2018.01.10 通販系書籍
モノではなく、生きる感動を売れ! -通販の先駆者「千趣会」はこう考えてきた-
「千趣会」は、2011年度で国内の通販業界7位のシェア(本書より)を誇る総合通販会社である。2011年12月期の売上高は、1,372億6,100万円。設立は1955年で、17種類のカタログを発行する(本書より)。
本書は、千趣会の設立メンバーであり、現在会長を務める行待裕弘氏が創業期から現在までを振り返り、成功したポイントや、乗り越えた困難などを赤裸裸に語ったビジネス書だ。通販の先駆者である「千趣会」がどのような考えのもと数々の事業を手がけてきたか。千趣会のすべてを見てきた行待会長ならではの視点で、通販事業で成功する秘訣を紹介する。
千趣会の歴史は、「こけし」の販売からスタートした。行待会長の親族が手がけようとしていた会社「こけし千体趣味蒐集の会」から、3字を取り、「千趣会」と名付けた。それが、今日まで続く会社の始まりとなっている。こけしを起点に、時代のニーズに合わせて売り物は変わってきたが、「女性」を対象にした商品開発・販売という面では一貫している。女性に特化し続けることで、女性が発する「カワイイ」ひとつにも、複数の意味が存在することなどがデータとして蓄積され、それが商品開発に生かされている。
行待会長は本書内で、「今の日本は、必要なものはあらかたそろってしまって、『ニーズ』より『ウォンツ』に人々の目が向いている状況」と指摘する。『ウォンツ』は世の中にまだないものを生み出し提供することなので、非常に難しいことではあるが、「世の中の人がいろいろな『ウォンツ』を持っていて、素敵な何かと出会いたいと、常にそれぞれが思い続けていることについては、今も昔も変わらないはずだ」と、『ウォンツ』に応える商品開発の重要性を説明する。千趣会は、そうしたクリエイティブ思考を大事にしているため、これまで様々なヒット商品を生み出すことに成功してきたと言える。
「女性が欲しいと願うものは何だろうか?」常にアンテナを張り、世の中のニーズをキャッチするために、本書最後で「井の中の蛙になるな」と読者にアドバイスを送る。近年は、海外に興味を持つ若者が減り、「内向き思考」などと言われるが、それではアイディアを膨らますことは難しい。
新しいものを求めて行くという思想を日常的に持っていると、まったく違ったアイディアが出てくるのだと行待会長は言う。数々のアイディアでヒット商品を生み出し、千趣会を成功に導いてきた行待会長の考え方や、クリエイティブな思想になる秘訣など、本書で語られている数々のヒントは、通販業界に従事している人であれば誰もが参考になるだろう。
【著者プロフィール】――――――――――――――――――――――――――――――――――
行待裕弘(ゆきまち・やすひろ)
1932(昭和7)年、京都府生まれ。50年、京都市立堀川高等学校卒業後、天巧ゴム工業入社。55年、千趣会の設立と同時に取締役に就任。こけし人形の頒布事業から料理カードつき雑誌、カタログ通販へ事業を拡大。2000年、代表取締役社長に就任。11年、代表取締役会長に就く。
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