2019.07.13 コラム
通販・EC会社が行うべきCRM施策とは?
国内のEC市場が拡大するにつれて、EC事業者の数も急速に増加しています。そんな中、事業者間の競争は激化しておりCPAは高騰、新規獲得に頼った事業拡大が困難になっています。もはやCRMはEC事業の拡大に必須の要素といえるようになってきました。
LTV(※)を伸ばすことによって事業拡大を実現させるCRM/MAのノウハウや、実際にCRMで事業成長に成功している企業に対して注目が集まっています。
この記事では、通販・EC会社がCRMで事業を拡大させるために、「どのような方針」「どんな具体的な取り組み」をする必要があるのかについて具体的な事例を交えてまとめててご紹介します。
※LTVとは「Life Time Value(=ライフタイムバリュー)」の略語で「顧客生涯価値」と訳す。顧客が生涯にわたり対象ECサイトで利用する合計金額を指します。
■なぜCRMがうまくいかないのか?解決すべき問題とリピーターを増やす施策とは?
ECにおけるCRMとは?
CRMとは英語の[Customer Relationship Management(=カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」の略語で、日本語では「顧客関係管理」と訳します。
EコマースにおけるCRMとは一言でいうと、そのECサイトのファンを増やしリピーター売上を増やすこと、になります。
つまり初回購入からのリピート率をあげる、その後のリピート回数(利用頻度)を増やす、1回あたりの利用単価を増やす、それによってLTVを増やすという取り組みです。
なぜ今EC業界でCRMが注目されているのか?
近年ECの市場規模は5年間で1.7倍に拡大し、ECサイトの数は5年で12倍まで増加しています。競争激化により新規顧客獲得コストは上昇し、広告費用対効果をあわせるには一度獲得した顧客に繰り返し購入してもらいLTVを上げる取り組みが必須となりました。
EC事業者は、生き残りをかけてCRMに注力しかねればならない状況となっているのです。
一般的にCRMがうまくいっているEC事業者では以下を実現できているといわれています。
・顧客獲得費用5:1の法則
一般的に新規顧客獲得コストは既存顧客維持にかかる費用の5倍と言われています。そのため適切なCRM施策による顧客からのリピート購入の獲得は、高騰する新規顧客獲得コストに対処し事業拡大のための安定的な収益源をもたらすことにつながるのです。
・売上構成比8:2の法則(パレートの法則)
一般的にCRMがうまくいっているEC事業者では全体の8割の売上をわずか2割の優良顧客が構成しているといわれています。新規獲得に頼った売上の作り方をしていると、外部環境や競合他社の動向による新規流入の減少がそのままダイレクトに全体の収益源につながってしまいます。一方で、安定的に売上の見込める優良顧客を育成することによって、事業全体の収益を安定させることができます。
・純顧客価値の法則
純顧客価値とは、現代マーケティングの権威であるフィリップ・コトラーが提唱した理論のことです。顧客が得る「真の価値」とは、顧客が対象となる商品、サービスを認知・選択し購入した後の廃棄まで、購入による一連のプロセスを顧客側に掛かる負担=コストととらえ、購入によって得られる価値がそのコストを上回った状態が、本当の意味での顧客にとっての価値になるという考え方です。CRMによって取り組むべき姿勢としては、単純に商品を見せるだけでなく、顧客に対するコミュニケーションによって純顧客価値を認識してもらうことで態度変容を促すことと言えるでしょう。
■なぜCRMがうまくいかないのか?解決すべき問題とリピーターを増やす施策とは?
CRMによって単なる顧客を熱狂的なファンに変える方法とは?
顧客が期待する価値には、4つのレベルがあるといわれています。最も価値が高いのは予想外の価値提供を受けた場合です。その際、顧客は「感動」し、その提供者の強力なファンになるのです。
顧客価値の4段階(カール・アルブレヒト)
- 基本価値 無くてはならない最低限度当たり前の価値
- 期待価値 顧客が期待する価値
- 願望価値 あれば高く評価する価値
- 予想外価値 期待を上回り感動するレベルの価値
ECにおいて考えると、初回購入を促すためにLPを活用して期待値を上げることが重要です。しかしながら、実際に提供できる価値に対して事前の期待値を上げすぎてしまうとリピート率が低下してしまいます。
単純に初回購入者を多く獲得するという考え方ではなく、いかにLTVが高くなる顧客を多く獲得するかという「期待値コントロール」が重要となるわけです。そのためには、実際に今現在LTVが高い優良顧客が、初めて購入した際に商品の何に魅力を感じて購入に至ったのか、そしてリピートを続けているのかといった顧客マインドの徹底理解が欠かせません。
理想的なCRM施策と施策の流れ
ECサイトの理想的なCRM施策では自社の既存顧客を分析し、適切なターゲットごとに分類し、Eメール等のコミュニケーション手段を通じて必要な施策を打ち、最終的に優良顧客へとに育て上げることが重要です。
つまりECサイトの担当者は自社の既存顧客の状態がどのような状況なのかを把握し、それぞれに対し適切な施策を打つ必要があります。
顧客ごとの心理や購買行動に応じた適切なコンテンツを、適切なタイミングで送信することが大事になります。顧客の態度変容を促したり購入に結びつけるきっかけを作る施策だけでなく、「何のために」「誰に対し」「どんなことを伝える」といったコミュニケーション戦略の立案も重要です。
そして、立てた戦略を実現させるためには・・・
- <現状把握>
- <課題抽出>
- <解決のためのシナリオプランニング>
- <システムへの実装>
- <実装後の定期的な評価と改善チューニング>
といった多岐にわたる取り組みが必要です!
■なぜCRMがうまくいかないのか?解決すべき問題とリピーターを増やす施策とは?
CRMで活用される具体的な分析手法例とは?
CRMで活用される分析手法は多数存在します。顧客データを分析する目的は、自社の顧客を知り、課題に対する打ち手につなげるための分析だけで終わらせ内容にしましょう。必ず課題を抽出し、それを解決するための適切な対策を考えところまで進めましょう。
データ分析後は、特定顧客を抽出したあとで「誰に」「どこで」「何を」「どうやって伝えるのか」について仮説とアクションの検証により自社オリジナルの勝ちパターンを形成するのがCRM担当者の仕事とえいます!
・デシル分析
「売上に貢献している優良な顧客」が分かる分析手法
・RFM分析
最新購買日を加味することにより優良顧客、休眠顧客、離脱顧客が分かる分析手法(短期売上)
・CPM分析
顧客グループを細分化し今後育成するべき顧客が分かる分析手法(中長期売上)
実施フェーズでは、アクションを行った後はその効果の検証が欠かせません。
・RFM分析での分類では短期的な売上が上がっているか?
・CPM分析での分類では中・長期的な顧客育成ができているか?
実際のCRM施策にかけた工数と施策のインパクトを検証し施策の勝ちパターンを作る必要があります。
膨大なデータからベストな販促シナリオを構築し効果的なCRM施策を実施するには
自社内の人的リソースとの関係も重要です。CRM施策実施のための社内リソースを検討し、場合によってはCRMツールの導入を検討すべきです。
■なぜCRMがうまくいかないのか?解決すべき問題とリピーターを増やす施策とは?
CRMに必要なデータ環境構築でよく使われる用語について
CRMではターゲットに最適な施策を実現するために、
- ・購入履歴データ
- ・閲覧履歴データ
- ・顧客属性データ
などなど、さまざまなデータを顧客に紐付けて管理する必要があり、データに関する基礎知識が欠かせません。以下にてCRM実施環境を構築する際によく使われる用語を簡単に解説します!。
・DWH(データウェアハウス)
データウェアハウスとは、直訳すると「データの倉庫」です。業務において発生したさまざまなデータ履歴を時系列に保管したデータベースのことで、データベースの利用形態の1つ。
・データマート
データウェアハウスに保存されたデータから「目的」ごとに必要なものだけを抜き出したデータベースのこと。
・DMP(データマネジメントプラットフォーム)
業務において発生し蓄積された様々な情報データを管理するためのプラットフォーム。
マーケティング活動やレポーティングに利用するためのデータ統合・加工を行うことで
マーケティング施策の効率化、データ管理・処理の効率化を図ることができます。
・CDP(カスタマーデータプラットフォーム)
行動データなども含む様々なデータを顧客に紐付け、継続的に統合管理するデータベース。他のシステム・ツールからも参照できるようになっているものと定義されている。いわゆる「プライベートDMP」にあたるもの。
CRMはEC事業の成長・拡大において欠かせない要素ではあるが、その取り組みは非常に広く奥が深く、理想だけを追ってしまうと膨大な費用・工数がかかってしまい費用対効果で問題が生じてしまいます。ECにおけるCRMでは、現実的にCRMの取り組みによって期待できる売上インパクト・向上利益を十分考慮し、適切な範囲の投資および運用工数を考えたうえで推進することが成功のポイントとなります!
19年5~7月のCRM関連動向は?
通販通信では「CRM」関連の業界ニュースを随時更新しています!19年5~7月の動向では、CRMツールベンダーが買収されるなどといったニュースを取り扱いました。
・アドブレイブ、CRMツール提供の「アクションリンク」を子会社化(19/07/08)
(株)アドブレイブは1日、EC特化型のCRMツール「アクションリンク」を運営するアクションリンク合同会社に出資し、完全子会社化した。
・CRMジプシーに朗報?新卒社員でも使えるCRMツールが登場(19/05/08)
(株)アドブレイブは9日、アクションリンク合同会社が開発したEコマース特化型のCRMツール『actionlink(アクションリンク)』と、カート離脱防止ツール『カゴ落ちリマインダー』の本格販売を開始する。
■なぜCRMがうまくいかないのか?解決すべき問題とリピーターを増やす施策とは?
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