Zホールディングス(株)がこのほど発表した2021年3月期第2四半期(20年4~9月)連結決算は、売上収益が前年同期比15.1%増の5572億円2300万円、営業利益が同29.8%増の982億円3700万円、四半期利益は同10.4%減の458億3700万円となった。
ポートフォリオ経営が奏功
売上収益は、(株)ZOZOの連結子会社化や、(株)イーブックイニシアティブ ジャパン、ワイジェイカード(株)の売上が押し上げるなど、ポートフォリオ経営が奏功。営業利益はZOZOの連結子会社化や、アスクルグループの利益改善などによるコマース事業の利益増に加え、ワイジェイカードやヤフー(株)を中心とした販促費の抑制により増加した。最終利益は前年同期にPayPay(株)の持分変動利益108億円を計上した影響で減少し、増収減益となった
物販取扱高は30.8%増の1兆2535億円
主力となるEC物販の業績に相当する「コマース事業」の物販取扱高は、前年同期比30.8%増の1兆2535億円となった。また、PayPayの決済回数は、新型コロナウイルスの影響によるキャッシュレス浸透の結果、前年同期比の約6.4倍となる9億1506万回と順調に成長。売上収益は4147億円(前年同期比 24.1%増)、営業利益は676億円(前年同期比92.2%増)ととなり、全売上収益に占める割合は74.4%となった。
GoToトラベルで旅行商品が急回復
急回復をみせたのがO2Oサービス。政府の観光振興策「Go To トラベル」で、宿泊予約サイト「一休.com」や、旅行サイト「Yahoo!トラベル」などの取扱高が増加。今期単体の取扱高は1754億円になり、前年同期比で53.3%増加した。
コロナ禍の影響で、第1四半期の取扱高は大きく落ち込んだが、上半期累計でも同2.2%のプラス成長となった。キャンペーンへいち早く参画したほか、単価の高い宿泊施設をカバーする一休.comがユーザーのニーズに合致したことが、プラス成長につながった。「Go To イート」キャンペーンで、さらに成長加速をめざす。
モールは新規38%増、新規出店34%増
また、コロナ禍によるECも伸長。「Yahoo! ショッピング」「PayPayモール」の新規購入者数が前年度比38.0%増、新規出店は同34.0%増の成長となった。モバイル決済サービス「PayPay」は四半期の決済回数が前年同期比5.1倍、加盟店数は同1.7倍に。登録者数は2.倍を大きく上回り3300万人近くに及んでいる。今後はグループ傘下のジャパンネット銀行と連携し、PayPay経由の口座開設や個人ローン申し込み件数などの増加をめざす。
ディスプレイ広告(運用型広告)のうち、メディア事業に計上される売上収益は、コロナ禍の影響によるメディアサービスのトラフィック増加や、外部配信パートナーの配信増加などの施策が奏功し、前年同期比で増加。一方、検索広告の売上収益はコロナ禍で広告出稿が減ったことなどにより減少した。これらにより、売上収益は1419億円(前年同期比4.6%減)、営業利益は679億円(同6.1%減)となり、全売上収益に占める割合は25.5%となった。
通期連結業績は売上高1兆1400億円と予測
未定としていた21年3月期の通期(20年4月~21年3月)業績予想を公表。売上収益は1兆1400億円(前年比8.3%増)、営業利益は1600億円(同5.1%増)を見込んだ。既存事業の拡大に加え、下半期から主にコマース事業を中心とした注力領域への積極的な投資も実行するとした。
また、長期的には23年度の営業利益を2250億円の過去最高益を見込み、22年度までにユーザー数やeコマース取扱高の拡大、新規事業立ち上げなどに投資することで、売上収益の二桁成長をめざす。
21年3月ごろの経営統合完了をめざすLINE(株)との協議も進捗中とし、同年2月には会社分割によりLINE承継会社にLINE事業を承継、同社を親会社、LINE承継会社を子会社とする株式交換を予定している。
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