CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの専門機関である(株)J.D.パワージャパンが12日発表した『2022年カスタマーセンターサポート満足度調査(金融業界編)』の結果によると、コールセンターと有人チャットで待ち時間が増加し、満足度が大きく低下していた。
「コールセンター」と「有人チャット」でスコアが大きく低下
2回目となる調査は8月初・中旬、金融機関でカスタマーセンターサポートを利用した20歳~74歳に聞いた。回答者数は、全国系銀行1700人、ネット銀行1545人、対面証券1678人、ネット証券1450人、生命保険会社4150人、代理店系損害保険会社1350人、ダイレクト系損害保険会社2200人、クレジットカード会社3450人の金融8業態に上った。
顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、回答者の評価を基に1000pt満点で総合満足度スコアを算出した。ファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「利用のしやすさ」(28%)、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」(25%)、「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」(24%)、「問題の解決や対応に要した時間」(22%)。
それによると、業界全体の総合満足度スコアは708ptで、前回(2021年11月)より12pt低下した。サポート機能別にみると、オペレーターによる対応が必要な「コールセンター」と「オペレーターによるチャットサポート(有人チャット)」で低下が大きく、「有人チャット」は前年比-20pt、「コールセンター」は-17ptとなった。
待ち時間が「3分」を超えると大きく満足度が低下
コールセンター・有人チャットともに、待ち時間が「3分」を超えると満足度が大きく低下していた。今回、満足度が大きく低下したコールセンターや有人チャットでは、やりとりを開始するまでに3分以上の待ち時間を要したという回答が前年から増加していることが確認できた。
利用したサポート機能では、オペレーターによる対応を必要としない自己解決型チャネル(自動応答によるチャットサポート・AIチャットボット」「FAQ(よくある質問)ページ」は、若年層の利用率が前年より6pt増加して4割。中・高年層での利用は2割台に留まっていた。
一方で、コールセンターの利用率については、若年層は前年から減少して約4割だったが、中年層は約6割、高年層では約7割と依然高い水準を示していた。若年層を中心に今後も自己解決型チャネルは利用拡大が見込まれるが、中・高年層にとっては依然としてコールセンターがカスタマーセンターサポートの主要チャネルとなっている。
クレジットカードの1位は『アメリカン・エキスプレス・インターナショナル』
現在、コールセンター業界における深刻な人手不足が懸念されており、調査でも待ち時間の増加や満足度の低下が確認されている。自己解決型チャネルのより一層の利用促進や機能改善を図りながら、コールセンターの呼量削減・負荷軽減を実現し、カスタマーセンターサポート全体の満足度向上を図ることが求められている。
総合満足度ランキングでは、「クレジットカード会社部門」(対象10ブランド)の1位は『アメリカン・エキスプレス・インターナショナル』(777pt)で、2年連続。「利用のしやすさ」「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」問題の解決や対応に要した時間」の全4ファクターで最高評価を獲得した。2位は『JCB』(723pt)、3位は『三菱UFJニコス(705pt)となった。
「ネット銀行部門」(対象6ブランド)は、1位が『ソニー銀行』(731pt)で、こちらも2年連続。同じく、「利用のしやすさ」「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」「問題の解決や対応に要した時間」の全4ファクターで最高評価を得た。2位は『住信SBIネット銀行』(705pt)、3位は『PayPay銀行』(704pt)だった。
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