宅配事業のオイシックス・ラ・大地(株)がこのほど発表した2022年3月期第3四半期(21年4~12月)連結決算は、売上高が前年同期比16.9%増の874億円、営業利益が同18.8%減の49億7900万円、純利益は同15.5%減の32億9400万円となった。
売上ベースで最大15億円、利益ベースで最大20億円の損失見込みに
第3四半期後の22年1月に発生したOisix新海老名ステーションの出荷・配送トラブル直後でもあり、事業影響を含めた公表となった。配送トラブルに関する直接の売上損失は5億円、利益損失は6億円~8億円となる見通し。さらに、イレギュラー運用時の物流コストやプロモーションの一時停止などの影響を含めると、売上ベースで15億円、利益ベースで15億~20億円に達するとし、損失に伴う通期業績予想の修正も併せて明らかにした。
トラブルは、1月16~17日に全出荷を新海老名ステーションに移管する大規模な移転作業で発生。最初の工程の「入荷」で納品遅れなどがあり、オペレーションが混乱。イレギュラーな状況に新しい物流ラインが稼働せず、出荷不能や遅延、欠品などが発生した。
影響を受けた顧客は11万人、問い合わせは7000件に
出荷・配送については1月25日で解消。カスタマーサポートも通常通りの対応に復旧している。影響を受けた顧客は11万人、問い合わせは7000件に及んだ、2月中に出荷キャパシティの増強に取り組み、今期中に注文・配送の質をトラブル前の水準に戻したい考えで、来期上期までには、当初予定していたコスト削減水準までのリカバリーを図るとしている。
トラブル前までのOisixの売上高は前年同期比 22.0%増の451億9000万円、セグメント利益は同6.9%減の65億2500万円だった。年末年始の高単価商材や主力商品であるKit Oisixの売行きが好調に推移し、売上高は増加。利益面では、新規獲得のための販促費増や新海老名ステーションの費用増などの成長に向けた費用の投下により、コロナ禍の影響でイレギュラーに増加した前年同期のセグメント利益と比べ減少した。
大地を守る会・らでぃっしゅぼーやは減収減益
会員数は、注文頻度の低い顧客約1万人の退会手続きを行った影響で減少したものの、前期末(21年3月末)の30万8899人から、第3四半期末(21年12月末)には34万5409人へと当初計画を上回って増加している。
大地を守る会は、売上高が前年同期比5.6%減の101億5400万円、セグメント利益は同7.9%減の17億4800万円となった。手軽に健康実感をできる商品・サービスの開発強化などの施策により、当初計画に対し順調に推移しているものの、コロナ禍の影響でイレギュラーに増加した前年同期の売上高、セグメント利益と比べ減少した。会員数は、前期末の4万5307人から、第3四半期末には4万5730人とわずかに増加した。
らでぃっしゅぼーやの売上高は前年同期比 2.3%減の133億3600万円、セグメント利益は同23.1%減の18億8300万円だった。こちらも前年同期の売上高、セグメント利益と比べ減少。会員数は前期末の6万2751人から、第3四半期末には6万6206人へ増えている。
米国で、ヴィーガンに特化したミールキットの宅配事業を展開するPurple Carrotは、売上高が前年同期比 23.6%増の78億9300万円、セグメント利益は同1051.8%増の4億7100万円。行動制限の解除や経済活動の再開で、消費者の購買動向が実小売店舗に戻っている影響のため、売上高、セグメント利益ともに大きく増加。会員数は第2四半期末と比べて減少しているが、前年同期比では大幅に伸長している。
物流トラブルで通期業績予想の営業利益・純利益を下方修正
22年3月期の通期業績予想に関しては、売上高が1050億円から1130億円(前期比12.9%増)、営業利益が50億円から35億円(同53.1%減)、純利益は30億円から25億円(同50.3%減)をそれぞれ見込んだ。
売上高は新海老名ステーションのトラブルによる売上逸失があるものの、当初計画の想定よりも会員数、ARPU(月間購買単価)の伸びが順調なことから上方修正。利益面では、売上高増により利益は増加したものの、Oisix 新物流センターの移転時トラブルによる利益損失により、前回までの予想を下回る見通しとなった。
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