(公財)日本デザイン振興会は20日、主催する「グッドデザイン賞」の2021年度受賞結果を発表した。EC・通販や物流関連企業も多く、業態ごとに社会課題に向き合った「ユーザー体験の設計」や「仕組みづくり」「サービスデザイン」などへの評価が特徴的だった。今年度は過去最多となった5835件の中から、同じく過去最多の1608件の受賞が決まった。
ヤフーは「Xショッピング構想」・ECの「高負荷時のユーザー体験設計」が受賞
振興会によると、受賞対象は独自性、提案性、審美性、完成度などの面で特に優れた対象であり、この中から「グッドデザイン・ベスト100」を選出。さらにその中から選んだ特別賞「グッドデザイン金賞」20件、「グッドフォーカス賞」12件を決めた。「グッドデザイン金賞」から再選出した5件を対象に11月2日、今年度を代表する「グッドデザイン大賞」1件を決める。
ヤフー(株)のネットサービス、Yahoo!ショッピングとPayPayモールの運営から、2件の取り組みが「グッドデザイン賞」を受賞した。1つは「Xショッピング構想 (PayPayモール実店舗在庫連携)」。実店舗にある商品の在庫と連携し、直接購入できるサービスだ。小売業者と消費者とをつなぎ、ECと実店舗の小売業の共存共栄をめざしており、「プラットフォーマーだからこそできる、複数ステイクホルダーとの価値共創の形」との評価を受けた。
もう1つは「Yahoo! JAPANのeコマースにおける高負荷時のユーザー体験設計」。キャンペーン期間中などのサーバー負荷が増加した場合でも、商品の購入を阻害しないための施策。システム改善だけに頼らないユーザーコミュニケーションも重視した解決方法を実現した。「縁の下を支えるUXデザインとして改めて評価に値する」とされた。
ZOZOは2月に移転した西千葉の本社屋が受賞
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する(株)ZOZOは、2月に移転した新拠点、西千葉の本社屋が受賞対象となった。地域との交流や地域活性化を内包したオフィス計画に、新しい形の地域貢献型の働き方の可能性を見るとともに、建築とインテリアが一体となり、企業哲学を示す空間として具現化されている点などが総合的な評価となった。
※ZOZOの新社屋
ヤマトホールディングス(株)は、4月から使用を開始した「クロネコマーク」と「アドバンスマーク」。時代のニーズに合わせて簡略化したクロネコヤマトのリブランディングだ。「歴史あるブランドが印象を変えずに現代化した好例」とされ、「物流業界がさらに注目されている中、質高くアップグレードすることは意義のあること」とする期待の声があった。
※クロネコヤマトの新ロゴ
サステナブルの取り組みや物流関連サービスも受賞
そのほか、9年連続の受賞となった(株)ニトリは、再資源化を見据えた「ポケットコイルマットレス」や、「回収ペットボトルからカーペット製造販売を通じたリサイクルシステム」など、6項目が受賞。企画・開発・実現への取り組みが評価された。
ソフトバンク(株)のグループ会社であるMagicalMove(株)は、AIを活用した宅配サービス「Scatch!(スキャッチ)」が受賞。早朝から夜間まで対応する仕組みの実現が評価された。また、ラクスル(株)が運営する物流プラットフォーム「ハコベルコネクト」が、物流業界の構造的課題にアプローチした物流DXとして、「これからの社会課題に向き合った優れたサービスデザイン」との評価を受けた。
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