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2023.06.01 通販支援

「問い合わせ対応」はEC接客の要!SNSの声まで拾える管理術とは?

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 ECショップにとってユーザーからの問い合わせへの対応は極めて重要な“接客”に該当する。ユーザーとの接点はメール、電話、Twitter、LINEなどと多様化している。それに伴ってビジネスチャンスも拡大するが、問い合わせ対応は複雑となり、対応漏れなどのミスも起こりがちだ。問い合わせ対応を完璧にこなし、売上拡大につなげるためのノウハウとは?問い合わせ管理・共有クラウドの開発・提供を行う(株)インゲージの和田哲也社長に話を聞いた。


インゲージの和田哲也社長


メールもLINEも電話もチャットもまとめて管理

 インゲージが提供する問い合わせ管理・共有クラウド「Re:lation(リレーション)」は4,000社以上に導入されている。「Re:lation」はメール・LINE・電話からSMS、Twitter、楽天市場やYahoo!ショッピングなど主要ECモールの連絡ツールまで複数のチャネルをまとめて一元管理できるサービス。複数チャネルの問い合わせを一画面に集約し、複数ユーザで管理・共有できる。それぞれの対応状況を「未対応」「対応中」「対応完了」といったステータスで一目でチェックでき、チームで同じ画面を共有できるため二重返信や対応漏れの防止につながる。分析・レポート機能も備えており、対応にかかった時間やメンバーの案件数が見える化でき、業務改善にもつなげられる。


 「Re:lation」の画面イメージ


 同サービスは和田社長がECサイトを利用する1ユーザーとしての体験が開発の契機になったというーー以下、インタビュー形式でお送りする。

ECユーザー側の視点が開発の契機に

 ――「Re:lation」開発の契機はECサイトを利用する1ユーザーとしての気付きにあったと聞きます。創業と開発の経緯について教えてください。

 和田 ゲーム開発エンジニアとして社会人キャリアをスタートさせ、2002年から10年ほど米国で仕事をしました。その当時から米国のネット通販を日常的に利用していましたが、ある時、その通販で購入した商品が届かず、メールで問い合わせたものの返答がなかったり、ずれた回答が返ってきたりして困り果てたということがありました。

 米国では、年末に消費者の購買意欲が各段に上がります。それに加えて、当時急成長を遂げていた通販会社ではユーザーからの問い合わせも急増したため、対応が追いついていなかったのだと思います。

 また、その当時FacebookやTwitterがサービスを開始し、YouTubeも広がり始めるなど、新たなコミュニケーションサービスが次から次へと登場する状況にありました。

 このような経験や背景から、ECショップにとって問い合わせをしっかりと管理できる専門ツールが必要だということと、今後もさまざまなコミュニケーションサービスが生まれてくるだろうということを強く感じ、2014年に起業しました。

 

 ――「Re:lation(リレーション)」開発当時の話を聞かせて下さい。

 和田 EC市場は今後も成長を続け、それに伴ってEC事業者にとって問い合わせ対応の重要度も高まると感じました。ECビジネスにおいて問い合わせ対応は接客です。その接客に使用するコミュニケーションサービスはさらに多様化していくと予想され、これまでになかったワンストップで全てを管理できるサービスが必要だと考えたのです。

 そこで、起業してから10カ月後の2014年11月、問い合わせ管理・共有クラウド「Re:lation」をリリースしました。来るべきコミュニケーションサービスの多様化を見据え、Re:lationは最初からマルチチャネルを一元管理するプラットフォームとして開発しました。サービス開始当初はメールとTwitterに対応するのみでしたが、今や10種類以上のコミュニケーションサービスに対応しています。


「対応漏れ」「過去のやり取りの把握」に課題を抱えるEC事業者

 ――「Re:lation」を提供する中で、EC事業者様はどんな問い合わせ対応の課題を抱えているのでしょうか?

 和田 EC事業をされている方々のお声としてよく耳にするのが「対応漏れ」です。EC事業は、ある時急激に業績が伸びるということがあります。そうなると当然、問い合わせ件数も一気に増加します。例えばこれまで1日に10通ぐらいの問い合わせ件数だったのが、10倍から100倍になるということが起こり得ます。そうなると個々の問い合わせについて対応済みかどうかさえわからなくなってしまい、この結果、対応漏れが生じてしまいます。

 他にも課題として耳にするのが、「問い合わせをいただいたユーザーとの過去のやり取りを把握できず対応に困る」というものです。業種にもよりますが、1つの問い合わせで平均5~6回のやり取りが発生します。内容によっては20回を超える往復のコミュニケーションがあることも珍しくありません。また1つの問い合わせが1チャネルだけで完結するとは限りません。例えば、メールからはじまった問い合わせでも途中で電話でのやり取りを挟む、といったこともあります。そのためユーザーから「この前のメールの件で電話しました」と言われても、過去のやり取りをしっかり管理し共有できるようにしていないとどのメールなのかがすぐに把握できず、ユーザーを待たせてしまうことになってしまいます。

 また、スタッフを増員して対応しようとしても誰がどう対応したのかが把握できず、1つの問い合わせに対して、別々のスタッフが同時に返信するという事態も起こりがちです。そうなると、ユーザーは「この会社は大丈夫なの?」と不安になりますし、EC事業者にとっても1ユーザー当たりのスタッフの拘束時間が長くなり、会社に対する信頼も低下しかねません。せっかく業績が伸びていても、躓く原因になってしまいます。


 

Twitter投稿の対応もまとめて一元管理できる

 ――問い合わせ対応が悪いと、SNSに投稿されることもあります。

 和田 正にその通りです。Twitterで「〇〇というネットショップで買いものをしたが、対応が悪かった」などと書かれてしまうと、場合によっては「炎上」してしまうというケースもあります。SNS上の炎上はEC事業者にとってリスクです。こうしたリスク回避のためにも問い合わせ対応はしっかり行う必要があると言えます。

 当社の提供する「Re:lation」では、こうしたSNS上の投稿も問い合わせ管理のひとつとして「ソーシャルリスニング」という機能で管理することができます。自社のサービス名や商品名などを登録しておくことで、Twitter上のツイートなども受信箱に表示され、「Re:lation」のシステム上からツイートに対して返答することも可能なのです。

 
「ソーシャルリスニング」機能のイメージ

 例えば、自社へのクレームのような投稿があった時、「フォロー外から失礼します。△△を提供しています〇〇ですが、詳しく教えていただいてもよろしいでしょうか」というやり取りが可能です。SNS上のやり取りとなるため、投稿者のフォロワーを中心に多くの方の目にも触れることになります。きちんとした対応をすれば「この会社はきちんと対応してくれる」と評価されることもあるでしょう。いわば、クレームと言ったピンチをチャンスに変えることだって可能なのです。

 これとは逆に「買って良かった」というツイートがあれば、「ありがとうございます」と返信すると喜んでもらえるはずです。このようにSNS上の声をしっかりと拾ってファンを増やすことができる点も「Re:lation」の特長です。

 ――問い合わせチャネルが多様化していますが、メール起点の問い合わせでも電話やTwitterを挟むと、管理が難しくなりそうです。

 和田 数日前にメールした内容を電話で確認したいというユーザーや、LINEで問い合わせたものの、長文になるのでメールで改めて送りたいというユーザーもいます。一方、EC事業者側は「先日の問い合わせと言われてもどれなのか…」となりますが、それではユーザー視点で向き合えていないと言えます。

 そのギャップを埋めることができるのが「Re:lation」です。このようなやり取りでも「Re:lation」なら複数チャネルでの問い合わせ内容を「タイムライン」という機能で表示することができます。ユーザーがどんなコミュニケーションサービスを使ったとしても、「タイムライン」を見れば、いつ電話やメールが来たのかが全て一目でわかります。

 タイムラインを見ることで、3年前のやり取りであっても簡単に把握することができます。入社間もない新人社員もタイムラインにより、過去のやり取りを瞬時に把握できます。それに基づいて、返信時に「以前〇〇のお問い合わせもいただきましたが、その後いかがでしょうか」という文章を追加するだけで、「この会社は自分のことをわかってくれている」と評価してもらえることにつながります。
 


タイムライン画面のイメージ


 さらに「Re:lation」は主要ECカートを含む30以上のEC向けサービスと連携しており、カート上の顧客情報をつなぐことができます。そのため、わざわざ管理画面を開かず、「Re:lation」の画面から該当のユーザーの顧客情報や受注情報、過去の購入金額なども把握できます。それによって、それぞれのユーザーに適した対応ができるようになります。

 EC向けサービス以外にも、現在60以上のサービスと連携していているのもRe:lationの特長です。



ChatGPT活用で問い合わせ内容の要約も

 ――「Re:lation」は常に進化を遂げていますね。

 和田 「Re:lation」は常に進化をしています。AI機能の開発にも力を入れており、2018年に「AIレコメンド」機能をリリースしました。この機能は問い合わせに対する過去の回答から、AIエンジンがオススメの回答例を表示してくれるというもので、返信にかける時間を削減するだけでなく、知識の少ない新人であっても効率的に対応することができます。

 さらに2023年3月には、ChatGPTを活用した新サービスの第一弾として「要約機能」をリリースしました。時に1件の問い合わせでも10回以上やり取りが続くことがあり、全てを把握するには時間を要してしまいます。そんな時は「要約」ボタンを押すだけで過去のやり取りを要約して表示します。

 私たちインゲージは、「人は人にしかできないことに注力するべき」と思っています。AIに頼れるところはAIの技術を最大限に活用できるよう、これからも「自動化」にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。

 
「要約機能」のイメージ


 「Re:lation」は、メールやチャットだけでなく、クラウド電話で受電・架電もできます。電話もメールも同じ画面で対応でき、電話の際も過去の対応履歴を瞬時に表示できます。また、自動で録音・文字起こしがされるため、メモを取る時間を大幅に短縮し「言った・言わない」問題を解決することもできます。

 

「クラウド電話オプション」の通話記録イメージ

「常に進化を続けていく」

 ――その他の「Re:lation」の導入メリットや今後の展望について、お聞かせください。

 和田 「Re:lation」は働き方の多様化にも対応できるサービスとなっています。「Re:lation」を使うことで、リモートで働いていても、働く時間帯が異なっていても案件の共有やコミュニケーションが簡単に行えます。マネジメントする方の視点でも誰がどのように対応しているのかリアルタイムで把握することができます。

 ITの進化とともに、これからもコミュニケーションサービスは増えていくと予想されますが、今後どんなコミュニケーションサービスが登場しても対応できるよう開発に取り掛かっていきます。ユーザーとのタッチポイントを逃さず、広げていけるよう「Re:lation」は常に進化を続けていきます。

 ――ありがとうございました。





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