新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、6日までとしていた緊急事態宣言は、全国で1か月ほど延長される見方が濃厚だ。大型連休に突入する中、4月末にはEC・通販事業者による新たな支援活動が相次いだ。医療従事者へのエールとともに、ECシステムの構築で商品販売を助け、成長に合わせたプランを提供するなど、業界ならではの取組も目立っている。
EC・通販企業は自商品やマスク寄贈
◇ユニクロは防護服20万点寄贈
(株)ユニクロを運営する(株)ファーストリテイリングは4月30日、緊急支援としてアイソレーションガウン20万点と、ユニクロの機能性肌着「エアリズム」を、国内の医療機関向けに寄贈することを決めた。
医療現場で使用できる防護具の一種であるアイソレーションガウンは、中国の自社取引先工場から調達し、東京や大阪、神奈川など感染者数が多く出ている都道府県と日本看護協会を通じて、「コロナ禍」に対応する全国の基幹病院などに贈る。5月中旬をめどに提供できる見込みだ。「エアリズム」はすでに、ヨーロッパや東南アジア各国で、現地法人を通じて医療機関に寄贈しており、医療従事者の肉体的負担を緩和できると、好評を得ているという。
同社は3月26日に、国内外の医療機関等へ医療用を中心にマスク1000万枚を無償で提供することを表明し、これまでに世界19の国と地域への提供が確定。日本では、4月中旬に第一弾となる約35万枚を政府のマスクチームに寄贈済みで、5月中旬までに計100万枚超の提供が完了する予定だ。
◇ファンケルは看護職に化粧品寄贈
(株)ファンケルは4月30日、医療現場の最前線で奮闘している看護職の人たちに、化粧品「マイルドクレンジング オイル」(120mL、税込1870 円)を寄贈すると発表した。(公社)日本看護協会を通じ、全国に設置されている看護協会に合計2万本を届ける計画だ。
従業員一同で医療従事者の方々へ心からの敬意と感謝を表すとともに、今後も新型コロナウイルス対策に従事されている方々を継続的に支援していく、との方針を示している。
◇ストリームはマスク1万枚寄贈
いまだに深刻なマスク不足を補おうと、家電ネット通販の『ECカレント』を運営する(株)ストリームは、医療機関へ向けたマスク1万枚を、4月28日に千代田区役所へ寄贈した。
同社も、「新型コロナウイルスの拡大防止のため働かれている医療機関の皆様、ライフライン維持のために働かれている皆様には心より敬意を表します」との言葉を添えた。
物流業界の従事者向けマスク販売も
◇オープンロジは法人にマスク販売
物流プラットフォームを運営する(株)オープンロジは同日、これまでに培った独自の物流ルートを活かして中国の生産工場から1億枚以上のマスク仕入れルートを確保したと発表。品質テストを受けた医療現場で通用する高品質マスクを、物流企業向けに販売する。収益の一部は「国境なき医師団」の新型コロナウイルス感染症危機対応募金に寄付し、危機的な状況を世界中が連帯して乗り越えられるよう、支援したいと表明した。
販売は自社の特設専用サイトで。物流現場のマスク不足に対応する法人向け販売だが、物流業界以外でも、現場でマスク不足が深刻な医療、介護、EC、自治体などにも対応したいとしている。最少購入ロットは3000枚で19万5000円(1枚65円)。同レベルの認証マスクの末端小売価格は、4月時点で1枚80円~だという。
EC事業者への支援さらに広がる
◇商品画像加工ツール3カ月無償
EC商品画像の加工ツール「ECフォトアシスタント」を提供する(株)市川ソフトラボラトリーは、飲食店など新規EC開業の支援策などとして同ツールの3カ月間にわたる無料トライアルを通販通信ECMO読者限定で提供中だ。
通常は2週間分提供しているトライアル期間を3カ月に延長しての提供となる。既存のEC事業者や食品以外でも利用可能だ。
◇メイクショップはモール構築支援
カートシステムを提供するGMOメイクショップ(株)は、モール型ECの構築支援に乗り出した。同社によると「商店街で近隣の店舗と協力して、1つの事業者が複数の事業者の商品をまとめてECで販売する仕組みはないか?」という相談が急増しているのだという。
同社ではクラウドEC構築サービス「MakeShopエンタープライズ」で「メーカー直送システム」というモール型のECサイトを構築できるシステムを用意している。「メーカー直送システム」は、複数の事業者の商品をまとめて出品しマーケットプレイス型のモールを構築することができるというもの。
1事業者が管理者としてECモール全体の運用を行い、その他の各事業者様は商品管理や商品が売れた際の配送管理のみを担当するというもの。
新型コロナウイルス対策支援として、「メーカー直送システム」の新規導入費用を最大20万円キャッシュバックするキャンペーンを開始した。
◇w2は初期費用半額など実施
総合通販からリピート通販まで通販事業のカートシステムを提供するw2ソリューション(株)は同日、事業者支援の一環として、総合通販向けカートシステム『w2 Commerce』と、リピート通販向けカートシステム『リピートPLUS』を、7月31日まで、それぞれ特別価格で提供すると発表した。
『w2 Commerce』は、オールインワンECサイト構築システム『w2 Commerce Value5』の初期費用にかかる300万円を150万円で提供。カスタマイズプラン『w2 Commerce Enterprise』は、エンタープライズプラン移行費から100万円割引で提供する。
定期購入型の販売に特化した定期通販カートASP『リピートPLUS』は、全プラン(月額0.98万~)の月額費2か月無料またはオプション機能を永久無料で提供。カスタマイズプラン『リピートPLUS Enterprise』は、エンタープライズプラン移行費から100万円割引で提供する。
◇STORES、無償提供など支援
誰でもネットショップがつくれるサービス「STORES」を提供するストアーズ・ドット・ジェーピー(株)は4月30日、「コロナ禍」で影響を受けている利用者への「オンライン商品販売サポート」を5月末まで延長するとし、新しくネットショップを開設するオーナーには、最大2か月分のスタンダードプランの無償提供と専属スタッフによる開設支援を、併せて発表した。
◇ペパボは情報紹介サイト開設
GMOペパボ(株)は同日、運営するネットサービスを利用する事業者を応援する特設サイトを開設した。自社商品のネット販売や飲食物のテイクアウトサービスなどを提供する事業者の情報を紹介するサイトだ。その他にも、同社が実施する支援策を紹介している。
小売店や飲食店をはじめとする事業者の多くが、ネットを活用したサービス形態へ移行したり、強化したりしている現状を見据え、店舗での対面販売に代わって新たにECサイトで収益を得ようとしている企業などに、同社の各種ECサービスを通じて応援する取り組みだ。
ネットショッピング用には、開業・作成サービス「カラーミーショップ」や、オリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」を利用している店舗を紹介。テイクアウトなどへの業態変更用には、ホームページ作成サービス「グーペ」を利用しているテイクアウト可能な飲食店の紹介や、レンタルサーバー「ロリポップ!」、「ヘテムル」を利用しているテイクアウト情報まとめサイトを紹介するという。
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