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通販通信ECMOニュース・記事コラムDX(デジタルトランスフォーメーション)の定義とは?「IT化」との違い

2021.07.20 コラム

DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義とは?「IT化」との違い

 近年ビジネスの場などでよく聞く「DX」。DXとはデジタルトランスフォーメーション(英語:Digital Transformation)の略語で、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念です。(2021年7月初出/2022年8月改稿)


DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義とは?「IT化」との違い

EC企業が目指すべきDXの方向性
EC企業が目指すべきDXの方向性
経済産業省が発表した電子商取引に関する市場調査によると消費者向け電子商取の市場規模は、19.4兆円、EC化率は6.76%に拡大しています。現在EC市場はDX推進がうまくいっている企業とそうでない企業の2極化が進んでいます。本ホワイトペーパーはDXはなぜ推進しなければならないかという点からEC企業が目指すDXについて説明します。...

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DXの定義

 DXという言葉が一般的に認識されるようになったのは、2004年にスウェーデン・ウメオ大学教授エリック・ストルーターマン氏が「ITの浸透によって人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」といった内容を提唱したことが始まりです。


 日本においては経済産業省が明確にDXの定義について言及しており、ガイドラインも公表されています。


参考:DX推進ガイドライン


 DXの定義を簡単に説明すると、単なるIT化やシステム化という手段のことを指すのではなく、ITによって生活を変化させていくという目的までを包括するといったものになります。ビジネスの場面においては、「企業がさまざまなデータやIT技術を活用し、デジタル社会の変化に柔軟に対応することで、企業やサービスの競合優位性を確立する」という意味合いで、ビジネスモデルや業務内容を変革する取り組みとして活用されることが多くなります。


 DXを聞き慣れていない人には難しく聞こえてしまうかもしれませんが、実際にIT技術の成長によって身近な部分にも変化があることが分かると思います。たとえば、支払いのキャッシュレス化やオンライン化、銀行に行かなくても口座が開設できるネットバンキングなどがイメージしやすいです。


 とはいえ、DXを促進するために単に最新の技術を取り入れるだけで良いわけではないので注意が必要です。主にビジネスモデルの変革を目的とするのが本質であるため、費用をかけて最新の技術を導入しただけでは、無駄な投資となってしまう可能性もあります。企業にとってDXがなぜ必要なのかを明確にしたうえで、取り組みを行うようにしましょう。 

「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」との違いは?

「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」との違いは?


 DX(デジタルトランスフォーメーション)に、似た言葉として「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」という言葉があります。DXを達成するためのステップを3段階に分類したものです。


 ここでは、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」と「DX」の違いについても理解しておきましょう。

◇デジタイゼーションとは何か?

 デジタイゼーション(Digitization)は、「アナログ・物理データのデジタルデータ化」と定義されています(経済産業省の「DXレポート2」より)。

デジタルツールを導入することで、今までアナログだったものをデジタル化・電子データ化していくことです。


【具体例】

  • ・書類への押印をなくし、電子押印を導入
  • ・顧客情報を紙から、SFAに移行
  • ・対面商談から、オンライン商談に移行

◇デジタライゼーションとは何か?

 デジタライゼーション(Digitalization)は、「個別の業務・製造プロセスのデジタル化」と定義されています(経済産業省の「DXレポート2」より)。


 デジタル化を行うことで、実際の作業が自動化されたり簡略化されたり、製造プロセスが簡略化され、より生産性への寄与が高くなります。


【具体例】

  • ・顧客の状況をスコアリングし、自動でメールを送信
  • ・RPAツールの導入により、日々のレポート業務が自動化
  • ・残業時間が超過しそうなメンバーに自動でレコメンド

なぜDXが必要なのか?

なぜDXが必要なのか?

Googleトレンド「デジタルトランスフォーメーション」


 Googleトレンドの傾向をみても分かる通り、2019年頃から急激にDXについての言及が増えてきました。では、なぜこのDXがここ数年で急激に言及されるようになったのでしょうか?

◇2025年の崖による12兆円の損失

2025年の崖による12兆円の損失


出典:DXレポート(経済産業省)


 2025年の崖とは2018年9月に経産省が発表した、DXレポートの中で登場しました。


 現在も古いシステムの移行がうまく行かず、様々なトラブルが発生していることはご存知の方も多いのではないでしょうか。


 その多くは、複雑で老朽化しており、しかも担当者でも中がどうなっているかわからないといった、根本的な問題を数多く抱えています。


 しかもそういったレガシーなシステムを保守できる人材が、この2025年頃に引退をしてしまい、いよいよこのシステムが、負の遺産になっていくタイミングが来ると予想されているのです。


 経産省によると、その影響は、2025年から2030年にかけて最大で12兆円の経済損失を生み出すとされています。

◇不足し続けるデジタル人材

不足し続けるデジタル人材


出典:IT 人材需給に関する調査(経済産業省)


 2025年の崖が迫りIT人材のニーズが高まるにも関わらず、その需要に対して、供給が足りない状態が起こってくることも予想されています。


 解決しなくては行けない問題は山積みなのにも関わらず、その問題解決をしてくれるための人材が不足しており、そのギャップは年数を負うごとに広がっていくことが予測されています。


 こういった状況が日本の競争力の阻害要因となるという危機感から、企業がDXに取り組まなくてはいけないという空気感がうまれました。

どれくらいの企業がDXに取り組んでいるのか?

どれくらいの企業がDXに取り組んでいるのか?

出典:電通デジタル「日本企業のDXはコロナ禍で加速するも推進の障壁はDX人材の育成」


 電通デジタルが発表したデータによると、何らかの形で、DXにとりくんでいる企業は、2020年段階で74%となっています。しかし、完了済みの企業は10%以下での推移が続いており、しかも新たな技術が加速度的に登場している背景を考えると、継続的に取り組んでいく必要性が浮き彫りになっているとも言えます。


企業がDXを推進するための考え方

 DXは顧客体験やサービスをデジタル化し、新しい価値を創造しビジネスモデルを転換することが最終目標です。そのためにDXを達成した最終的なイメージから、逆算し必要な「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」のイメージを持つことができれば、より効率的で効果的なDXが実現可能です。


▽DXとIT化との違いは

 IT化はデジタルツールを導入するなどの、企業の業務や、顧客体験をデジタル化することそのものを指し、DXを達成するための「手段」にすぎません。


▽手段と目的を混同しない

 たとえば、DXというと、「営業支援システム」「会計システム」「労務管理システム」などを導入し、業務の効率化を図るイメージがあります。


 しかしこれだけでは、本来目指すべき新しい価値を創造しビジネスモデルを転換することはできません。


 これらのデジタルツールやサービスを導入することで、従業員の業務負荷を削減し、本来割くべき業務の時間を生み出し、新しい価値を生み出す体制を作ることが大事です。


DX

 

 このように、目的から逆算し戦略をたてることで、「経営戦略」がクリアになり、従業員のワークライフバランスの改善など、会社全体が好循環を生み出すようになります。


 DX促進を一つの雛形として確立し、社内の共通認識を作り上げることが、DXを会社一眼となって推進していくための指針になるのではないでしょうか。

企業や政府のDX事例

 DXを推進して成功した事例は国内外に多数あります。そのなかには古くから多くの商品やサービスを世に送り出してきた有名企業の事例も多いです。そういった企業は古い固定概念に縛られるだけではなく、どうしたら従業員や顧客の負担を減らし、デジタルを通じた新しい顧客体験を提供できるかを考え実行し、中長期的に利益をあげています。


 各企業がDXを推進していますが、今回は小売業やメーカーが取り組んでいるDX事例についても紹介します。

▽小売業のDX事例

▽小売業のDX事例


 小売業やメーカーにとっては、従来店頭や卸のみで販売を行っていた企業がEC(通販サイト)を通じて商品を販売することも、一種のDXといえます。


 オンラインでの商品購入が主流となってきており、ECに参入する企業が増えていることでしょう。単に販売機化の増加やアプローチできるユーザーが広がるなどのメリットだけでなく、ECサイトで商品を販売することによって顧客の購買・行動データが蓄積されることで、データを活用した仮説検証が可能になります。また経営戦略の精度を高め、データドリブンな意思決定の体制を構築することができます。


 また、オンラインとオフラインのデータを結合して、あらたな顧客体験を創造するためのO2Oの施策も可能になります。


 ECサイトの立ち上げのハードルは低くなっています。最近ではインターネットやホームページ作成が得意ではない人でも、簡単に自社のECサイトを持つことができるような、専用ツールやECサイト制作を代行してくれるサービスも増えてきました。DX推進という言葉が流行する以前に、IT技術を活用する機会が増えてきている状況でもあります。そのため小売業やメーカーにおいても、DX推進をしやすい環境となり、実際に売り上げ増加などの成果を上げている企業も多数あります。


 「メルカリ」では、かつてはパソコン経由での利用が主流だったネットオークション型サービス(CtoC)を、スマホアプリで完結できるようなシステムにしたことで、利用者が大幅に増え、売上も増加しています。加えて配送方法や支払い方法にも、ユーザーの手間を最低限に抑えるような機能を導入し、常にデジタル化における新しい顧客体験を構築し、DX推進の良いお手本であるといえます。


▽B2B企業のDX事例

▽B2B企業のDX事例


 新型コロナウイルスの影響による、テレワークの浸透で、「企業内の押印の電子化やペーパーレス化」は加速度的に進みました。


 これも広義の意味では、DXと呼べるでしょう。しかし、こういったデジタルツールの導入は手段であり、目的ではありません。それが事業戦略の中でどのような目的を果たすかを明確にする必要があります。


 例えばB2B企業の場合、営業部隊の属人的なノウハウが事業を支えている場合もありますが、それらがきちんと各メンバーに共有されず、ブラックボックスになっていることは、経営上のリスクだと言えます。


 こういったレガシーな体制で、社内のリテラシーが低いような場合、電子押印のようなデジタルツールの導入をひとつとってみても、導入ハードルが高いです。


 まずは、そういったツールが導入されることで、いかに現場のメンバーが楽になるかなど、目的を明確にし、ツールを導入して終わるだけでなく、全員が使いこなすように、プロジェクトリーダーが強い推進力で引っ張っていくことが大事です。


 そうして、デジタルツールなどを当たり前に使いこなすようになってから、徐々に上の図のような目的を一つづつ達成していくことで、会社全体の生産性や顧客体験を向上していくことが可能になります。


 ちなみに電子押印やペーパーレス化の先にある電子契約はコスト・経費削減にも繋げられます。というのも、収入印紙代を浮かせることができるためです。電子媒体では収入印紙を貼り付ける場所がないため不要とされています。


▽政府の取り組み事例

 経済産業省では、省内のDXについて「文書や手続きを単に電子化するだけではなく、ITを徹底的に活用することで、手続きを簡単かつ便利にし、蓄積されたデータを政策立案に役立て、国民と行政、双方の生産性を抜本的に向上することを目指します。」としています。


参考:経産省のDXの取り組み


DXについてまとめ

 DXの意味や活用事例について解説しました。企業が競合優位性を高めて、業界で生き残っていくためにはDX推進が非常に大切と考えられることが分かりました。


 しかも、IT人材は不足していくにも関わらず、継続的な取り組みが重要でもあります。新たな顧客体験価値を創造するためには何が必要かを考え、手段が目的化しないよう、計画的にDXを行っていく必要があります。


 多くの成功事例から学ぶことで、組織を少しづつでも改善していき、大きなビジネスモデルの変化へと導いていく企業が増えていくことを望みます。


◇お役立ち資料:企業が目指すべきDXの方向性

 「通販通信ECMO」では、DX関連のお役立ち資料を掲載しています。DXの方向性について明確にしたいという方は、ぜひ資料をご活用ください。社内提案にも活用いただけるかと思います。


【EC担当者必見】顧客中心のDXに成功した事例とは?

EC企業が目指すべきDXの方向性
EC企業が目指すべきDXの方向性
経済産業省が発表した電子商取引に関する市場調査によると消費者向け電子商取の市場規模は、19.4兆円、EC化率は6.76%に拡大しています。現在EC市場はDX推進がうまくいっている企業とそうでない企業の2極化が進んでいます。本ホワイトペーパーはDXはなぜ推進しなければならないかという点からEC企業が目指すDXについて説明します。...

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DXに関する記事

 DXに関する関連記事を以下リンクにてまとめています。本記事以外からもDXについての情報を収集したいという方は、ぜひこちらからご確認ください。


記事監修者 達川幸弘

監修者プロフィール:達川幸弘
BtoC向け大規模ECサイトを運営するベンチャーでマザーズ上場を経験。マーケティング部のリーダーとして、オウンドメディアの立ち上げを行い1年半で毎月数百万PV、毎月2000万円の売上を生み出すメディアに成長させる。その後、自社コスメの販売を行う企業のマーケティング責任者に就任しブランドマネジメントやO2Oの施策を実施。その後同社のCMOに就任。また、BtoBのSaaSベンチャーでマーケティング責任者・コンサルティングファームでの外資系企業のコンテンツ制作のアドバイザーを行うなど、BtoC・BtoC・オンライン・オフラインの幅広い現場の知見を持つ。


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