楽天(株)とKKR & Co. Inc.、ウォルマート・インクは16日、ウォルマートが運営する(合)西友について、KKRが西友の株式65%を取得し、楽天は小売業のDX推進を目的に2021年1月に設立する新会社を通じて同20%を取得することで合意し、契約を締結したと発表した。ウォルマートは同15%を継続して保有する。これにより、企業価値は1725億円(約16億米ドル)となる。
株主3社が西友のOMOリテーラーに向けた取り組みを支援
この取引により、西友には新たな株主が加わるとともに、日本で意思決定ができるようになる。さらには、新たな株主が持つ専門性を活用しながらイノベーションを進め、顧客や取引先が恩恵を享受できるようDXを一段と加速できるようになるとしている。
西友は昨年、意欲的な成長戦略を掲げ、顧客へのさらなる価値の提供、生鮮へのこだわり、オンラインとオフラインを融合した利便性の強化に取り組んでいる。すでに、市場シェアや顧客満足度、従業員満足度、業績などの主要指標で目標を達成。今後は、株主3社がそれぞれの強みを投入することで、西友が推進している戦略実行を加速化させ、日本を代表するOMOリテーラーとなるための取り組みを後押しする。
両社による西友への出資を通じ、消費者向けにはこれまで以上の利便性の提供をめざす。デジタル・チャネル投資の加速化による、アプリを利用した買い物、決済、配達の実現をはじめ、新たなキャッシュレス決済の導入、オンラインとオフライン(実店舗)を融合させたサービス体験の向上、ニーズを先取りしたエブリデー・ロー・プライス(毎日低価格)商品群の拡充――などの施策を考えている。
楽天の新会社は西友を含む日本小売業のDXを支援
米ニューヨークに本社を置くKKRは、大企業グループの子会社への投資を通じて各社の潜在力を引き出し、さらなる成長と価値拡大を実現させてきた実績が豊富。西友に対しても、小売りビジネスの変革と価値創造を支援する。楽天とウォルマート(本社・米アーカンソー州ベントンビル)はすでに、楽天と西友の合弁会社を通じてネットスーパー事業「楽天西友ネットスーパー」を協働運営し、順調に成長させている実績を持っている。
楽天は、新会社「楽天DXソリューション(株)」(仮称)を通じて、楽天が保有する1億以上の会員基盤やテクノロジーを活用して、西友を含む日本の小売業のさらなるDX推進を支援する。同日明らかにした新会社構想によると、国内で実店舗を運営する小売り事業者を対象に、実店舗のデジタル化やOMO施策導入などのデジタルトランスフォーメーション推進を支援することを目的に、2021年1月に設立する。
AIによる需要予測を活用した在庫・価格管理の最適化も
消費者の行動様式や購買行動が変容し、ECやキャッシュレス決済を中心とするオンラインのサービスは、生活基盤として一層重要な役割を担っている。こうした背景から新会社では、培ってきたOMO施策やデータマーケティングなどのノウハウを生かし、全国の食品や日用品などの小売り事業者のDXの推進を支援することで、実店舗の新たな形態の実現をめざす。
具体的には、AIによる需要予測を活用した在庫管理や価格設定の最適化、スマートフォンなどによる実店舗における「レジ無し決済」の導入などを予定。さらにOMO施策として、オンラインとオフラインの購買データを融合し、ユーザーごとにパーソナライズされた情報を提供するなど、ユーザーにとってより便利な購買体験の実現を見据えている。
同社は今後、新会社設立の趣旨に賛同が得られる事業パートナーとの提携を模索。その一環としてすでに、東急(株)が新会社との提携を検討しているという。
この続きは、通販通信ECMO会員の方のみお読みいただけます。(登録無料)
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。