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2021.03.23 通販支援

NP、JCBと提携で海外・BtoB決済強化へ…後払いユーザー回遊促進も

後払い決済ブランド「NP後払い」などを展開する(株)ネットプロテクションズ(以下、NP)の親会社(株)ネットプロテクションズホールディングスは2月に、日本発唯一の国際カードブランド(株)ジェーシービー(以下JCB)と資本提携を実施。国内外のBNPL(=Buy Now Pay Later、先に買って後から支払う決済)市場における事業連携を開始した。提携の狙いや展望などについてネットプロテクションズの柴田紳社長と執行役員の秋山瞬氏に話を聞いた。





調達資金はマーケとITに投資へ


 ーーまず資本提携による双方のメリットについてどうとらえているか聞きしたい。

 柴田紳社長(以下、柴田):当社としては、約60億円の資金調達をしたことは事業拡大のための投資を行えるメリットがある。調達資金はマーケティングとITまわりに投資していくつもりだ。またJCBと手を組むことで、NPの信用力の増大につながると思う。また、JCBの加盟店にも当社の各種サービスをリーチできる可能性が高まったことも大きなメリットだ。

 JCB側のメリットについては、推測も含めた話であると先にお断りさせていただく。一つとして、海外でのBNPL展開を推進したいという狙いを持っていると聞いている。当社と手を組むことでBNPLについて市場環境を詳細に捉えることができるはずだ。またNPとの提携でクレカの非保持層などリーチできていない層へアプローチしたいという考えもあるだろう。

 一昔前は「社会人になったらクレカ持たなきゃ」といった文化があったと思う。近年は決済方法も多様化し、クレカを持たない20代も少なくないのではないか。そんな中、当社は20代をメイン利用層とする後払いブランド「atone(アトネ)」というサービスがある。「atone」の会員数は昨夏に100万人を超え、137万人まで到達している。20代のBNPL動向も広く捉えられているのだ。このあたりにもJCBからは興味を持ってもらえているのではないか。

 そのほか、クレカ決済導入が進んでいないサービス領域など、JCBがこれまでリーチしきれていない領域に手を広げる足がかりとして当社との提携にメリットを感じていただいていると思う。国内のカードのナンバーワン、BNPLのナンバーワン同士が組むというのは様々な可能性が生まれると考えている。

 余談かもしれないが、当社の組織風土にもJCBからは興味を持っていただいたようだ。当社では自律・分散・協調を実現できるよう「ティール型組織」というフラットな組織作りに取り組んでいる。コロナ禍で抜本的な働き方改革が余儀なくされる中で、こうした取り組みを実践している内部を知りたい、というニーズもあったようだ。




JCB⇔NPの相互送客にも期待感


 ーー提携によって具体的にはどんな取り組みを行う予定か。

 執行役員・秋山瞬氏(以下、秋山):未確定な部分もあり現段階ではお話し出来ない部分も多いが、相互送客といった形で双方の加盟店獲得は手掛けていく予定だ。NP側の加盟店開拓という部分では、JCB側に担いでもらって開拓を行っていくことなどが考えられる。反対にJCBの法人カード利用促進をNP側で担っていくことも考えられる。また現場のオペレーション部分での連携もしていく。コスト面など効率化を目的とした連携しあうということもあり得る。

 ーー発表では「BtoB決済インフラとしてのさらなる成長実現」についても言及している。提携による期待感などはどうか。

 秋山:当社では、BtoB向け後払い決済「NP掛け払い」というサービスを展開している。加盟企業数(アカウント発行数)は約2300社、年間流通総額は590億円、累計取引件数780万件を超えている。BtoB決済インフラとしての更なる成長実現のため様々な取組みを続けている。JCB側もBtoB決済領域の強化がテーマとはなっていると聞いている。構想としては、BtoBのサプライヤー向けにはNPの掛け払いを、BtoBのバイヤー向けにはJCBの法人カードを、といった形で2社が提携することによってBtoB決済インフラとして強固な取り組みができるようになるのではないかと考えている。

台湾に続く新たな海外展開も視野


 ーー提携によって海外展開の裾野も広がるように感じる。そのあたりはどうとらえているか。

 柴田:当社ではすでに台湾向けの後払いブランド「AFTEE(アフティー)」を展開しており、順調に推移している。次なる国での展開も考えているところだ。JCBとの提携における海外展開については、まだスタートラインという状態ではある。海外市場の開拓を狙うなかで、JCBが提携先としてあることは非常に心強い。

 BNPLはもともと北欧を中心に広がり、日本でも普及した決済文化。今後の開拓先としては欧州全域、アジア・東南アジアなどは当社のみならずBNPLを提供する各社が狙いたいところではないか。当社も同じように考えてはいる。


 ーー近時の後払い利用傾向の変遷はどうか。

 秋山:当社で言えば全体的に引き続き好調に推移している。加盟店からは、コロナ禍の動向として「代引き決済が減っている印象がある」という声が聞こえてくるようになった。きちんと調査統計を行ったわけではないが、感染予防としてあらゆる場面で「非接触化」が進んでいると思うが、後払いを取り巻く環境にも変化が起きているのかな、と感じている。


後払いユーザー向けショップ誘導施策も


 ーー最後に今後の展望について聞きたい。

 柴田:先にも話したが今回の資本提携による調達資金は、マーケティングとITに投資していく予定だ。マーケティングについては、「加盟店を増やす施策」そして「決済を利用するユーザーを増やす施策」の2軸を行っていくつもりだ。

 後者については、例えば「atone」は先にも話したように100万人を超す会員網がある。このatone会員に向けて、atoneを導入しているショップの購買を誘導する取り組みを検討している。もちろん「NP後払い」も同様だ。決済ユーザー向けのインセンティブをつけた誘導施策なども考えている。調達資金によって、このインセンティブの原資を確保できる。

 秋山:ITへの投資という意味では、データとネットワークの活用をこれまで以上に強化するという展望がある。我々は、後払い特有のデータ、加盟店のネットワークといった特殊なデータとネットワークを持てている。JCBとの提携を通じて、さらにこのあたりも強化していきたい。

 柴田:これまで以上に、社会をよりよくするために価値提供していきたいとも考えている。NPの各種サービスは、いわば決済者の与信を底上げしてあげるような形。様々な人に金融サービスを提供する、という意味で大きな社会的意義を持っている。JCBとの提携も含め、より社会に貢献できる価値を提供できるよう邁進していきたい。










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