行政の表示規制強化やWEB広告規制などの影響を受け、健康食品市場が停滞するなか、ここ数年で毎年、1.5倍以上の成長を続ける通販会社がある。「タマゴ基地」のブランドでサプリメントや化粧品を展開する(株)ファーマフーズだ。元々機能性素材を販売していた同社は、通販を開始して7年で年商85億円を達成。同社が急成長した要因について、(株)ファーマフーズ管理部の新谷義信次長に聞いた。
ファーマフーズ管理部 新谷義信次長
ギャバで世界売上No.1の素材会社が独自素材「iHA」のサプリで通販参入
――御社の事業について、お聞かせください。
新谷 弊社は機能性素材と通信販売、創薬の3つの事業をメインにしています。特に売上高に貢献しているのが通販事業で、自社で開発した独自素材を配合したサプリメントを通販で販売し、売上金額が順調に伸びています。
元々は原料販売がメイン事業で、機能性素材を販売していました。代表的な素材はファーマギャバです。弊社は研究開発型の企業で、自社で研究施設を設け、確かなエビデンスをそろえると共に、機能性表示食品に必要な研究レビューを自社で整備しております。最近では食品メーカーなどが自社の商品に付加価値を持たせるために、ファーマギャバを添加して機能性表示食品として販売するケースが非常に増えています。
ギャバに関しては「世界売上No.1」であると自負しており、「ファーマギャバ」というブランド名で、アメリカや中国でも販売を拡大しています。
ファーマギャバは乳酸菌発酵を利用した独自技術により大量生産した素材です。その他、たまご由来の様々な機能性素材を開発しており、ご好評を頂いております。開発のコンセプトは「たまごをあたためると21日でひよこになるという『生命活動』」にあります。たまごの中に生命に必要な成分が全て含まれていることに着目し、代表的な関節系素材の「iHA(アイハ)」、骨系素材の「ボーンペップ」、育毛系素材の「HGP」など、さまざまな素材を開発しています。
これらの素材を配合した自社製品を、約7年前から通販で展開しています。研究所で得た確かなエビデンスを元に商品を開発しているのですが、テレビCMでも、こうした取り組みをアピールしています。
「ファーマギャバ」を配合したサプリメントや自社商品ラインナップ
コンセプト重視で「タマゴ基地」の通販ブランドを立ち上げ
――素材を開発している会社が通販を開始するケースについては、なかなかうまくいかない事例も多いです。なぜ通販を始めたのでしょうか?
新谷 創業から機能性素材の販売をメインに事業展開をしてきたのですが、機能性素材を販売する場合、メーカー様の意向によって商品販売自体が止まったり、なかなか安定しませんでした。こうした背景があり、直接消費者に商品を販売する事業として通販の開始を決断しました。
――通販の戦略についてお聞かせください。
新谷 通販を開始するにあたり、しっかりとしたコンセプトにすることを重視し、「タマゴ基地」という屋号にして通販ブランドを立ち上げました。販売チャネルはテレビ通販とラジオが中心で、ネット通販も拡大しております。
広告投資として一番大きいのはテレビCMで、29分のインフォマーシャルをBS・CSや地方局を中心に展開すると共に、全国の主要キー局にも拡大しています。
自社通販サイト「タマゴ基地」
テレビCMでは自社の研究への取り組みを訴求
テレビCMでは、製品の内容をしっかりお伝えするのはもちろんですが、弊社で実際に開発している研究員が出演するスタイルで、自社で研究をしっかりしていることを消費者の皆様にお伝えしています。
通販で最初に販売した商品はiHAを配合した膝関節訴求のサプリメント『タマゴサミン』です。iHAは某健康食品会社様と共同開発した素材で、2社での独占販売となっており、他社にはマネのできない商品となっております。
サプリの売上の主軸となるのは『タマゴサミン』で、『タマゴサミン』を入口に、さまざまな商品のクロスセルをおこなっています。某製薬会社様にも採用されている機能性素材「ボーンペップ」も、iHA同様の独自成分で、骨の成長や強さをサポートする素材です。その「ボーンペップ」を配合したサプリ『タマコツBP』を骨系商品として販売しています。この2つをメインに、年配の方のクオリティオブライフ(QOL)向上を目指す商品を展開しています。
また、今すぐ痛みを和らげたいというお客様向けには、独自開発したひざサポーターを販売しております。
自社商品の『タマコツBP』(左)、『タマゴサミン』(右)に自信を見せる新谷氏
「信用力」と「実感力」が通販の成長を後押し
――通販事業が成長した最も大きな要因は何でしょうか?
新谷 成長の要因は2つあるのではと考えております。まず1つは「信用力」です。自社で研究開発しているので、自分たちが研究してきた結果をお伝えしたいという気持ちを伝えることで、広告にも自然と真実味が表れます。また、コールセンターのオペレーターが自信を持って商品をお客様に勧めることができます。
もう1つが「実感力」です。ご愛用者様から商品の効果を実感したというお喜びのお声をたくさんいただいております。また、インフォマーシャルにご出演いただくご愛用者様は、実感の声をいただいた方に取材を申し込み、出演をしていただいております。役者ではなく、実際のご愛用者様が話す言葉は、しっかりと視聴者の皆様に届いていると感じています。
決済の8割が「後払い決済」に、アトディーネ導入で課題解決
――注文の決済の比率は「後払い決済」が高いそうですね。
新谷 はい。決済比率でいうと全体の8割が後払い決済です。WEBを除くご受注の方法は、ほとんどがコールセンターへのお電話になります。お電話での注文になると、クレジットカードは嫌われる傾向にあり、後払い決済が第一の選択肢となります。ですので、後払い決済は弊社の通販事業で重要な位置づけとなっています。
これまでいくつかの後払い決済サービスを利用してきたのですが、現在はジャックス・ペイメント・ソリューションズ(株)が提供する「アトディーネ」を導入しています。稼働も安定し、切り替えたことによるプラスの効果も出ています。
――「アトディーネ」を導入した経緯についてお聞かせください。
新谷 通販事業が順調に伸びていくなかで、業務効率化が課題に上がりました。「アトディーネ」を導入する前は、別の後払い決済サービスを利用していましたが、その後払い決済はリアルタイム与信ができませんでした。リアルタイム与信ができないと、結果がすぐにわからず、与信が通らなかった場合の連絡が必要となります。お客様に審査結果をご連絡した際に、さらにその電話で、与信が通らない理由についての質問を受けるなど、業務が非効率で、オペレーターに大きく負担がかかっていました。
また、決済に関係したやり取りが多くなると、お客様が不信感を抱いてしまうこともありました。
そこでリアルタイム与信が可能となる「アトディーネ」に切り替え、後払い決済の1つの課題が解決しました。
研究に取り組むファーマフーズの研究者
愚直で真面目に研究・開発する姿勢を崩さず市場拡大へ
――「アトディーネ」導入後にどのような影響がありましたか?
新谷 API連携もスムーズに進み、導入後から作業効率や通販の利便性が向上し、売上拡大に貢献してくれています。以前はコールセンターのオペレーターから後払い決済に関する改善要望が多かったのですが、「アトディーネ」導入後はそういったことも少なく、スムーズに切替・運用できていると思います。
また、ジャックスグループという知名度も大きいと思います。当社は年配のお客様が多く、ファーマフーズから購入しているのに、別の会社から請求書が来ることに違和感を持つ人も少なくありません。そうなると、知名度の高い信販会社からの請求は安心感があります。
――今後の展望についてお聞かせください。
新谷 通販事業は、まだまだ伸ばせると考えています。そのためにも、まず入口の商品を拡大させるべく、商品ラインナップを拡大したいと思っています。『タマゴサミン』に続く第2の柱も育成しております。
弊社は研究・開発から販売まで、愚直に真面目に実行しています。研究者の熱意も高いものがあり、今後も社長の想いでもあります「弊社の商品が多くの人の役に立つ」ことを目指していきたいと思います。
――本日はありがとうございました。
(山本 剛資)
■「タマゴ基地」
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