トランスコスモス(株)はこのほど、「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2020」を発表し、コミュニケーションチャネルに感じる「手間・負担感」は世代で異なり、顧客ロイヤルティ向上には複数のチャネルをまたぐエフォートレスな体験の提供が重要とする結果を公開した。12月10日に「DX時代のCS調査の新常識」を解説するウェビナーを予定している。
CESの妥当性など検証
調査は8月28~31日。直近6か月間に企業とコミュニケーション経験がある男女3097人に聞いた。5年目となる今年度の調査では、コロナ禍が消費者と企業のコミュニケーションのデジタル化に与えた影響や、世代別の傾向を探るとともに、近年話題の「カスタマーサクセス」や「CES(カスタマーエフォートスコア)」の妥当性を検証した。
その結果、従来のCS調査のように最終解決した窓口の満足度を問うだけでは、プロセス全体の「手間・負担感」を加味できていないため、真の総合満足度は20ポイント以上目減りしてしまうことが明らかになった。コミュニケーションチャネルのデジタル化と多様化が進んだ現代にあって、顧客満足度を正しく把握し改善していくためには、消費者の「手間・負担感」を軽減し、エフォートレスな顧客体験を提供していくという視点が重要という知見が得られた。
窓口としての電話・店頭は依然利用
それによると、SNS(32%)やアプリ(25%)、チャット(25%)は高齢層も含めて利用が広がっているが、電話(77%)や店頭(75%)などの従来チャネルも依然利用されており、デジタル一辺倒ではなく多様化が進んでいる。
コロナ禍で、約5割が在宅勤務などで通勤・通学を減少させ、その影響で約3割が日中に自宅で買い物をする「巣ごもり消費」を増加させている。消費者の約7割がスマホに触れる機会が増加し、約6割が動画視聴を増加するなど、デジタル化はますます加速している。
「手間」「負担」で満足度が20p減も
消費者の問題解決に至るプロセス全体の総合満足度(57%)を調べると、問題解決した最終窓口の満足度(78%)から20ポイント以上目減りすることが判明した。原因は、解決までに時間がかかる(62%)、情報や解決方法が見つからない(31%)などの不満体験で、逆にそのような手間・負担感を改善できれば、ブランドイメージや購買行動率、継続率などの顧客ロイヤルティの向上(各58%、47%、38%)につながることが分かった。
若年層は電話など要対面チャネル回避
若年層は新型チャネルの抵抗感が低い反面、電話など対面での対話が必要なチャネルを回避する傾向がある。逆に高齢層は電話を好む反面、新型チャネルへの忌避感が根強い。
例えば「企業の公式SNSアカウント」「メッセージングアプリ」「チャット/チャットポット」など。
従って、企業は自社の顧客構成に応じて、適切なチャネルを選択・整備する必要がある。その上で、各チャネルの満足度を個別窓口ごとに改善するだけでなく、カスタマージャーニーのプロセス全体でエフォートレスな顧客体験を提供するという視点が重要になるとした。
12月10日のウェビナーは11時~12時を予定。「コミュ調2020徹底解説! DX時代におけるCS調査の新常識~CESを活用したエフォートレスな顧客体験の提供と、カスタマーサクセスの実践技法~」と題して実施する。定員60人で無料。事前登録制で、申し込み多数の場合は抽選。参加者には開催1時間前までに視聴用URLとパスワードを送付する。
調査のテーマになった「アフター(ウィズ)コロナにおける消費者コミュニケーションのデジタル化と多様化は、どれほど加速するのか」「顧客ロイヤルティ向上のためにはエフォートレスな顧客体験の提供が重要とされるが、その影響はどのようなものか」を詳しく解説する。
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