「顔周辺の空気をクリーンに保つ」などと表示

　2社は小型空気清浄機「ピュアサプライ」を販売。大作商事は自社ウェブサイト「DAISAKU DIRECT SHOP」で、「顔周辺の浮遊微粒子を除去することができる携帯型のパーソナル空気清浄機」「首に掛けるだけで電車、飛行機の中、オフィスや飲食店、病院の待合室などの人込みの中にいても顔周辺の空気をクリーンに保つことができます」などとうたっていた。

　イトーヨーカ堂は自社ウェブサイト「イトーヨーカ堂 ネット通販」で、「本体から発生させる大量のマイナスイオンが浮遊する微粒物質に吸着し、断続的に発生するマイナスイオンがそれらを弾き飛ばし顔の周りの微細な物質を除去します」などと表示していた。


　※広告事例（消費者庁の発表資料より）

消費者庁「マイナスイオンによるウイルス除去が確立された試験方法はない」

　2社は、同製品から発生するマイナスイオンの作用により、顔周辺のウイルスやPM2.5などを除去する効果を宣伝していた。しかし、2社から提出された資料は、表示を裏づける合理的な根拠と認められなかった。

　消費者庁の担当官は、「0.2立方メートルほどの狭い空間で、インフルエンザウイルスの除去を確認したというデータが提出された。しかし、マイナスイオンによるウイルス除去の確立された試験方法は存在しない。さらに、『病院の待合室など』という表示と関連性がない」（表示対策課）と話している。

　消費者庁は2社に対し、表示が景表法に違反する旨の一般消費者への周知や、再発防止策の構築などを命じた。

大作商事は争う構え

　取材に対し、イトーヨーカ堂は「今回の措置命令を真摯に受け止め、命令の内容に応じた必要な再発防止策を取る」（広報センター）とコメント。同社では、消費者庁の調査が始まった昨年8月20日以降、同製品のネット通販を中止しているという。

　一方、大作商事はホームページ上で、「今回の措置命令は誠に遺憾であり、今後の対応については法的措置を取ることも念頭に慎重に検討」する考えを表明した。

　取材で同社の関係者は「2007年に同様の広告について公正取引委員会の調査が入った。今回とほぼ同種の資料を提出したところ、広告・表示は妥当と判断された。なぜ、今回は違反なのか」と話し、消費者庁に説明を求めるとしている。