2022.09.15 通販会社
LPOとは何の略?重要性から対策まで、さらにLPOツールを紹介
LPOとは「Landing Page Optimization」の略語で、WEB広告や検索エンジンなどからの訪問者がはじめに着地するページを最適化するマーケティング施策を指します。
たとえば、ランディングページからの成約率(コンバージョンレート=CVR)を上げたい、ページ内のCTAや直帰率を改善したい際などにLPOを行います。本記事ではLPOの基礎的な知識から具体的な取り組み方法までLPO実践者が丁寧にわかりやすく解説します。
学べる内容
- LPOの意味。SEOやEFOとの違い
- 具体的な改善事例を通じてLPO対策の効果
- LPOツールやLPOのコンサルティングの相場
LPOとは何の略?どんな意味
LPOとは、「Landing Page Optimization」の略語であり、日本では「ランディングページ最適化」と訳されています。LPOの目的は、ユーザーの途中離脱を防ぎCVRを上げることで、LPOを実施することにより、LPの費用対効果改善が期待できます。LPOが実施されるようになった背景には、広告の費用対効果の頭打ちがあります。リスティング広告が流行り出した頃は、高い費用対効果が注目を集めていました。しかし、徐々にリスティング広告の需要と供給のバランスが崩れていき、広告価格が上昇しました。
広告価格の上昇により、リスティング広告は費用対効果が下がる傾向が見られました。そこで注目を浴び始めたのが、ユーザーの導入を増やすのではなく、CVR*を上げることを目的としたLPOです。
*CVR・・・「Conversion Rate(コンバージョンレート)」の略で、そのWebサイトが目的としているゴール・成果(CV)の達成率を表す指標で「CV率」とも表記されます。
下記資料ではA/Bテストで効果的だった施策を紹介しています。是非参考にしてみて下さい。
LPOの効果、目的とは
LPOには、CVRを高める効果があります。Webサイトの多くは、SEO対策やリスティング広告などあらゆる方法でアクセスを集めて、LPでユーザーに商品購入や資料請求などのアクションを促します。しかしLPに不備があったり、ユーザーにとって魅力が感じられないものであったりすると、アクセスは集められたとしてもCVにはつながりにくくなります。そこで改善策となるのが、LPOです。LPOによってLPに記載されている情報を見やすくしたり、興味を引くコンテンツを用意したりすることによって、ユーザーの直帰率が下がり、CVにつながりやすくなります。LPOは、特に商品に関する情報が多いECサイトや、不動産やグルメなどの情報を多く扱う情報系サイトなどで効果を発揮しやすいです。
LPOとSEOの違いを把握しよう
SEOとLPOの違いですが、SEOはアクセス増加を目的としているのに対して、LPOはCVRの向上を目的としています。簡単にいえば、SEOは入口を大きくして、LPOはユーザーをきちんと出口(ゴール)まで誘導するための施策です
SEOは、Googleを始めとした検索エンジンでコンテンツを上位表示させることが目的です。コンテンツは検索エンジンで上位表示されることで、より多くのユーザーの目に留まりますが、SEOでアクセスを増やしたとしても、CVRが上がるわけではありません。
その一方でLPOでは、ユーザーの到達点となるLPの改善をおこない、離脱率と直帰率を下げます。しかし、そもそもLPへのアクセスがなければ効果を発揮しません。
SEOとLPOでは、このように守備範囲が異なるため、同時に施策をおこなうことが有効です。そうすることで、相乗効果が期待できます。
LPOとEFOの違いを把握しよう
EFOとは、「Entry Form Optimization(入力フォーム最適化)」の頭文字を取った言葉です。EFOの具体的な方法には、入力項目の削減やプルダウンの設置などが挙げられます。EFOをおこなうことで、ユーザーが入力フォームで離脱しにくくなり、結果としてCVRの改善が期待できます。
LPOはLP全体に対しておこなうものであるため、EFOはLPOを進めるうえでの一要素だとも考えられます。LPOもEFOもCVRを向上させるために重要となる施策であるため、同時におこなうのが好ましいです。入力フォームの使いやすさも、LPの質に直結するためです。
LPOのやり方。施策の立案から実践までの基本的な流れ
LPOの流れは、以下の下記のとおりです。
- データ分析を行う
- 仮説から施策立案する
- 施策を実行する
- 効果検証を行う
それぞれについて解説します。
データ分析を行う
まずはLPのCVRや、ページのどの部分がよく見られているのかなどを分析しましょう。まずは現状を把握することが重要で、それに対して具体的な施策を出しましょう。LPの分析には、「Googleアナリティクス」や「ヒートマップツール」などが用いられます。Googleアナリティクスでは、現状のCVRやセッション数、直帰率や滞在時間などが分析できます。一方ヒートマップツールは、ページ内でどの部分がより多くクリックされているのかや、どのエリアが長い時間閲覧されているのかなどの分析が可能です。
分析の際に見るべきポイントの例として、以下が挙げられます。
- ユーザーがどんな検索キーワードで流入してきているか
- どの部分がよく見られ、どの部分で離脱されることが多いか
- CVRはどのくらいか
仮説から施策立案する
LPの分析ができたら、課題解決のための施策を立案します。施策の例を見ていきましょう。1つ目は、離脱率が高い場合です。この場合、LPの中にユーザーにとって必要のない情報がないか分析して削除したり、CTAボタンをLPの途中にも設置したりという施策が考えられます。離脱される前にCTAボタンまで辿り着けるようにするためです。
2つ目は、入力フォームの離脱率が高い場合の施策です。この場合は、入力フォームのわかりにくさや入力項目の多さなどが原因として考えられます。そのため、EFO対策をすることが原因解決の手段として挙げられます。
3つ目は、細分化されたニーズに対応できていない場合です。一つの商品でも、複数のターゲットに訴求できる場合があります。この場合は、ユーザーのニーズや属性によってLPの表示内容を変えられるようにすると効果的です。
施策を実行する
施策の立案ができたら、実行に移します。ただし複数の施策がある場合でも、同時に一つのLPに対して実行するのは避けましょう。なぜなら、どの施策が効果を発揮したのかわからなくなってしまうためです。施策実行の際には、「A/Bテスト」を使うとより効果測定しやすくなります。A/Bテストとは、改善策を実施したものと実施していないものを同時に運用して成果を比較するものです。LPの場合は、施策を実施したものとしていないもの2つを用意し、同時に運用します。
LPOの一つとして、「行動ターゲティング型LPO」というものがあります。行動ターゲティング型LPOとは、LPにアクセスしたユーザーの行動履歴を分析して、より訴求効果が高いと想定されるLPを表示することでCVRの向上を目指すものです。行動ターゲティング型LPOが有効なケースとして、以下のものが挙げられます。
- 問題点:直帰率が高い、滞在時間が短い
- 仮説:LPの内容がユーザーのニーズと合致していない
- 施策:ユーザーごとに表示する情報を変える
このケースでの施策では、ユーザーを属性やページ閲覧履歴などで分類し、それぞれに合わせたページを表示できるようにします。
効果検証を行う
施策を実施して一定期間が経過したら、効果検証を行います。つまり、施策によって狙っていた効果が表れたのかどうかを確かめるのです。もし施策の効果が見られなければ別の施策を検討し、効果が見られた場合は他の問題点にアプローチします。このように何がよかったのか、何が悪かったのかは、PDCAサイクルを回していくことで明確になっていきます。PDCAサイクルとは、「P=Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(確認)」「Action(改善)」のそれぞれの頭文字を取ったもので、PDCAサイクルをLPの至る箇所で回していくことによって、LPの質は向上していくでしょう。
今すぐ実践!事例から学ぶLPOの効果的な改善施策
何事もそうですが、LPOも事例を見ることでよりイメージが鮮明になります。また、効果が出るという希望も湧いてきます。今回は、CVRが2倍になった改善事例を見てみましょう。CVR(成約率)が3倍になった改善事例
今回紹介するのは、難関大学の現役大学生がコーチとなり、中学生や高校生にオンライン上で個別の学習指導を行うサービス「スタディコーチ」を運営している株式会社Buildsです。株式会社BuildsではLPOを実施しことにより、4ヶ月後にはCVRが3倍になりました。 株式会社BuildsのLPの課題として見られたポイントは、以下のとおりです。
- 何をしてくれるサービスなのかが伝わりづらい状態になっていた
- ユーザーにとっては不要な情報が多く含まれていた
- 問い合わせをしてよいのか迷ってしまうような誤解を与えている要素が一部見受けられた
続いて、ゼロをプラスにします。この段階ではスタディコーチの強みを見つけるのですが、分析の結果、強みは「現役の難関大学生がコーチとなるため成功のロールモデルが見えやすいことと心理的距離の近さ」であることがわかりました。あとは強みをLP上でアピールすることで、競合との差別化を図れます。
このようにして、LP上でユーザーが期待しているニーズにフィットしたメッセージやベネフィットを発信できるようにし、CVRを大きく伸ばすことに成功しました。
下記資料ではA/Bテストで効果的だった施策を紹介しています。是非参考にしてみて下さい。
LPOツールとは?どんな一般的な機能や特徴を紹介
LPO施策を運用するうえで、積極的に活用したいのがLPOツールです。A/Bテストを実施したり、リダイレクトテストや多変量テストを行ったりすることを容易にしてくれます。加えて、テストの結果をわかりやすいUIで表示してくれるため、改善案を考えるうえでも効率的です。今回紹介するツールは下記2つです。
- Googleオプティマイズ
- Googleアナリティクス
いずれもGoogleが提供するサービスですが、LPO対策に必要な基本的な機能が備わっており、まず導入を検討したいサービスです。
無料で使えるLPOツール
Googleオプティマイズ
Googleオプティマイズとは、Googleが提供する無料のA/Bテストツールです。GoogleオプティマイズではA/Bテスト以外にも、リダイレクトテスト(webページ全体をパターンとしてテストする方法)や、多変量テスト(最も成果を最大化させる要素の組み合わせをテストする方法)もできます。Googleオプティマイズのメリットは、2つあります。
1つ目は、Webページ実装のための工数やコストを減らせることです。通常webページのA/Bテストを実施する場合、比較パターンを制作したり、リンクの変更や入稿作業などをしたりする必要があります。しかしGoogleオプティマイズを使うことで、これらを簡単に行えるようになります。
2つ目は、テスト結果の集計と比較が容易にできることです。Googleオプティマイズでは、テスト結果が自動で集計され、レポートを簡単に作成できます。また、セッション数・CV数・CVRを一目で比較することもできます。
Googleアナリティクス
Googleアナリティクスとは、Googleが提供する、Webサイトのアクセス状況を分析できるツールです。Googleアナリティクスでは、ユーザーの属性や訪問したページ、成果の達成率、広告効果や反響調査などの分析ができます。そのため、LPOに適しています。Googleアナリティクスのメリットは、無料ながら高い性能を持つことです。例えば、ユーザーがどこから来てどのページを訪問し、どのくらい売り上げにつながったのかなどを可視化できます。また、「Googleサーチコンソール」など、他のツールと連携ができることも魅力です。
Googleアナリティクスのデメリットは、機能が多すぎて初心者には扱いづらい部分があることです。Googleアナリティクスを使いこなすには、まず使い方についてしっかりと理解する必要があります。
有料で使えるLPOツール
User Insight
User Insightとは、通常のアクセス解析に加えて、ヒートマップ分析機能も備えたアクセス解析ツールです。User Insightを使うことで、ユーザーがどこを見てクリックをしているか、どの部分をよく読んでいるかなどがわかります。そのため、あまり読まれていない部分=弱点の改善がしやすくなります。User Insightはパソコンだけではなく、タブレットやスマートフォンでも利用できます。よって、外出中でも手軽にLPの分析ができます。
Optimizely
Optimizelyとは、世界ナンバーワンのシェアを誇るA/Bテストツールです。OptimizelyはWebサイトだけではなく、アプリのA/Bテストもおこなえます。また、日本語にも対応しています。Optimizelyは、本来は手間のかかるA/Bテストを簡単かつ高速でおこなえます。また、結果分析の正確性も高いです。そしてダッシュボードを使うことで、テスト結果を組織全体で共有できます。
費用は高めですが、30日間の無料トライアルの利用ができるので、まずは試しに使ってみたい。といったことも可能です
DLPO
DLPOは、日本国内トップの売上を誇るLPOツールです。ユーザーのニーズに合わせた細かい設定や、Web解析ツールなどとの連携により、LPOを効率的に行えます。DLPOの強みは、さまざまなツールと連携できることです。特にGoogleアナリティクスなどのアクセス解析ツールや、「LBC」などのDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)との相性が良いです。
また、パーソナライゼーション機能によって、ユーザーに合わせたページ表示ができることも魅力です。パーソナライズをすることで、ユーザーのサイト内でのエンゲージメントやCVRを上昇させられます。
LPOコンサル会社/LPO代行会社と費用の相場
LPOコンサルティングでは、サイトの強みや弱みの分析、プロジェクト管理などを代行してくれます。費用は月10万円〜50万円程度が相場で、実績も豊富な業者に依頼する場合は60万円以上かかる場合もあります。続いて、LPOコンサルティングを提供している次の2社について紹介します。
- 株式会社アッション
- DLPO株式会社
- 株式会社オズ・リンク
株式会社アッション
株式会社アッションは、「VWO」というA/Bテストツールを取り扱っている会社です。株式会社アッションの強みは、サイトの構造に合わせた分析から課題と強みを抽出をし、これらを起点にサイト改善をおこなうことで、着実にPDCAサイクルを回して成果を出し続けられることです。株式会社アッションが出す成果の裏付けには、「徹底したデータ計測とKPI設計」と「課題ベースでの「仮説管理」「施策管理」」があります。前者では、サイトや仮説などそれぞれに応じておこなわれ、多くのデータを取得することによってユーザーの情報を得ます。後者では、施策で数値変化が見えない時は何度でも仮説の立て直しをおこない、サイトの課題解決と成果の最大化を目指します。
株式会社アッション
DLPO株式会社
DLPO株式会社は、LPOコンサルティング会社の一つです。大きく分けて3つのサービスを提供しています。1つ目は、LPOプロジェクト代行です。これはその名のとおり、DLPO株式会社にLPO施策を全て依頼するプランです。プロジェクト管理や仮説検証、レポート作成など、LPOで必要なことは一通り代行してくれます。費用は月額50万円からです。
2つ目は、A/Bテスト代行です。A/Bテストを実行してみたいけれど、具体的にどのようにおこなえば良いかわからない場合に役立ちます。費用は月額30万円からです。
3つ目は、DLPO設定代行です。DLPOの設定は自力でもおこなえますが、もし上手く設定ができない場合は代行を検討してみても良いかもしれません。費用は月額10万円からです。 DLPO株式会社
株式会社オズ・リンク
企業向けのマーケティング支援事業を行う、株式会社オズ・リンクはLPの制作400件以上、CVRの改善では430%を達成した事例もあるなど、LPOの実績が豊富な会社です。オズ・リンクの強みは制作で終わらず、分析からストーリー設計、制作改善まで一環して提案をしてくれること。戦略的にLPOを行うことで、高い成果を達成しています 株式会社オズ・リンク LPOページ
LPOに関するよくある質問
Q1.LPOの指標は?
LPOの指標には、以下のものがあります。
- インプレッション数:広告が表示された回数
- クリック数:広告がクリックされた回数
- CTR(クリック率):広告の表示回数に対して、広告がクリックされた割合
- CV数:購入やお申し込みなどの成約数
- CVR:広告のクリック数に対して、成約につながった割合
- CPA(顧客獲得単価):コンバージョンを1件獲得するのにかかった広告費
- ROAS(広告費用対効果):投資した広告費用の回収率
Q2.A/Bテストと多変量テストの違いとは?
A/Bテストでは、明らかな違いを持つ少数のバリエーションがテストされます。その一方で多変量テストでは、僅かな違いのある膨大なバリエーションがテストされます。
まとめ
ここまでLPOについて解説してきました。では、重要なポイントを箇条書きで確認しましょう。- LPOとはLP最適化のことである
- LPOをおこなうことでCVR向上が期待できる
- LPOとSEOは別の施策
- LPOとEFOは同時におこなうべき
- LPOを目的としたさまざまなツールがある
- LPOをサポートするためのコンサルティングをおこなっている会社がある
今回の記事を参考にLPO対策を効率的に進めましょう。
下記資料ではA/Bテストで効果的だった施策を紹介しています。是非参考にしてみて下さい。
監修者プロフィール:De-STANDARD株式会社 CMO 村上華子
熊本県熊本市出身。九州大学卒業 九州大学大学院修了。売れるネット広告社に入社し、MAツールを活用したインサイドセールスやセミナー企画・オウンドメディアの立ち上げ・SNSアカウント運用・広報活動等を駆使して、リードナーチャリングと新規受注の拡大に貢献。その後MOLTSに入社。インハウスマーケターして、グループ会社全体の新規案件の引き合いやインバウンド施策、広報・採用に従事。ジェイフロンティアでは、リードジェネレーションやインサイドセールス、MAツール・SFAの導入など、インバウンド型の営業・仕組み化に従事。同社新規事業であるメディカルプラットフォーム「SOKUYAKU」では、カスタマーサクセス・インサイドセールスの双方の立ち上げと仕組み化・BtoB拡大を図る。組織の1→10拡大フェーズにおけるマーケティング支援に特化した貢献がしたいという想いで、De-STANDARD株式会社に入社。同社CMOを務める。BtoBマーケティング・広報PR・採用の支援を得意とする。
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。
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