(株)富士キメラ総研がこのほど発表した『DX(デジタルトランスフォーメーション)関連の国内市場(投資額)調査』によると、DXの取り組みを開始している企業は67.8%、今後3年以内に取り組み開始の計画がある企業は13.4%と、DX化の進展は顕著になっている。
2022年度の投資額は2兆7277億円
業種別9分野、業種共通5分野のDX関連市場(投資額)は2022年度で2兆7277億円が見込まれ、30年度には6兆5195億円に拡大すると予測。中でも、製造、流通・小売、金融、交通・運輸・物流、不動産・建設、バックオフィスなどの分野の伸びが注目される。
同社独自の調査・分析とともに、22年11月に年商10億円以上の企業に所属し、DXに関する自社の取り組みを把握している612人にユーザーアンケートを実施した。
それによると、勤務先のDXの取り組み状況は「具体的な施策を実行し、取り組んでいる」(36.8%)、「検討や実証実験段階」(31.0%)。「今後3年以内に取り組みを開始する計画」(13.4%)を含め、DXに対する積極的な姿勢がみられた。
導入する上で不足している人材は、「企画、推進、普及促進を行う人材」(46.9%)、「エンジニア・プログラマー(社内SE)」(36.9%)、「デジタルマーケティング」(34.2%)、「データサイエンティスト」(27.6%)、「ビジネス・サービスデザイナー(新規サービスの創出、設計を担う人材)」(26.3%)などだった。
導入への課題・問題は、「利用・導入コストが高い」(49.2%)、「費用対効果が不透明」(43.8%)、「社内にDX関連技術を理解しているエンジニアがいない」(32.2%)、「社内にDXのビジネスモデルを構築するプランナーがいない」(31.4%)、「導入における目的、課題が不明確、あいまい」(30.7%)などが挙がっていた。
物流では「再配達」減少をめざす取り組みが進行中
伸びが注目される業種別では、「製造」は環境変化への対応強化、技能継承・人材不足対策、脱炭素化への取り組みを軸に進められている。現状、スマートファクトリーへの投資規模が大きい。今後はデジタル現場支援や調達・購買DXなどが大きく伸びると予想され、グリーン調達の実現に向けた取り組みも進展するとみられる。
「流通・小売」は、現状は次世代ショッピングの規模が大きい。実店舗の人手不足を補い、来店客の購買体験を改善・ 拡充するフルセルフレジ、また、食品スーパーや総合スーパーではタブレット端末付きショッピングカートの導入が進んでいる。今後は無人店舗ソリューションの伸びも期待される。
「金融」では、金融機関のデジタル化を支援するサービスへの投資から、BaaSやエンベデッド金融、API活用などにより、金融と他業種のサービスを組み合わせた新サービス創出のための投資へと進展するとみられる。
「交通・運輸・物流」の物流では、配送ルートの最適化やスマートロックを活用し、再配達業務の減少をめざした取り組みが進んでいる。「不動産」は、宅建業法改正で不動産契約の完全オンライン化が解禁されたことから、今後はその対応への投資拡大が予想される。
「バックオフィス」(業種共通)は、経理や人事への投資規模が大きい。経理は、電子帳簿保存法改正やインボイス制度への対応やペーパーレス化による業務効率化・テレワーク対応などの需要が底堅い。今後は請求書のデジタル化やデジタルマネーによる給与支払い解禁などへの対応で伸びるとみられる。
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