1月2日の朝8時ごろ、東京・渋谷駅の地下鉄A2出口の階段下には、約1000人の男女がSHIBUYA109の初売りのオープン待ちに列をなしていた。年始の風物詩ともなった「福袋」を求めて、正月の早朝から渋谷に集まった。2020年の109の初売りは例年と一味違う。フリマアプリを展開する(株)メルカリと(株)SHIBUYA109エンタテイメントがタッグを組み、福袋の中身で「サイズが合わなかった」「好みと違う」といったアイテムを”その場出品”できるという新たな取り組みが催されており、メディアからも注目を集めていた。通販通信ECMO編集部も現場に赴いた。
待機1000人が30分で秩序よく入館
SHIBUYA109は、予定の開店時間から1時間早い9時にドアオープン。先頭陣は足早に、テナント店の元気良い呼び込みが響き渡る中、お目当てのブランド目掛けてビル内に散って行った。開店待機をしていた1000人は約30分で店内に入り切った。長年の初売り混雑を経験したこともあってか、109側の準備した誘導・導線は完璧。押したり掛けたりすることもなく、秩序正しく入館していった。
最上階では韓流男性アイドルグループ「TOMORROW X TOGEHER(TXT)」の物販ポップアップストアが用意されたこともあり、それ目当てに詰め掛けた人も多かった。開店から30分足らずで最上階に続く螺旋階段はポップアップストアへの入場待機列がなされ8階から5階ほどまで続いていた。
「メルカリ売れる福袋」は先着1000個
メルカリは109の初売りセール期間中、2Fの角にポップアップストアを用意。
1/2〜1/5の期間中は、109内で2000円以上を購入した人を対象にメルカリオリジナルの梱包資材を詰めた「メルカリ売れる福袋」を先着1000個配布。期間中に配布が終了してもポップストアは継続する。
※SHIBUYA109提供写真
ポップアップストア内には、小物類の商品撮影に最適な撮影ボックスや、トップス類を簡単に撮影できるようなディスプレイ撮影コーナー、フィッティングチェックに全面鏡も用意。採寸用にメジャーも備えた。各コーナーの利用は1回3分で区切り、タイマーも置かれた。
戦利品確認→メルカリ出品の姿も
109の開店から1時間も立たないごろ、エントランスやテラス、階段脇で福袋を開け”戦利品”チェックに勤しむ女子の姿が目立ち始めた。グループ同士、福袋の中身交換を行っている様子も見られた。
時を同じくして、メルカリのポップアップストアにもちらほらと人の姿が。購入したての福袋からいくつか出品作業を開始。
ポップアップストアではメルカリスタッフが、フリマアプリ初心者に出品の仕方を丁寧に説明する光景も見られた。
物々交換の光景はあまり見られず
109の初売りといえば、エントランスでの福袋の中身の「物々交換」が風物詩となっていると言われていた。2020年はメルカリでの出品促進企画の影響度は定かではないが、開店から2時間までに物々交換光景は見られなかった。一方、Twitter上では交換の呼びかけや、福袋丸ごとの「お譲りします」投稿なども散見された。
SHIBUYA109広報によると、2020年1月2日の総来館者数は約5万7000人。1日の売上高は1億7000万円だった。
記者雑感ー待機陣の秩序
SHIBUYA109とメルカリの計らいで、1月2日の開店時に109の現地取材を行った。第1陣が入館する様子をカメラに納めるべく、9時のオープン時も報道陣は店内で待機した。いざ入館が開始すると、彼女たち彼らは誰かを押しのけて走り出すわけでもなく、静かに目当てのブランド売り場に直行していった。ただ淡々としているわけでもない。語弊があるかもしれないが「行儀の良さ」に驚いた。
開店前の待機列(SHIBUYA109提供写真)
同日の百貨店の初売りなどの様子をテレビのニュース番組でみると阿鼻叫喚の様相を映していた。筆者自身が参加した年末年始のコンサートイベントの物販ですら、それなりに混沌とした様相を示していたように思う。もちろんこの秩序の整形は、長年1000人単位の開店待ちと対峙してきたSHIBUYA109の営業努力の賜物でもあると思う。外部にもノウハウを提供して欲しいと感じるほど、誘導や導線は完璧だった。
109入居ブランドの中には、先着10個限定など数を絞って福袋を売り出しているケースもあった模様。消費者心理からしたら、開店と同時に駆け出したくもなるのではないかと思ってしまう。マナーとルールをきっちり守り109へ入館していった彼女たち彼らから学ぶことは少なくないのでは、と感じた。
(古川寛之)
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