Amazonは7日、現在建設中で8月に稼働を開始する予定の物流拠点「Amazon千葉みなとフルフィルメントセンター」のFCツアーを開催した。建設中のFC内部を公開するのは日本では初の試み。ロボットが棚を持ち上げて移動する「Amazon Robotics(アマゾンロボティクス)」の導入拠点としては、国内最大となるAmazonの新フルフィルメントセンターの全容に迫った。
(左から)アマゾンジャパン合同会社アマゾン千葉みなとフルフィルメントセンター
サイトリーダーの片桐秀行氏、同社JP FC オペレーション事業部 統括本部長の原祐介氏、
同社オペレーション技術統括本部長の渡辺宏聡氏
商品棚が動くアマゾンロボティクスにより迅速な商品配送が可能に
一般的な物流倉庫では、入庫した商品は固定の棚に置かれて保管され、出荷指示があった商品を棚から集めるピッキングの作業が必要となる。千葉みなとFCでは、一部の商品を除き棚入れ(入庫)・棚出しまでをすべてアマゾンロボティクスで管理している。
商品棚は黄色の「Pod(ポッド)」と呼ばれる移動式の棚で、「Drive(ドライブ)」を呼ばれるロボットがポッドの下に入り、ポッドを少し持ち上げて移動させる。ドライブは床に印字されたQRコードを読み取って移動するため、互いにぶつかることなく、適正に管理される。人が動くのではなく、商品棚が動いて管理するため、棚入れや棚出しの時間を大幅に削減するほか、最大約40%多くの在庫を保管することができる。
建設現場では約650人が作業に従事、カフェテリアもオープン
千葉みなとFCは国内最大のアマゾンロボティクス導入拠点で、ドライブ数は約2600台、ポッド数は約3万台を誇る。商品在庫数は1700万個以上で、関東圏を中心に日本全国に商品を発送する。同拠点で働く従業員は2000人以上となる。
同FCは8月の稼働に向け、急ピッチで建設作業を進めている。現場では約650人が働いており、通常はFC完成後にオープンするカフェテリアを建設期間中にオープンし、これまで3500食以上を提供。安全で働きやすい現場づくりを目指す。
紙袋の自動梱包機を導入、梱包資材にかかる手間を解消へ
アマゾンジャパン合同会社JP FCオペレーション事業部統括本部長の原祐介氏は千葉みなとFCの立地を選んだ理由として、1都3県へのアクセスがいいこと、高速道路が乗り入れやすいこと、FCで働く従業員の通勤のアクセスがいいこと、の3点を挙げた。
原氏は「アマゾンジャパンオペレーションは、日々、お客様の利便性を向上させるべく、ネットワークを強固にして、1日でも早く、1秒でも早くお客様に商品が届くように努力をしている。さらなる拠点拡大、既存拠点の設備の向上をはかり、より日本全国のお客様に便利に買っていただくようなネットワークを構築していくとともに、地域の雇用も創出し、地域社会の発展に努めていきたい」と話した。
千葉みなとFCでは新たに紙袋の自動梱包機を導入。同社の渡辺宏聡オペレーション技術統括本部長は「これまでダンボールで送ってきた商品の一部を紙袋でお届けする。商品のサイズに合わせて紙袋のサイズも変えられるので省資源で商品の配送が可能。商品を受け取る人もダンボールより小さく、開けやすくあけやすく、古紙としてリサイクルにも出しやすい。お客様の梱包資材にかかる手間を省くメリットもある」と話した。
Amazon 千葉みなとフルフィルメントセンター内部を公開
【Pod(ポッド)】
移動式の商品棚。2~4階の敷地に約3万台のポッドが配列される。
【Drive(ドライブ)】
ドライブと呼ばれるロボット。約2600台が稼働する。
【ステーション】
オリコン(青いコンテナ)から商品をひとつ1つ取り出し、棚入れする。頭上にあるスキャナーでバーコードを読み込む。従来は商品のスキャンが必要だったが、AIカメラで見ているため、スキャンをせずに棚入れが可能となった。
【床のQRコード】
ドライブは床に印字されたQRコードを読み取りながら進む。QRコードでドライブ同士がぶつからないように管理されている。
【Drive(ドライブ)の充電】
充電が切れるそうになると、ドライブはロボット掃除機のルンバのように充電装置に自動で戻り、充電する。
【Pod(ポッド)の組み立て】
ポッドを組み立てる作業員。5Sを徹底している。
イー・ロジットの角井亮一社長
イー・ロジット角井氏「一言で言うと『異次元』」
今回のFCツアーには、物流代行大手の(株)イー・ロジット角井亮一社長も参加。角井氏にコメントを求めたところ、「(千葉みなとFCは)一言で言うと『異次元』。普通の現場は入庫場、保管・格納エリア、出荷場などが分かれており、それを一方通行で流すのが一般的。今回は入庫する場所と出荷する場所が隣同士だったり、出庫する場所にオリコンを戻す場所を作ったり、すごく緻密に作られていると感じた。通常の現場では発想が及ばないようなことをやっている」と絶賛した。
今回は建設現場を見学するという初の試みとなったが、角井氏は「ボットを作っている現場でも、安全の青い線、Amazonでいうと5Sの線を建設段階でもつけていた。常に安全面を考えていると感じた。ポッドを組み立てる作業員には女性もいた。ボットは重たいと思うが、女性でもできるように工夫して作業しているのだろう」と話した。
■「Amazon千葉みなとフルフィルメントセンター」概要
・延床面積:120,000㎡
・フロア構成:4階建て(1階:オフィス、食堂、入荷・出荷エリア)、2~4階:商品保管エリア
・商品保管容量:約1,200,000立方フィート
・商品の入荷数・出荷数:約60万個/日
・商品在庫数:1,700万個以上
・Amazon Robotics:ドライブ数 約2600台、ボット数 約3万台、ステーション数 200以上
・商品の発送先:全国
・雇用機会創出量:2000人以上(業種は30種類以上)
・ソーラーパネル:屋上に設置(年間想定発電量は非公開)
(山本剛資)
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