持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、EC業界でもさまざまな取り組みが行われているなか、サステナブルな取り組みで注目を集めているのが、(株)ファンケルだ。同社はサステナビリティを経営の中核に置き、21年10月に専門部署となる『サステナビリティ委員会』を設置。化粧品容器の回収や関連イベントの開催など、サステナブルな取り組みを加速している。2022年を中心に、同社のサステナブルな取り組みを振り返る。
21年10月に『サステナビリティ委員会』を設置
同社は持続可能な社会の実現への貢献と、グループの持続的な成長をめざし、21年から開始した第三期中期経営計画「前進 2023~逆境を超えて未来へ~」で「環境」「健やかな暮らし」「地域社会と従業員」の3つの重点テーマを設定。サステナビリティを経営の中核に置き、重点テーマに設けた目標を達成して中長期的に企業価値を向上させるために、21年10月から『サステナビリティ委員会』を設置した。
22年6月には、全直営店舗のサプリメント陳列什器を、主原料が紙パウダーの環境配慮型什器に変更。これまでのアクリル樹脂と比べて、製造から焼却までの過程の温室効果ガス排出量が従来と比べて約30%削減になるという。
環境に配慮した店舗づくりの取り組みを推進
また、9月にはメイク関連の製品を環境に配慮した素材に切り替える取り組みも開始。対象製品は全18品目で、対象製品すべての外箱パッケージを、プラスチック製から環境に配慮した森林認証紙にした。メイクブラシ類は、一部を除き木軸のハンドル部分を環境に配慮した森林から伐採した木材に変更。これらの取り組みで年間プラスチック使用量は最終的に253㎏削減できる見込みとした。
21年7月には使用済み化粧品PET容器を回収する独自の資源回収プログラム『FANCL リサイクルプログラム』を開始した。22年10月には対象店舗61店舗から101店舗に拡大。
『FANCL リサイクルプログラム』は、使用済みの化粧品PET容器をユーザーに持参してもらって、店舗の専用の回収BOXに入れてもらうもの。回収の対象品は21品目で、持参したユーザーには、マイルドクレンジングオイルをデザインした「シードペーパー」(紙ごみとなった古紙を再生し、さまざまな花の種をすきこませ、まくことで土に戻る環境にやさしいリサイクルペーパー)をプレゼントしている。
また、回収した容器は、ファンケルスマイルで分別・洗浄・乾燥を行った上、(株)パンテックと共同で、マテリアルリサイクル技術で植木鉢に再生し、横浜市などに寄贈している。
産学官による教育講座『ファンケル神奈川SDGs講座』を開催
産学官連携による活動も展開しており、同社は21年からSDGs推進と地域貢献活動を目的とした『ファンケル神奈川SDGs講座』を開設。主催は、同社以外に(株)テレビ神奈川、YMBL(横浜メディアビジネス総合研究所)が参画して設立した「ファンケル神奈川SDGs講座実行委員会」で、横浜市政策局や神奈川県教育委員会などの協力を得ている。
22年7月には私立桐蔭学園高校で『ファンケル神奈川SDGs講座』の長期講座を開始。期間は同年7月から2023年3月までで、開催回数は9回前後。リサイクルを例に日常のちょっとした行動から地球環境の貢献につながることを学び、一人ひとりが取り組めることについて考える機会につながっているという。
サステナブル関連の各種イベントを定期的に開催
イベント関連では、サステナブルな活動を体感できるカフェの設営やSDGsの取り組みを推進する企画を定期的に開催してきた。22年にはSDGsへの貢献に取り組む団体と協力し、ファンケル銀座スクエアで8月18日から11月16日にかけ、障がいのある人の自立支援を応援するアート展『ノーボーダー・アート・ギャラリー~垣根を越えた新しい時代へ~」と、SDGsへの貢献につながる製品の販売会『SDGsマルシェ』を開催した。
アート・ギャラリーは、アート活動を行う福祉施設「スタジオクーカ(生活介護・就労継続支援B型)」と、障がい者アートを扱うデザイン事務所「フクフクプラス」との共同開催で、ファンケル銀座スクエアの1階のエントランス、各ショップフロア、階段などでアート作品を展示した。
SDGsマルシェは、環境や社会問題に配慮されたジュエリーや雑貨の販売会を4団体が出店して開催。海洋プラスチックや廃プラスチックをリサイクルシタジュエリー、タイ原産のソラの木から作ったソラフラワー、環境に優しく、紛争に関係しないヴィンテージジュエリーなどが販売された。
環境配慮型什器の導入や、使用済みの化粧品容器を回収してリサイクルを行うなど、環境に配慮した店舗づくりの取り組みに加え、産学官の講座開設による普及啓発活動、各種イベントなど、ファンケルはサステナブルな取り組みは幅広く、スピーディーに展開されている。定量目標を設定し、具体的なアクションへつなげている同社。今後の取り組みにも注目が集まる。
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