあるようだ。
認知率5割弱・利用率2割弱…申請が1カ月通らないことも
(株)マージェリックが12日発表したInstagramのショッピング機能「Shop Now」に関するインターネット調査によると、10~35歳の女性の44.5%がショッピング機能を認知しており、16.9%がすでに利用していることがわかった。認知率と利用率はまずまずと言えそうだ。
今後「ShopNow」の認知が高まっていけば、利用率も上がることも見込める。すでに成果を出している事業者もいる。早々にショッピング機能を活用し始めたsmarbyは導入前と比べてインスタグラム経由の流入が2倍になったという成果を出している。EC業界におけるShopNowの存在感について、データフィード最適化サービス「Become Feed Platform(BFP)」を提供するビカムの取締役セールスディビジョン金森純氏は「今後インスタ経由の購買は間違いなく伸びていく。EC事業者にとってインスタは力を入れざるを得ないメディアになる」と予測している。今後もインスタを起点とするEC購買行動は広がっていきそうだ。
一方で、機能開放から1カ月以上が経過しているが「まだ申請を通せない」といった事業者もあるなど、課題も出ている。また、早期からインスタ活用に力を入れていたあるEC事業者からは「ShopNowが開始される前の、投稿かプロフィールに飛びリンク先へジャンプしてECサイトで商品を探したり購入する行為に慣れているユーザーもいる。ShopNowによる購買がユーザーに定着するには少し時間を要するのでは」との声もあった。
個人や小規模事業者のEC参入が拡大?
導入サポートなど「ShopNow」に関連する支援サービスは続々登場している。 BASE(株)は出店者向けに、インスタのショッピング機能を簡単に使えるようにする拡張機能「Instagram販売App」をリリースした。前述のマージェリックやタグピク(株)、サムライト(株)は導入サポートとコンサルティングを行うサービスの提供を開始した。(株)ライスカレー製作所は、導入サポートからインフルエンサーのあっせんまでを手掛ける「インフルエンサー for Shop Now」サービスを提供している。ビカム(株)は、インスタのショッピング機能に必要な製品カタログの生成、Facebookへの連携に正式対応した。
インスタではどんな商材が売りやすいか。サムライトの池戸聡社長は「インスタでの購買行動は、アパレルやコスメ、インテリア、雑貨と言った女性商材から広がっていくのではないか」としている。タグピクの泉健太会長は「インスタは若い女性がメインユーザーというイメージが定着してしまった感があるが、30~40代の男性ユーザーもいる。インスタのメッセージ機能もかなり洗練されており、写真アプリを超えたインフラになりつつある。インスタからの購買行動は今後、女性商材に限らず広がっていくと思う」とみている。
ShopNowの登場によるEC業界への影響については、「ECへの集客はインスタグラム経由に絞る、といった事業者も出てくるのでは」と言う声も聞こえてきた。そのほか、「リアル店舗は持っているがECはやっていない、といった事業者もShop NowをきっかけにしてECに参入するケースが増えてくるのではないか」との分析もあった。GMOペパボの社長室マーケティング統括チームリーダーの池田あずさ氏は「売り場をインスタ中心にし、個人がスマホ完結でECを手掛けていくというケースが増えてくるのでは」とみている。
インスタが独自の決済システムを開発する可能性も
さらに複数の支援企業から「今後インスタグラムは独自の決済システムを用意するかもしれない。そうなるとECでの購入チャネルの勢力図は大きく変わるのではないか」とする予測も聞こえてきた。インスタのShopNowは、ECの購買行動を大きく変えるか。今後の市場動向に注目が集まる。
(古川 寛之)
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