Amazon専⾨のECコンサルティングを手がけるGROOVEの⽥中謙伍代表取締役による著書『【超完全版】Amazonビジネス⼤全』(KADOKAWA)が、4⽉1⽇に発刊される。Amazonのすべての出品者に向けた実⽤書となる。Amazon⽇本法⼈でトップセールスとして活躍した著者自身の経験を基に、Amazonで物を売って、年商1億円を達成するための⽅法を伝授している。発刊を目前に控え、出版の経緯や著書に込めた思いなどを著者に聞いた。

リテールメディアとしてのAmazon
――まず、『【超完全版】Amazonビジネス⼤全』の著者である田中代表のプロフィールからお願いします。
⽥中謙伍氏(以下、田中):私は大阪の泉州で5代続いた繊維商社の跡継ぎとして生まれました。2012年に新卒第1期生としてAmazonジャパンに入社しましたが、最終的には家業を継ぐつもりでした。しかし、入社から1カ月が過ぎたころ、家業の役員だった1人がMBO(経営陣による自社買取)を行い、会社が乗っ取られてしまいました。目の前が真っ暗になりましたが、そんな私を救ってくれたのがAmazonでした。
入社して初めての配属先は、奇しくもファッション事業部の営業チームでした。メーカーさんにAmazon参入の営業を行う日々の中で、家業を継いで仕事に打ち込むはずだった自分の姿を重ね合わせることが多々ありました。それによって、前向きに生きることができたと感謝しています。
Amazonで最後に配属されたのは、マーケティングに関する部署でした。それまでは営業畑だったので、環境ががらりと変わり、新鮮に感じたことを覚えています。投資の考え方や数字の見方など、経営の視点から学びを得ることができました。
Amazonで経験した多くのことが私の中で重なり合って、「自分で会社を育てたい」という夢が膨らんでいきました。そして、Amazonを退職して独立を決断し、GROOVEの設立に至ったわけです。今振り返れば、「家業を継いで自分の会社を持つ」という将来像が崩れ去ったことへのリベンジも、私の背中を押してくれたと思います。
YouTubeでは話しにくいことも
――今回、著書の出版に至った経緯をお聞かせください。
田中:端的に言えば、もっと良い商品が世の中に広まってほしい、ということに尽きます。コロナ前から、YouTubeチャンネル『たなけんのEC⼤学』で情報を発信しているのですが、モノづくり、ひいては日本の文化がもっと良くなってほしいという思いで始めました。
私自身が1人の消費者として全国各地を訪れて、いろいろな物を買ったり、使ったり、食べたりする中で、情報発信を続けたいと強く思うようになりました。そのために活用しているのが先にあげたYouTubeチャンネル『たなけんのEC大学』です。ありがたいことにチャンネル登録者数は5万人を突破し、多くの方に見ていただいています。しかし、中にはYouTubeを見ない習慣の方もいらっしゃるので、そうした方にはYouTube上の発信だけでは情報を届けることが難しいと感じていました
こうした課題を解決する1つの形として、書籍があるなと考えていたところ、たまたま昨年KADOKAWAさんにお声掛けをいただき、今回の出版計画が立ち上がりました。
そのきっかけの一つですが、昨年、あるセミナーに登壇した際に、講演後、私に「お礼を言いに来ました」と話しかけてくれた方がいました。何に対するお礼かというと、YouTubeの動画を見て勉強した結果、売上が伸びたということでした。その話を聞いた時、自分がYouTubeで発信していることが間違いではなかったなと感じました。このほかにも、有名企業の新人教育に動画が使われているという話を耳にしたこともあり、うれしく感じています。
――著書に込めた思いや、特に読者に伝えたいことは?
田中:少し遠回しの言い方かもしれませんが、モノづくりをアップデートする意味と、今回の出版は密接に繋がっていると考えています。
アップデートする意味には2つあります。1つ目は、昨今オールドメディアという言葉が流行し、オールドメディア対SNSという構図が使われる場面が増えていますが、私は小売業界についても同じようなことが言えると思います。つまりオールドリテール対D2Cという構図です。
D2Cメーカーがどんどん増えることにより、メーカー→商社・卸→小売店という流通による大量生産・大量販売のモデルだけでは賄いきれない消費者ニーズに応えていける世の中が作られる。それがモノづくりがアップデートされるということです。
2つ目は、自分で売りたい物をマーケットに出していく人や、そこに関わる人が増えていくこと。これにより、ひいては業界全体に優れた人材が排出されたり、良いアイデアを競い合った結果、新しい文化を生むイノベーションや製品が登場したりすることにも繋がっていくと思います。
私自身もプレーヤーとしてモノづくりを行い、売る立場にあり、「いい商品ですね」などと言ってもらえるのですが、多くの場合、正しいプロセスによって正しい商品企画、正しいリサーチ、正しいマーケティングを行っているだけなのですね。しかし、それを実行するのは簡単なことではありません。
実際、それを間違えてプロダクトアウトのようになり、お客様に受け入れられないことをしてしまうマーケティングスタイルも散見されます。
そうした失敗を防いでほしいという思いから、今回の著書に、成功するためのエッセンスを詰め込んだつもりです。Amazonで売るという選択肢を持っている方には、ぜひお読みいただきたいと思います。間違ったプロセスを踏まずに、適切な方向へ導けると確信していますので、著書を活用していただき、その結果としてモノづくりがアップデートされることを望んでいます。

メーカーならば読んで損しない
――『【超完全版】Amazonビジネス⼤全』をどのような人に読んでもらいたいですか?
田中:本書はAmazonに焦点を当ててはいますが、本質的にはECでモノを売るということを体系的に説明した内容となっています。そのため。Amazonに出品しているかどうかにかかわらず、ECに携わるあらゆる人に読んでほしいです。また実際に運用している人だけでなく、事業を統括している方ならば、部下に渡して勉強のツールとして活用してほしいです。
それから、YouTubeを見て、問い合わせをいただくすべての方にもオススメします。当社と直接関係を持っていない方であってもても、モノづくりのアップデートを願っていますので、日々の運用の中で業務で気になることがあれば、書籍の目次を見て振り返るなど、うまく活用してほしいと思います。
本書には、コラムをはじめ動画では話せていないことも多数記載しています。ちょっとした内緒話とか、かなりテクニカルな内容で動画にすると反響が大きい話とかも盛り込んでいます。メーカーさんであれば、読んで損はないはずです。なぜなら、物を売る場合、実際に行うかどうかは別として、Amazonを選択肢に入れないことはほとんどないからです。
――最後に、ECに携わる方へメッセージをお願いします。
田中:ECは単なる販売手段ではなく、ブランドを育て、価値を届ける強力なフィールドです。私自身、家業を失ったことで新しい道を模索し、Amazonを通じてECの可能性に気づきました。そして副業から始めたEC事業が1年で年商1億円を達成し、ECが持つ大きなチャンスを実感しました。
成功の鍵は「挑戦し続けること」と「本質を学ぶこと」です。ECは日々進化しており、正しい知識と戦略があれば誰でも成功する可能性があります。ただし、一度成功した方法に固執せず、市場や消費者の変化をキャッチし、柔軟に対応することが重要です。
いまECに挑戦しようとしている方には、恐れずに前に進んでほしいです。
――ありがとうございました。
<プロフィール>
⽥中 謙伍(たなか けんご)
大阪府岸和田市出身。泉州で繊維業を営む家系に生まれる。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社。出品サービス事業部で2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げ、Amazonスポンサー広告の立ち上げを経験。その後、D2Cブランド支援業の株式会社GROOVEとD2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げから6年で年商50億円(2社合計)を達成した。ミッションは、日本のモノづくりをアップデートすること。通称たなけん。YouTube「たなけんのEC大学」はチャンネル登録者数5万人を超える。
著書:【超完全版】Amazonビジネス大全 「ゼロ」から年商1億円の最短ルート
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