(株)富士キメラ総研がこのほど発表した『デジタルトランスフォーメーション(DX)の国内市場(投資金額)調査』によると、2030年度の市場は、20年度の1兆3821億円の3.8倍となる5兆1957億円を見込んだ。交通/運輸、金融、製造などがけん引し、拡大するとしている。
3年以内のDX導入予算は「増額」が98%
調査期間は21年9月~22年1月。ユーザーアンケート(624人)によると、勤務先のDXの導入済みユーザーは34.0%(前回の20年10月は19.5%)、実証段階を含む3年以内の導入計画があるのは40.8%(同29.9%)となり、いずれも前回結果を大きく上回っていた。また、21年度のDX導入予算の増減傾向(407人)は、98.0%のユーザーが増額、もしくは増額や同額の予算である見通しで、引き続き高い水準が維持されるとみられる。
ニューノーマル時代のビジネス変革として急速に広がり、注目されるDX。企業の重要な課題として位置付けが高まっており、企業価値の向上につながる取り組みとして投資が行われている。現在は、コロナ禍の影響からリモート化や自動化など、オペレーション改善を目的とする投資やWEB・スマホを軸とする顧客接点改革への投資が積極的に進められている。
マイクロサービスアーキテクチュア採用システムの実装も本格化
変化への迅速、柔軟な対応を目的に、システムの内製化やマイクロサービスアーキテクチャを採用したシステムの実装も本格化しており、30年度には5兆1957億円が予測される。
「製造」は、20年度が1620億円、30年度は5450億円を見込み、3.4倍。生産ラインやシステムの制御・運用技術環境の可視化やリモート化、サプライチェーンの可視化、分析など事業継続に向けた投資が加速している。さらにカーボンニュートラル化に向けたグリーンデジタルへの投資も拡大していくとみられる。
「流通/小売」「金融」のDX市場はそれぞれ5.6倍に
「流通/小売」は441億円→2455億円で5.6倍。スーパーなど小売店舗の現場担当者の経験知がシステム化され、需要予測・発注業務が自動化されるほか、OMOが進展し、実店舗とECの顧客購買データと行動データを活用したRaaSビジネスが普及するとみられる。
「金融」は1887億円→2455億円で5.6倍。次世代の金融基盤構築に向けたAPI活用が進み、他サービスとの相互連携などによるシームレスな社会の実現をめざし、業務プロセス全体の効率化に向けた投資の拡大が進むとみられる。非対面需要に伴う店舗の無人化、省人化に向けた投資拡大が予想される。
「営業・マーケティング」は2.9倍に
「交通/運輸」は2780億円→1兆2740億円で4.6倍。危険運転や交通事故の防止、安全な輸送サービスの実現に向けた投資、交通情報のビッグデータを活用した事業最適化に向けた投資、故障の予兆検知やメンテナンス時期最適化実現に向けた投資が中心となる。
「営業・マーケティング」は1564億円→4500億円で2.9倍。業務効率化や売上拡大が期待され、投資が進んでいる。オンライン商談ツールによる場所を問わない営業やデジタルマーケティング基盤の整理による活動の効率化でコスト削減も可能となり、投資が活発化している。
その他、「不動産」(4.4倍)、「自治体」(12.0倍)、「社会インフラ/建設」(4,2倍)、「カスタマーサービス」(195.6倍)、「戦略/基盤」(3.0倍)など、いずれも投資拡大が見込まれている。
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