2021.12.10 通販支援
D2Cで噂の"BX"とは?仕掛け人wevnalに聞くCVR3.66倍の舞台裏
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D2C界隈で「BX」という概念が注目を浴びている。「BX」とはBrand Experience(ブランドエクスペリエンス)の略で「ブランド体験」を示すもの。「BULK HOMME」や「フロムココロ」といった有力D2Cブランドの支援を手掛ける(株)wevnalが提唱する概念だ。同社ではCVR3.66倍をも実現するBXプラットフォーム「BOTCHAN(ボッチャン)」を提供しており、数々のBX向上を実現してきた。BXの真髄や、「BOTCHAN」の底力についてwevnalの磯山博文社長に話を聞いた。
「BX=ブランド体験」改善が急務!
ーー御社が提示する”BX”についてお聞かせください。
磯山博文社長(以下、磯山):当社は、もともと広告代理業から立ち上がった会社です。広告代理業を手掛けている中で、広告主は重要な指標としてLTVを追っているのに対し、代理店はCPAや広告費の総額を注視しているというような分断された構造となってしまっていることに課題を感じていました。
そんな中で、広告主の求めるものにより寄り添うべくチャットフォームサービス「BOTCHAN Payment」「BOTCHAN EFO」を18年にローンチしました。
これがもととなりBXプラットフォーム「BOTCHAN」を形成していきました。この2つのサービスは個人情報などを入力いただくWEBフォームをチャット化(=チャットフォーム)しユーザーがCVしやすくなるよう助けるものです。いわばCVポイントの最適化を行うもので、前者は決済とも連動し、チャット上で商品購入の完了までをサポートするもの。後者はWEB上のあらゆる「フォーム」での離脱低減をかなえるものです。当社は広告代理業も行っていますから、広告で集客したユーザーをCVするまで見ていくという広告主の売り上げアップに伴走できる体制を構築しました。
「BOTCHAN Payment」「BOTCHAN EFO」はともに多くのブランドに導入いただけ、CVR改善を実現してきました。導入ブランドは平均でCVR1.5倍となっており、最大ではCVR3.66倍という驚異的な数値も叩き出しています。これだけ改善できるのは、裏を返せば多くのユーザーがサイトの機能面でのブランド体験が心地よくないがためにこぼれてしまっているからとも言えると思います。
こうした経緯から集客やCVといったポイント改善だけではなく、ユーザーが接する「ブランド体験」そのものを全体的に改善・最適化していくという考え方が重要だと気付きました。そこで当社のサービスをBXプラットフォーム「BOTCHAN」と再定義し今年11月にリブランディングを行いました。獲得重視のマーケティング支援から、ロイヤリティ向上などのLTV重視型マーケティング支援へと方向性を明確にしました。会社としていうと代理業から事業会社側へ大きく変革を図ることへ舵を切ったということです。今年9月には約6億円の資金調達を行い、調達資金は開発などに充てています。
これまで「BOTCHAN Payment」「BOTCHAN EFO」は独立したサービスとして動いていましたが、プラットフォーム「BOTCHAN」のひとつのソリューションという位置付け再配置しました。そしてマーケティングファネルにおける課題ごとにサービスを拡充していきます(下図参照)。当社はこれまでブランドにとっての入り口(=集客・CV)の部分を中心に支援を行ってきました。リブランディングした「BOTCHAN」ではブランド体験における集客~理解~購入~継続~解約の改善と、入り口から出口まで一貫して支援していくプラットフォームとなります。11月には出口の部分を支援する継続促進支援「BOTCHAN Keeper」というサービスもローンチさせました。
「BULK HOMME」など有力D2C続々導入
ーー「BOTCHAN」はすでに、「BULK HOMME」など多くのD2Cブランドから支持を受けていると聞きます。
磯山:はい。ありがたいことに男性化粧品の「BULK HOMME」さんのような有力ブランドから支持していただけています。われわれは「BOTCHAN」を通じてブランドの売り上げに伴走できる体制を構築しており、広告主と同じ目線で指標に対してコミットする組織です。こうした部分を持っていることもより信頼していただけるポイントとなっていると思います。
ーーブランドが「BOTCHAN」を導入するのはどういう背景からなのでしょうか。
磯山:「BOTCHAN」を導入いただく背景としては、多くの場合は「CVR改善」の課題を感じて導入というケースが多いですね。ECにおける「カゴ落ち」は7割を超えると言われていますから、やはりブランド側としても悩みどころです。ですので、具体的には「BOTCHAN Payment」の導入検討からご相談が始まることが多いです。EC・通販の市場を取り巻く環境は激変しており、ブランドは集客施策の頭打ちや、既存のやり方に限界を感じていらっしゃることも多いと思います。最近は特に特商法や薬機法の改正、景表法の執行強化といった状況もあり新規獲得への課題は顕著になっていると感じています。そこで、集客の先にあるCVRの改善を図るべくお問い合わせいただくことが増えています。チャットフォームというサービスは当社独自のものではありませんので、もちろん比較検討はされますが当社を選んでいただくブランドは増えています。
ーー導入決定へ至るポイントは?
磯山:やはり、みなさんが意思決定プロセスで重要視されるのは「本当に効果が上がるのか」「費用対効果は合うのか」です。その中でBOTCHANが選んでいただける理由としては「平均でCVR1.5倍/最大3.66倍」という実績と、「業界最安値水準の成果報酬体系」という部分が大きいようです。また「カスタマーサクセスの手厚いサポート」も導入決定の重要なポイントだったとおっしゃっていただくことも増えています。どんなツールでも導入したらそれだけでサクセスするということはありません。しっかりした初期設定と、運用をしていく上でPDCAを高速で回していく必要があります。チャットフォームでいうと、シナリオの部分ですね。CVRの改善にはユーザー動向を見ながら常にシナリオの改善が必要となります。当社のカスタマーサクセスは、そのあたりを手厚くサポートしています。企業によっては毎日のように担当者と密にコミュニケーションをとり、CVRの大幅改善を実現したケースも1つや2つじゃありません。
ーー「BOTCHAN Payment」の具体的な成功ケースも教えてください。
磯山:オーラルケア商品などを取り扱う「フロムココロ」さんでは、CVR1.5倍、アップセル率5%向上という成功事例が出ています。
まず改めて説明すると「BOTCHAN Payment」は、チャットフォームに決済機能が合わさったサービスです。「チャット形式のUI」「詳細なデータ解析」「低コストですぐに実装」の3つのポイントから、エントリーフォームの最適化を図り、CVRの向上に貢献しています。
チャット型というUIによる一問一答形式のコミュニケーションがユーザーの入力ストレスを軽減して、CVRを最大化させます。もちろんクレジットカード決済機能もそなえていますし、チャットの中でアップセル・クロスセルにも取り組めますので導入ブランドにとってのLTVの最大化を実現します。実装はタグを1行埋め込むだけですので、ECカートに依存せず対応することが可能です。導入ブランドにお渡しする管理画面もレポート機能が充実しています。また、さきほどもお伝えしたようにカスタマーサクセスチームが手厚く支援します。社内では「BOB(=BEST PRACTICE OF BOTCHAN)」といい成功パターンのシナリオをまとめています。こちらもより良いカスタマーサクセスに貢献するため活用しています。
◆事例:【フロムココロ】CVRが1.5倍!アップセル率5%向上
導入ツール:「BOTCHAN Payment」
導入社:株式会社フロムココロ
商材:daily1(デイリーワン)
フロムココロさまはCVRに課題をお持ちでした。LPOなどを行い、常にCVR改善に取り組んでいました。ただ、関連法規の規制強化の波もありLPで改善できるポイントも限界があり、別の部分によるCVR改善を検討されていました。「カゴ落ち」も含めたシステム自体の改善は検討議題としてあがるものの、カートシステムの柔軟性などがコストや工数に影響するためなかなかなか実現ができなかった。そこでチャットフォームの導入の検討がスタートしました。
「BOTCHAN Payment」以外のものも含め複数のチャットフォームを検討いただき、料金体系から費用対効果が合わせられるとの判断してもらい導入を決めていただきました。
導入の結果、CVRが導入前の1.5倍となりました。実現の舞台裏には専任のカスタマーサクセスとの密な連携がありました。導入初期は毎日のように電話でやりとりを行い、管理画面を見ながら設問の順番を変えてみるなど施策のPDCAを回していきました。
「BOTCHAN Payment」はアップセル率向上にも貢献しています。チャットによるアップセル提案を実装、テストを繰り返した結果、チャットフォーム経由のユーザーはアップセル率が5%高い数値となっています。CVRだけでなくLTV向上にも大きく貢献できています。
解約ユーザーに寄り添ってLTV向上
ーー11月にリリースされたばかりの「BOTCHAN Keeper」についても教えてください。
磯山:まずユーザーにとっての「解約・継続」まわりの環境について説明させてください。定期通販などサブスクリプションサービスの快適なUI/UXとしてわかりやすい解約導線を用意してほしい、というニーズがユーザー側から顕在化しつつある状況があります。
一方で解約の方法が「分かりづらくなってしまう」「案内不備」「対応が遅れてしまう」など、ユーザー側が結果的に不利となってしまうUI/UXは「ダークパターン」と呼ばれており、業界課題として顕在化してしまっています。
「ダークパターン」は特に海外では社会問題としての認識が高まっています。今年3月には、米・カリフォルニア州で個人情報保護の観点から「ダークパターン」を禁じる条項が加えられました。また、日本国内においても近年は「詐欺的な定期購入」が問題視されています。国内でも、これを規制する改正法が来年から施行される予定です。こうした「ダークパターン」はユーザーにとっては不都合な体験であり、ブランド毀損のリスクを孕んでいるものです。これは我々が提唱する「BX向上」と真逆に位置すると言えます。
「ダークパターン」以外にも、コールセンターなどのコストそのものや、土日祝など休日の安定稼働の課題などユーザーにとっての出口にあたる部分の対応課題は多くあります。
そこで当社はユーザーにとって不利益な「ダークパターン」とならず、コールセンターの課題も解決しつつ、解約を希望するユーザーの「継続支援」を、チャットフォームによるインタラクティブな体験提供によって実現することとしました。それが「BOTCHAN Keeper」です。具体的には、チャットを通じて解約を希望するユーザーとコミュニケーションを図り、理由や本音を引き出し解決策を提示することで継続を支援します。これまでの実績では平均継続転換率36.6%(※取材時点の数値)という成果を出しています。継続転換率とは、チャット内コミュニケーションで解約を希望したユーザーのうち、継続を意思決定したユーザーの割合です。
脱・人力でオペレーション大幅改善
ーーすでに具体的な成功事例も出てきていると聞きます。
磯山:「BULK HOMME」さんに導入頂き、使い続けていただいております。もともとは解約希望ユーザーの対応をコールセンターを活用した人力のコミュニケーションをとっておられました。ただ、近年はコロナ対策などもありコールセンターの稼働状況の安定感に課題をお持ちだったようです。そこで「BOTCHAN Keeper」を導入頂くことによって、人力のコミュニケーションからチャットによる対応自動化を図り、オペレーション改善を実現いたしました。
そのほかにも多数のブランドに導入頂いていますが、解約を希望される方の本音は「商品を使い切らないうちに次の商品が届いてしまう」などといったことが課題となっていることが多いようです。ですので、「BOTCHAN Keeper」では、お届け間隔の調整提案だったり、アップセルならぬ「ダウンセル」の提案などを通じて継続転換率の向上を図っていきます。
◆事例:【BULK HOMME】チャットでも十分な継続促進を実現
導入ツール:継続促進「BOTCHAN Keeper」
導入社:株式会社バルクオム
商材:BULK HOMME
「BULK HOMME」さまでは元々、 電話および一部LINE公式アカウントで解約手続きを受け付けていました。導入検討当時は、コロナ禍で緊急事態宣言の発令などに伴いコールセンターの稼働状況が不安定に。加えて、毎年ユーザーからの問合せが集中する、大型連休を間近に控えていたため、 ユーザー対応状況の改善が急務でした。また、以前よりネックとなっていた、コールセンターの受付時間についても「BOTCHAN Keeper」の導入により24時間365日ユーザーの好きな時間にお問い合せや解約が可能となるため、 ユーザーの利便性を優先し導入に至りました。
解約を希望するユーザーの中には、未成年ユーザーの注文など、どうしても有人対応が必要な場合など様々なケースが想定されました。そのため、従前は個々のユーザーのさまざまなご注文状況に応じて個別に対応をするため、ユーザーをお待たせしてしまう事もありました。「BOTCHAN Keeper」であれば、柔軟性を兼ね備えたRPAの実装により状況判断の自動化とユーザーに合わせたコミュニケーションが実現できるところを評価いただき、導入の決め手となりました。
導入したところ、 チャット内コミュニケーションによる継続促進が十分に実現できました。人力によるところが多かったオペレーションも自動化により大幅に改善となりました。導入後の改善サイクルの早さや、サポート体制が良かったことにより現在まで継続的に利用して頂けている。
部門を超えたノウハウを体系化
ーー改善にコミットできる秘訣について聞かせてください。
磯山:部門を超えてノウハウを体系化してきたからこそできる手厚いカスタマーサポートで改善数値を支えています。多くのブランドの集客に携わってきたからこそ、取り巻く課題を良く把握しています。より早い、効果的な施策のPDCAが最重要と考え、広告理解の高いメンバーでCS体制を化し、同時にプロダクトアップデートを行なっています。
ーー部門を超えたノウハウ体系化とは?
磯山:当社の組織の強みとして、広告チームとカスタマーサポートチームといった部門超えたフィードバック体制があります。500社を超えるクライアントのデータに基づくクリエイティブノウハウとシナリオノウハウがあります。さきほどお話しした「BOB」もこの一つですね。顧客や業界課題に沿ったプロダクトアップデートをしており、開発背景からくる広告主と同じ目線で改善にコミットできる組織を構築しています。
「ブランド体験が、価値。」
ーー今後の展開はいかがでしょうか。
磯山:BXプラットフォームとしての「BOTCHAN」は途上段階です。まずは、完成形の構築を目指していきます。 ブランド体験の向上を通じてLTV最大化の実現をしていきます。ユーザーにとって全てのマーケティングファネルで、高い魅力度と心地よい体験を、最適な頻度と時間で提供し、感じ方の一貫性をもたらせるプロダクトを拡充していきます。BOTCHANのサイトにも掲げているように「ブランド体験が、価値。」をより体現し提供できるよう取り組んでいきます。
ここまでにお話ししたように、現時点ではCVR改善と継続転換率改善に注力をしています。今後はマーケティングファネルにおけるリレーションクロージング領域においてアップセル・クロスセルなどを行いLTVを最大化する「BOTCHAN Relation」を準備中です。
大きな目標としては「BOTCHAN」を通じて「BX」という一大市場を築いていきたいと考えています。ブランド体験とはいわば、世界中から注目を受ける日本に根付いた「おもてなし文化」そのもの。「BOTCHAN」を通じてあらゆるエンドユーザーが心地よいブランド体験ができるよう邁進していきます。
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