2022.07.02 コラム
STP分析とは?分析方法や注意点を解説し事例を紹介
マーケティングの専門家であるフィリップ・コトラーが提唱したSTP分析について、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングという観点から自社の競争力を高めます。そのメリットと実践法を紹介します。
STP分析とは?
STP分析とは、マーケティング論で有名なフィリップ・コトラー氏が提唱したフレームワークのことです。STPとは、セグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(狙う市場の決定)、ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)のそれぞれの頭文字を取ったものです。STP分析には、業種や商材などを問わず活用できるという強みがあります。
STP分析の各項目の分析方法
では、STP分析の各項目の分析方法について詳しく見ていきましょう。
S:セグメンテーション
セグメンテーションとは、「市場細分化」という意味で、市場を顧客の属性やニーズなどの共通項によって細分化することです。なぜセグメンテーションが必要なのかというと、商品やサービスを提供するターゲットが明確になっていないと、誰にも刺さらないものになってしまうためです。
売れる商品やサービスを展開するには、誰がどのような悩みを抱えているという具体的なペルソナを設定する必要があります。
セグメンテーションの指標となるのは、性別や年齢、地域などです。他に用いられる主な指標としては、「6R」があります。
6Rとは、下記の指標を指します。
Realistic scale(有効な規模)
Rank(優先順位)
Rate of growth(成長率)
Rival(競合)
Reach(到達可能性)
Response(測定可能性)
T:ターゲティング
ターゲティングとは、セグメンテーションをおこなった市場の中から、ターゲットとする市場を選ぶことです。自社の商品やサービスの強みが活かされるような市場を選ぶことが合理的な判断となります。ターゲティングでは、次の3種類の手法が用いられることが多いです。
・集中型マーケティング:ターゲットとする市場を絞り込む手法
・差別型マーケティング:複数の市場に対して、それぞれのニーズに合致した商品やサービスを提供する手法
・無差別型マーケティング:さまざまな市場に対して同じ製品を提供する手法"
P:ポジショニング
ポジショニングとは、ターゲティングで選択した市場の中での立ち位置を決定することです。ポジショニングをするためには、市場内の競合他社との比較が重要です。もし競合他社に勝つことが難しそうな場合は、再びターゲティングをし直すこともあります。
自社と競合他社を比較する際には、商品やサービスの値段や品質、販売チャネルなどを基準にします。多くの指標がありますが、あまり多くのものを同時に使わないことを推奨します。データが複雑になりすぎてしまい、本当に必要なデータが見えにくくなってしまうためです。
STP分析の3つの目的
STP分析の目的は、次の3つです。
・顧客やニーズの分布を整理する
・自社のプロモーション戦略を明確にする
・他社との競合を避ける
では、それぞれについて解説します。
1.顧客やニーズの分布を整理する
商品やサービスを提供する際には、ターゲットのペルソナを設定することが必須です。そのためには、顧客やニーズの分布を整理する必要があります。この作業はSTP分析のうち、主にセグメンテーションの段階でおこなわれます。
顧客の性質の把握だけではなく、どのような顧客がどの市場にどれほど存在するのかを把握することによって、売上を最大化できるようなペルソナの設定が可能です。"
2.自社プロモーション戦略を明確に
STP分析をおこない、ペルソナを具体的にすることで、ユーザーに対してどのように商品・サービスをアピールしていくのかというプロモーション戦略が明確になります。
またプロモーション戦略が明確になることで、組織のメンバー間で共通認識を持ちやすくなり、短期間で効率良く認知を広げていけます。そして、自社製品の強みに対する認識も組織のメンバー間で共有されるため、組織力の強化も可能です。
3.他社との競合を避ける
商品やサービスがどれだけ魅力的なものであったとしても、ターゲットとなる市場において大手との競合を強いられる場合は、勝つことは容易ではありません。しかしSTP分析をすることで、自社が強みを発揮できるポジションを把握できるため、他社との競合を回避できる市場を選びやすくなります。
STP分析の3つの注意点
STP分析の注意点は、次の3つです。
・多角的な視点で市場へのアプローチが可能か検討する
・市場の大きさと成長率を考慮する
・分析の順番にこだわらない
では、それぞれについて解説します。
▲多角的な視点でアプローチ可能か検討
STP分析は確かにターゲットを絞り、自社のポジションを確認するために役立ちますが、同時に商品やサービスの魅力の伝え方を考える必要があります。そのためには、他のフレームワークも活用し、多角的な視点から考えましょう。
▲市場の大きさと成長率を考慮する
STP分析で自社にとって最適なポジションを見つけられたとしても、そのポジションが必ずしも正しいとは限りません。なぜなら市場が極端に小さい場合や、将来の成長が見込めない場合は、ビジネスの展開方法の工夫が要求されるためです。そのため、市場の大きさや成長率も加味して参入する市場を検討しましょう。
▲分析の順番にこだわらない
STP分析では、分析の順番にこだわってなかなか作業が進まないということがないようにしましょう。なぜなら、STP分析の各項目は連動しているため、どの項目から着手しても結果に大きな違いが出ないためです。そのため、着手しやすい項目から進めても問題ありません。
STP分析の2つの事例
続いて、STP分析を活用した実際の事例を見ていきましょう。
◎コカ・コーラ
コカ・コーラは、炭酸飲料だけではなく、ウーロン茶や緑茶などのお茶の販売もおこなっています。そのため朝食に合う飲料や和食に合うお茶などを提供できる市場をセグメンテーションしています。
このようにコカ・コーラは複数の市場に合わせて商品を販売しているため、差別的マーケティングを用いていると考えられます。
ポジショニングおいては、一時期後発のペプシにシェアを奪われました。しかし「昔からあるコーラの味」というブランディングによって、老舗ポジションを確立しました。
◎ユニクロ
通常セグメンテーションは、年齢や性別を軸におこなわれることが多いですが、ユニクロは顧客のニーズによってセグメンテーションをおこなっています。具体的には、流行りに乗りたいというニーズではなく、日常生活を豊かにしたいというニーズを持つ顧客をターゲットとして設定しています。
その中でも、特にベーシックなファッションを好む顧客層に刺さるような製品をリリースしています。そうすることで製品が定番化し、繰り返しユニクロで買い物をしてくれる顧客の育成ができるのです。
ユニクロのポジション方法としては、商品価格を抑え、さまざまなシーンの要望に答えられるという点を前面に出しています。商品価格においては、製造から販売までを一貫しておこなうことで低コストを実現し、商品価格を抑えることを実現しています。
STP分析以外のビジネスに使えるフレームワーク5選
そのほかにもさまざまなフレームワークがあります。自社の目的にあったものを採用してみましょう。
下記の記事では、それぞれのフレームワークについてくわしく解説しています。
▼マーケティング分析とは?重要性や分析手法について分かりやすく解説
1.SWOT分析:内部環境(強み、弱み)、外部環境(機会、脅威)の観点から経営環境を整理する方法
2.PEST分析:P=Politics(政治)、E=Economy(経済)、S=Society(社会)、T=Technology(技術)の4分野から、外部環境がもたらす自社への影響を考える方法
3.3C分析:顧客(Customer)、自社(Company)、競合(Competitor)の3点から自社が持つ課題や成功要因を導きだし、有効な計画を立てる方法
4.PDCAサイクル:事業活動をPlan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の4段階で進める方法
5.PPM:市場成長率、市場におけるシェアの2軸から事業を「花形(Star)」「問題児「Question Mark)」、「負け犬(Dog)」、「カネのなる木(Cash Cow)」のセグメントに分類し、どこに資源を分配するかを検討する方法
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