キャッシュレス決済で支払額の最大5%還元という政府の「ポイント還元事業」が6月末日で終了した。昨年10月の消費税率アップに合わせて始まり、9か月。同事業の補助金事局となった(一社)キャッシュレス推進協議会がまとめた事業の総括では、キャッシュレスの普及に一役買ったと同時に、事業終了後も年代を問わず8割前後が「利用したい」と答えていた。
各時期とも約2万7000人を対象に聞いた「還元事業の認知状況」は、最終的に86%が認識しており、直近と事業開始前の比較では14ポイントの開きがあった。「店舗による還元率に違いまで含めて、ポイントが還元されることを知っている」と答えた人は、事業開始前(19年9月)は25.0%。事業期間中(20年5月)には41.8%になっていた。
10代の継続意向、やや低い78%
キャッシュレス決済は7月以降、鈍るのが、変わらないのか。キャッシュレスを利用している10~70代の消費者の83.8%が「事業終了後も利用したい」と答えていた。年代別で一番低かったは10代の78.5%だった。同協議会は政令指定都市や東京23区、都市部、町村部などに分けて聞いているが、ほとんど差はなく、全体では83.8%に達していた。
キャッシュレス支払いでは、最大5%と2%還元の店舗があったが、事業終了までに購入店舗に変化はあったかを聞いたところ、20~60代の5割以上、10代と70代の3割以上が「ポイント還元される店舗で購入するようになった」。また、全年代で、19年11月からその割合は増加していた。
キャッシュレス手段は「クレカ」
「キャッシュレスの利用頻度」と「決済手段」は、やはりクレジットカードが多く、「週に1回以上」が事業の開始前と後も30%台前半、「1か月に1回以上」が30%台後半だった。事業開始後に伸びたのはスマホによるQRコード、バーコードの決済。週に「1回以上」では、事業開始前が8.2%だったのに対し、期間中の20年5月には17.6%になっていた。
「キャッシュレスの利用頻度」は、都市部も町村部も変わりはなく、全地域区分で頻度は増え、地域区分別でも6割以上が「週1回以上」のキャッシュレス利用があった。
店舗側も9割が「提供続ける」
政府はキャッシュレスの普及率を25年に40%、将来的には80%をめざしている。それには店舗側の協力も必須だ。「還元事業終了後、キャッシュレスの支払い手段を提供するか」という問いには、売上高や地域区分にかかわらず、還元事業の参加店舗だった9割が、「提供を続ける」と答えていた。
店舗側に「顧客はキャッシュレスの支払い手段を利用できるか」を聞いたところ、全体では事業開始前の21年9月が26.7%で、20年5月の時点では35.7%になっていた。特徴的なのは、導入率が一番高かったのが町村部の39.5%。人口20万人以上の都市(36.4%)や、政令指定都市・東京23区(36.1%)より高く、事業開始前の23.3%から急伸していた。
還元事業をきっかけに、初めてキャッシュレスの支払い手段を導入した店舗は、約7割が「還元事業をきっかけに始めた、または増やした」。初めて導入した割合は政令指定都市・東京23区が26.0%、町村部は41.0%だった。
コロナ禍も「効果あった」店舗4割
終盤には新型コロナウイルスの感染拡大もあり、還元事業は店側の売上に効果があったのだろうか。参加店舗全体の40.1%が「あった」と答えていた。事業自体に売上確保の効果があったことになりそうだが、地域区分では、政令指定都市・東京23区が45.6%、町村部は35.9%と、ここでは10ポイントの開きがみられた。
還元対象額は8兆5000億円超
事業の対象は中小の店舗で、経済産業省は参加店舗を対象となる200万店の2割ほどと見込んでいたが、最終的には6割に届きそうな115万店が参加した。還元対象の決済額は8兆5000億円(4月中旬)に達した。
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