ショッピングモールサイト「Amazon.co.jp」に虚偽の連絡先を登録し偽ブランド品を販売したとして消費者庁は7日、出品・販売した通販業者13社に特定商取引法違反(虚偽表示など)として業務停止3か月を命じた。
ヴィトンやエルメスの偽物販売
消費者から「事業者と連絡が取れない」などの苦情や相談が寄せられ、調べたところ、出品アカウントを開設する際に登録された住所や電話番号が実在しなかったり、無関係のものだったりした。
同庁によると、13事業者はアマゾンのサイト上で、バッグや財布などの画像とともに、「並行輸入品」などと記載して出品。「ルイ・ヴィトン」「エルメス」「クリスチャンルブタン」など、あたかも正規のブランド品であるかのように広告し、それぞれ販売していた。
事業者と連絡取れず公示送達で執行
それだけでなく、出品者・出店者の身元隠匿の手口も表面化した。サイトの仕組みを悪用して身元を隠し、知名度があるアマゾンの信用力を利用して販売していた。同庁の調査でも、13事業者の身元を把握できていない。今回の処分も「公示送達」だった。
公示送達(こうじそうたつ)とは、先方の連絡先が分からない・連絡が取れない場合や、連絡先が海外で文書の交付の証明が取れないときなどに、法的に送達したものとする手続きのこと。公示送達による執行は、16年の特商法の改正で新たに可能となった。
処分事業者は アカウント開設後に、本人確認書類とは異なる住所に変更していただけでなく、本人確認書類自体も、偽造書類(免許証、外国人在留カードなど)のデータを提出していた。
また、銀行口座やクレジットカードは、オンラインで利用申し込みをして開設・発行ができるバーチャルな銀行口座や、プリペイド式のクレジットカードなどを用いていた。同庁では13事業者の出品アカウントが停止された後も、サイト上で複数の出品アカウントによって偽ブランド品の販売が行われていたことを確認している。
13事業者のうち、複数の事業者が使っていた売上の振込先口座(同一の事業者が提供する、名義まで同一の口座)や、販売商品の返送先などとして使用されていた共通の住所は、13事業者以外の他の多数の出品者・出店者によっても使われていた。このことから、13事業者による偽ブランド品の販売は、ほんの一端に過ぎず、多数の出品者・出店者が、共通の手口を用いて販売行為をしていることが認められるとした。
▽特定商取引法違反の通信販売業者13事業者に対する業務停止命令(3か月)及び指示について(消費者庁サイト)
今回、特商法で行政処分を受けた通販業者13社は次の通り。
「CHIAI BING」「DSDfwea」 「MIYAネット」 「MEDSストア」 「松田商务」「BURM FASH ION」「County store」 「olkdafls」「メンズVIP」「谷井」「Gwen_dolyn」 「shinemuy」 「JYUNKO」
消費者安全法による注意喚起も
同庁は、今後もアマゾンのサイトや別のデジタルプラットフォーム事業者が提供するショッピングモールサイトで、多数の出品者・出店者が、同様の手口で身元を隠し、虚偽の広告による偽ブランド品の販売を繰り返し行う可能性が高いと警告している。特商法の処分とは別に同日、同・消費者安全課では同じ手口が繰り返される恐れがあるとして、消費者に注意を呼びかけるとともに、複数のプラットフォームの運営者に対して被害を防ぐ対策をとるよう、要請した。
▽デジタルプラットフォーム事業者が提供するショッピングモールサイトにおける偽ブランド品の販売に関する注意喚起(消費者庁サイト)
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