EC・通販の決済手段である「後払い(=立替払い型の後払い決済サービス)」をめぐる相談や苦情が、全国の消費生活センターなどで増えている。国民生活センターは23日、かねてからトラブルの激増を指摘している定期購入トラブルの決済手段に「後払い」が多く利用されているとし、後払い決済サービス事業者に対して要望を行ったと発表した。
後払い相談75%が定期購入トラブル
全国の消費生活センターなどには後払い決済サービスが利用された取引にするトラブルが多く寄せられている。国民生活センターが受けた相談の中で、後払い決済サービスが関連する相談は増加傾向にあり、14年4月から19年11月末までの約5年半で886件に上っているという。19年度は11月30日までに338件。前年度の同時期と比較すると、約3倍に増えた。
14年度の相談件数は4件、15年度は16件、16年度は74件、17年度は218件となり、18年度は236件だった。 契約当事者(相談者)は男女ともに40~50代が多く、20歳未満は86件で、「不明」を除き、中学生13件、高校生48件、その他学生が14件あった。
相談の内容は、販売サイトなどで「1回目90%OFF」「初回実質0円(送料のみ)」など、通常価格よりも低価格で購入できることを広告で強調し、実際には数か月以上の継続(定期購入)が条件となっている健康食品や化粧品などの通信販売、いわゆる「定期購入トラブル」にからむ案件が多く、約75%を占めるという。
未成年の定期×後払い相談を問題視
そうした中、後払い決済サービスについては、(1)消費者の支払い能力を超えた請求がされている(2)消費者トラブルへの対応が不十分(3)加盟店調査等が十分ではない――などの課題があるとした。後払い決済サービスには「割賦販売法」や「資金決済法」の適用はない。業界団体もなく、過剰与信防止や苦情処理、加盟店調査などについては、後払い決済サービス事業者の自主的な取り組みに委ねられていることからも、国センは後払い決済サービス事業者に消費者トラブルを防止するよう、次のような要望をした。
注文や契約にあたって消費者が事業者に支払うこととなる総額が十分に認識できるよう、販売店と協力して取り組むこと/不正利用の防止に取り組むとともに、消費者からの問い合わせには、事業者自らが販売店と事実確認を行うこと/加盟店契約締結後は、定期的に販売店の連絡先、販売方法、サイト上の表示などについて調査・把握すること/消費者からトラブルの申し出があった際には、販売店に対して苦情の発生状況などについて調査を行い、結果に応じて、販売店への改善の要請や加盟店契約の解除を行うこと―― など。
相談件数が減らず決済側にも要望
後払い決済に関する相談件数は直近で急激に増加したわけではない。なぜこのタイミングこうした発表を行ったかについて国センの相談情報部相談第2課の内藤奈津樹氏は、「定期購入トラブルは(国センによる)再三の注意喚起もむなしく、増加を続けている。事業者への呼びかけも効果が出ず、決済手段の部分からなんとかトラブル増加を食い止められないか」という趣旨からだという。
Paidy×メルカリ組合せ詐欺は無関係
なお今回の発表内容については、昨今話題となっている「Paidyとメルカリ組み合わせの詐欺行為」に関連してのものではないと国センは会見上で断言している。前出の国セン・内藤氏によると「調査を経ての発表のタイミングが、たまたま今になってしまった」と話している。
情報の提供先は、消費者庁消費者政策課、内閣府消費者委員会事務局、経済産業省商務情報政策局商務サービスグループ商取引監督課、金融庁総合政策課金融サービス利用者相談室。EC・通販に関する「定期購入トラブル」の発表ではあるが、特定商取引法を所管する消費者庁・取引対策課やEC・通販の業界団体は情報提供先としていない。「今回は、消費者向けの注意喚起でもなく、販売事業者に対する要望でもない。あくまで決済手段についてサービス提供会社への要望であるため、(通販の業界団体や取対課には)情報提供をおこなっていない」(内藤氏)とした。
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